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初ヨーロッパ渡航記 1:コルトレイク

初めてヨーロッパに行くなんて人生に一度なんだから、せっかくだし文字にして残しておこう。

ベルギーのコルトレイクで行われるコルトレイク・トリエンナーレという芸術祭にて亡くなっている僕の父の作品が展示されることになり、親族招待を受けた。
今までならこういうのは母が行っていたのだが、「ヨーロッパ行ったことないんだし行ったら?」と言われ僕が行くことになった。
ついでなので帰りの飛行機を遅らせてもらい、コルトレイク以外の街にも行くことにした。
というのが旅全体の概要です。

6/25

飛行機が6月26日の0時5分に羽田発の便だったので、実質この日が出発日。

こういったトラブルもあった。
3000円がシワシワになっていた。
出発してからイヤホンの右耳からほとんど音が出なくなっていることに気づき、幸先の悪さにうんざりしていた。が、なんか時間経過とともに復活してきて飛行機に乗る頃くらいには元通りになっていた。なんなんだ。

早く行って空港でのんびりしてりゃあいいだろうと思っていたが、早すぎるとチェックインもできないのであった。
今まで早朝の便とかが多かったので気が付かなかった。
入場ゲートの手前はどこも忙しない空気が流れている気がして、電車で数駅戻ってマクドナルドで時間を潰した。

チェックイン可能になる出発3時間前くらいに空港に戻り、搭乗ゲート前で再び時間を潰して23時半くらいに乗り込んだ。

6/26

映画一本見てから寝ようと思って「リバー、流れないでよ」を見ていたら終盤あたりで機内食が来た。日本時間で1時半くらい。なんで?まあ食べたけど。

寝て起きて寝て起きて寝て起きて「ジョーズ」見てドバイに着いた。

ケツが痛くなった。

ドバイから再び飛行機に乗り、「愛がなんだ」や「ファンタスティック・プラネット」を見たり寝たり起きたりしていたらブリュッセル空港に着いた。

この機能かなり良かったな。

コルトレイクにも空港があるのだが、僕が後から「ヨーロッパ観光をしたいので帰りの飛行機を遅らせてくれませんか?」と追加で頼んだりしたのでブリュッセル→コルトレイクの電車に乗るルートになっていた。

電車の中でアイドルマスターシャイニーカラーズを開いたら海外からはプレイできないことに気がつき、そのことについてディスコードのコミュニティに書き込んでいたら電車を乗り過ごしていた。アホ。焦った。

とりあえず降りた駅のホームからドミノピザが見え、知ってるチェーン店があると少し安心するなあと思った。

あと街灯にめっちゃラップ巻いてあった。

コルトレイク駅に到着し、ホテルまで歩いていく道中で「なんだ、人の住む町じゃん」と思った。
アジアの国どころか、日本の知らん町を歩くのともそう大きくは変わらないように感じた。

ホテルのコンセントを見て「モバイルバッテリーすら充電できないじゃん」となり、まず電気屋に行った。
数日前とかに頭をよぎった気もするのになんで日本で買っておかなかったんだ。
そのまま街中やショッピングセンターを歩いた。

「ベルギーの」とツイートしたが今のところこの店でしか見てないのでこの店のマネキンが特殊だっただけかもしれない。

スーパーでサラミとチーズとパンを買ってホテルで食べた。サラミとチーズとフランスパンが好きなので、食いたいものがなくて困ることはないなとここでも少し安心した。
円安の影響もあり全てのものが高い。
€5.00とか書いてあるとてっきり500円くらいなような気がしてしまうが、今は1ユーロが170円くらいなので5ユーロも850円くらいだ。勘弁しちくり〜。

教会が多い町だ。

YouTubeをちょっと見たりしてシャワー浴びて早めに寝た。
時差ボケだかなんだか知らないがやたら眠かったし、ちょっと風邪のひき始めのような体感もあった。計18時間くらいのフライトなんてのは当然人体にとって悪いだろう。

6/27

起きてモゾモゾとなんとなく昨日の残りのパンとチーズを口にした。
そういえばホテルの朝食があるんだったと降りて行ったが、時間内のはずなのになんか人が少なく見えてなんとなく入りづらく感じてしまい、パンとチーズで腹も膨れていたのでそのまま散歩に出かけた。
こういうとき、なんて損な性格なんだろうと思う。

いくつになっても旅の写真に自分が写っていないのは寂しい気がしたので、自撮りをしてみた。

岩みたいな外観の教会。

Googleマップで見つけて立ち寄ったバラ園。
説明文を翻訳したら「この庭園は1世紀に造られ〜」と書いてあってビビった。2000年前から庭なんだ、ここ。

山が無い。平地だ。

ふと調べたらこのコルトレイクという町の人口密度は僕の地元の市の1/10らしい。穏やかな場所だ。
二日目にして薄々気がついていたが、この町はおそらく全然観光地ではない。
でもむしろそれが良かったような気がする。ヨーロッパに対して過剰に警戒していた僕の心が緩んだのはこの町の緩やかな雰囲気のおかげでもあるのではないだろうか。

橋が垂直に持ち上がっていた。

コルトレイクはリネン(亜麻布)で栄えた町らしい。どおりで街中にやたらと服屋が多いわけだ。
その繊維工業の博物館があったので行ってみた。
解説はメインがオランダ語で、英語やフランス語も併記されているかんじ。
deeplのカメラ翻訳をところどころ使いながら展示を眺めた。
まあ説明がよくわからなくても機械や工業製品は見ていて面白い。

コルトレイクはオランダ語の町だ。
店員さんとかも初手はオランダ語で話しかけてくる。英語の方が良さそうだとわかると英語で話してくれる。英語教育が徹底しているらしい。
街中で聞こえてくる会話はほぼオランダ語だし、電車のアナウンスもオランダ語だった。
看板もオランダ語だが、文字だと英語とスペルが似ているのでなんとなくわかる。

階数の表記が日本と違っていてモゾモゾする。


この日、何回かコルトレイク・トリエンナーレの人から電話があって「あなたも作品ツアーに参加しますか?」みたいなことを聞かれていた。
事前のメールで明日(29日)にオープニングツアーがあることは知っていたのでそれのことかと思い「行きます!」と返事して、詳細は電話越しの英語がうまく聞き取れなかったがまあなんとかなるだろうと思っていた。

が、後から理解したが今日(28日)にも出展作家たちと運営チームでのプレツアーがあり、どうやらそれの誘いの電話だったらしい。
博物館を出た頃に来た電話で「今駅に来たら合流できますよ」みたいなことを聞き取れたので急いで行くと、プレツアーが終わるところだった。
そんな……。
作家親族としてわざわざ招待してもらっているのに碌に交流もせず、申し訳ない……という気持ちになった。あ〜〜〜。

父の作品の場所だけ案内してもらった。
わ〜〜〜。在る…………。


喫茶店でみんなでお茶するということで参加。
頑張って英語を聞き取ろうとする。急に出てくる難しい単語がわからずにフリーズしたりする。
他の人たちの会話も聞こうとするが、人の組み合わせによってはオランダ語で会話していてさっぱりわからなかったりする。

途中、僕が日本出身ということでアニメの話になったら途端に話がわかるようになって嬉しいような情けないような気持ちになった。
セーラームーン、スラムダンク、ユーリオンアイス、呪術廻戦、フリーレン、固有名詞がわかるだけでもなんか全体がわかった気になれる。
「子供の頃スラムダンクを見ていたが1本のシュートに30分使っていた」という話に笑ったりしていた。

このウニョウニョもコルトレイク・トリエンナーレの作品。

喫茶店の後はみんなホテルに戻ったりするようなのでまた一人で歩いた。
昨日はもう閉まっていた教会の内部を見て回ったりした。
教会の装飾ってどこも美しくて、これが生活と隣り合ってるのっていいな。

街中にある、地下六階まである地下駐車場。

ホテルに戻り、よくわからないうちに寝ていた。

6/28

朝起きてからシャワーを浴び、昨日行かなかったホテルの朝食へ。
チーズがいっぱい食べられるの嬉しいぜ。

食べていたら昨日アニメの話の時にいたアメリカの作家さんが来て、しばらく話した。
「初めてのヨーロッパはどう?」と聞かれたので「日本とそこまで変わらないと思いました」と答えると「アメリカに来たらきっと違いを感じるよ」と言われた。アメリカも行きたいですね。

硬水にだんだん慣れてきたような気がしていた。
はじめは「硬水ってなんか喉に引っかかるな」と思っていたがそうでもなくなってきた。
しかし内臓はまだ慣れていないらしく、半分ゲリで半分硬い変なウンコが出た。

多分町で一番高い教会の上の方まで登った。やっぱり山が無い。

ナマケモノのエナジードリンクとウサギのチョコレート。

いかにもヨーロッパらしい街並み。

ひたすら散歩していた。
ちょっと中心部から離れたショッピングモールに行ったりした。
本屋を覗くとマンガ絵・アニメ画の描き方本は売っていたがマンガ自体は見当たらなかった。アメコミはあった。


オープニングツアーにて父の作品の前で喋ったりすることがあるかもしれないからその準備をしなきゃということでホテルに戻って、でも「嫌だな〜」と思いながらグダグダして時間が過ぎたりしていた。
母が文章を書いて送るからそれを読めばいいようなことも言っていたのだが「やっぱり自分で話せば?」とかも言い出してどっちつかずの感じだったので自分でも考えたりしていると、割とギリギリの時間に母が文章を送ってきた。ンモー。

いざオープニングツアーの集合場所に行ったら即興でグループができてガイドさんがついてどんどん出発していっていた。
この時点でなんか「おや?僕が話したりする場面ないかもな」と思った。
ガイドさんは全部オランダ語で解説していたのでさっぱりわからなかった。
「アフター・パラダイス」だけ聞き取れた。今回の芸術祭のテーマですよね。
ツアー集合場所で最初に声をかけてくれたお姉さんがガイドさんの話をかいつまんで英語で教えてくれてありがたかった。僕の受け答えが下手すぎてお姉さんが僕を作家本人だと勘違いして、少し間が空いた後訂正するといった場面もあった。
お姉さんはガイドツアーの途中でいつの間にかいなくなっていた。なんで?

展示を1/3くらいしか見ていないところでぼんやりとツアーが打ち切られ、一行はオープニングパーティの会場に向かっていた。
変だと思ったんだよな。18時からツアー開始で19時からオープニングパーティって。
こんな街を歩いていくような展示を1時間で全部見られるわけないんだから。

父の作品のところも行かなかったので、結局僕が話すことはなかった。
というかガイドさんが解説していく形式だったから行ってても話さなかったかも。
たぶん作家がじっくり話すような機会って昨日のプレツアーだったんだよな。きっと。あ〜あ。僕が電話でよくわからないまま受け答えしたばっかりに。
招待してもらっといて何も貢献できてないということに申し訳なさを感じまくり。
いやまあ向こうも特に僕が何かすることを期待してないかもしれないけど。

パーティではコルトレイク・トリエンナーレの運営の方々が挨拶をしていたが、ほとんどはオランダ語なのでわからなかった。
会場にあったケータリングの角切りされたサラミが美味しかった。

朝も話した作家の人と少し話した以外はまあ誰とも話せなかった。
サラミをいっぱい食べたら流石に飽きてきた。
これ以上居てもたぶん誰とも話さないなと感じ、パーティ開始1時間くらいでそっとホテルに戻った。
どことなく申し訳なさを感じながら。

20時くらいだとまだ全然昼みたいな日差しなので時間感覚が狂いそうになる。

夜、この文章を書いた。

6/29

インターネットが通じるから寂しくないぜ!と思っていたが、時差が7時間あるのでインターネット向こうの日本オタクたちと活動時間がズレているのが寂しい。

ホテルの朝食、チョコ塊が美味しかった。

「(僕)と作品が一緒に入った写真を誰かに頼んで撮ってもらってきてほしい」と母に頼まれていたのでどうにかせにゃなあと思いつつ、とりあえず芸術祭の他の作品たちを見て回ろうかなと外に出た。
昨日のツアーの出発地点に来たところで、以前からメールでやりとりしていた担当者さんに声をかけられた。
どうやら母は彼女にも写真の件をメールしていたらしく、写真を撮ってくれるということで先に父の作品のところへ。

というわけで写真を撮ってもらった。10月までにベルギーに行く機会があれば是非見にいってください。
僕と作品とが一緒に入った写真を撮ってもらったことで来た意味がちゃんと生じたなあと感じ、なんとなく肩の荷が降りた。
ほとんど大して何もしてないけど、招待してくださってありがとうございました。

↑芸術祭ホームページ内の父の作品ページ。

担当者さんと別れ、芸術祭のまだ見れてない作品たちを見にいった。


先日アニメの話をした台湾人の作家さんのインスタレーション内にセーラームーンとスラムダンクのステッカーを発見して嬉しくなった。
自分が作った作品と自分を形作ったものたちを並べて展示するのっていいなと思った。動物を模した陶器の作品たちもかわいい。

来場者がポスターを自由にもらって帰れる展示があったので一枚もらった。
丸めて日本まで持って帰るのは大変すぎるのでホテルで折り畳んだ。



一通り芸術祭の作品たちを見おえて14時くらいだったので、隣町のリール(フランス)へ行ってみることにした。電車で40分くらい。

電車を間違えた。どうやらコルトレイク駅で車両が分かれてそれぞれ別方向に発進していたようだ。わかんないよそんなの。1時間のロス。

リールに到着。電車内のアナウンスが途中でオランダ語からフランス語に変わっていたような気がする。どちらもよくわからないのであくまで気がする。

リール駅でっかかった。地方都市って感じの町だ。コルトレイクに比べるとかなり都会。

とりあえずリール美術館へ行った。入館料4ユーロ。安くてありがたいね。入って割とすぐにロダンの彫刻があって、「うお〜」となった。

なんか宗教画って美術館より教会で見た方がありがたみがあるかもな、と思ったりした。

モネって別段好きでも嫌いでもなかったけど、この絵がすごく良かった。
この黄金色の時間の美しさをここまで保ったまま絵画に落とし込めるのってすごいぜ。絵画って画面越しよりも生で見た方がいいなあということを再認識した。

美術館を出たら小雨が降り始めた。雨のことを全然考えていなかったので折り畳み傘はホテルに置いてきた。
雨が強くならないことを祈りつつ、リール動物園に向かってみる。城塞跡の脇にあるらしい。

Googleマップの説明文には入場無料の動物園だと書いてあったが、いざ行ってみたら全然有料だった。
閉園まで1時間くらいだし雨も変わらず降っていたので「まあ、いいか」と思ってしまい動物園は諦めた。

だんだん雨が強くなってきた。小走りで駅方面へ向かう。

ふらっと入ったデカい教会のステンドグラスが綺麗だったりした。
ステンドグラスって晴れより曇りの方が綺麗に見えるかも。

シャニマスのフィギュアも売っていた。パジャマの浅倉透。

海外版チェンソーマン1巻を集めているので買った。コレクションが増えた。
マンガコーナーかなり充実してたな。「ブランクスペース」とか置いてて「やるじゃん」と思った。

ショッピングモールを出たら雨が止んでいたので、リール大聖堂というところにいってみることに。
Googleマップ情報だともう中には入れなさそうだが、外観だけ見ても面白いだろうと思って。

いざ行ってみたら入れたし、少年少女が合唱していた。
教会で讃美歌を聴くのは多分初めてだ。思いのほか良かった。
教会全体に反響して、全身から声が染み入ってくる。
ちょっとだけ投げ銭をした。

外に出たら声をかけられ、家族写真の撮影を頼まれた。
人の役に立てると気分がいいですね。
引き換えに自分も撮ってもらえば良かったななどと思いながら今旅二度目の自撮りをした。前回と同じ顔をしている。

街をしばらくブラブラしてから電車に乗ってコルトレイクに戻った。
ホテルについて気づいたら寝落ちしていた。
夜中に目覚め、歯を磨いて「明日はパリだなあ」と思いつつ再就寝。

次回に続きます。