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諸星大二郎とかいう漫画家

ニートになってから、映画観たりゲームしたり本読んでみたり、全ての時間を暇つぶしに使って生きている。
東京から田舎へ戻り、療養だと称して堕落した生活を送っている。

そんな私が嵌りつつあるマンガ沼について。
前回に引き続き語ってみる。


気になる名前

割りかし本屋が好きだ。
平積みされている本達をざっと見れば、それがビジネス書であれマンガであれ、何となくの世相が分かる。
何より、本屋にいるというだけで、その間だけ少しだけ高尚になれた気がするからだ。

ある日いつものように本屋に行くと、気になる本を見つけた。

『諸星大二郎 デビュー50周年 異界への扉』

諸星大二郎という特徴的な名前、それに加えてデビュー50周年という功業、極めつけは異界への扉という奇妙な響き。

全てが気になって、何となく買ってしまった。

全く知らない漫画家のデビュー50周年を祝う展覧会の公式ガイド本を衝動買いしてしまったのだ。


それが諸星大二郎との出会いだった。


どうやら人気漫画家らしい

デビュー50周年!と仰々しく展覧会が行われている割には、今まで一度も聞いたことが無い名前だった。おそらく諸星大二郎という言葉に釣られてこのnoteを読んでいる方以外は、知らない人が殆どだろう。

展覧会が行われるぐらいだし、50年も漫画で生活もしているのだから人気漫画家なのであろう。
嘘をつけ!と思った。私の中にある人気漫画家というのは、尾田栄一郎やとりやまあきら、さいとうたかをや高橋留美子といった、国民的な作品を世に出した人達だからである。


しかし詳しく調べてみると、間違いなく人気漫画家だということが分かった。
国民的人気漫画家ではなく、"漫画家的人気漫画家"だという。

少し中国語的な字面になってしまった。
つまり"漫画家の中の漫画家"であるというのだ。


作品が読みたくなる

展覧会公式ガイド本をめくってみる。

全く頭に入ってこない。

それはそうだ。私はただ公式ガイド本を買い、少しネットで作者について調べただけの男であって、ファンでも無ければ、一度も作品を読んだことが無いのだから。

しかしページをめくっていると、その奇妙で蠱惑的な絵柄の虜になってしまった。当たり障りのないキャラクターのはずなのに、独特な輪郭線とおどろおどろしい陰影によって、なんとも捉え所のない不思議な魅力を孕んでいる。

同業者が尊敬する漫画家であること、魅力的な絵柄であること、それらが私の好奇心を煽った。

次の日には、彼の代表作『暗黒神話』を買いに出かけた。


衝撃を受ける

最近では鬼滅の刃が第23巻で完結し、昨今の冗長な漫画に比べてコンパクトに終局したことが褒められていた。私も、なかなか綺麗に終わらした方なんじゃない?と評論家気取りで思っていた。

しかし諸星大二郎『暗黒神話』は1巻完結にも関わらず、私が読んできたどの漫画よりも濃密でスペクタクルな物語だった。一瞬でファンになってしまった。

諸星大二郎の物語は「もしかしたら本当に存在するかも…?」と思わせる力がある、事実や史実を丁度よく織り交ぜた、上質なフィクションである。

もともと私が都市伝説や怪談話、民話等の類が好きだったせいもあるかも知れない。
貪るように彼の物語を読んだ。

投げっぱなしだったり、不明瞭に終わるストーリーも多いが、そのせいで読後に良い余韻を与える事に成功している。
常人であればオチがない物語になるだろうに、彼の場合はそれが良い"味"になっているのだ。


虜になってしまった

『暗黒神話』で衝撃を受けた事により、訳もわからず買った展覧会公式ガイド本は、私にとっての諸星大二郎公式カタログに変わってしまった。

ページを開くたびに次はコレ!その次はコレ!と購買欲を刺激される。

気づいたら本棚が諸星大二郎で埋まっていた。

彼の描き出す不可解な世界の虜になってしまった。


今となっては

1番好きな漫画家は?と聞かれれば、諸星大二郎!と即答するくらいにはなってしまった。

たまには本屋で衝動買いするのもいいものだ。

今回は私の好きな漫画家の話をさせてもらった。
こうして今日も私はマンガ沼に嵌っていくのかもしれない。

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