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支援を集めるために

先週、会社でクラウドファンディングプロジェクトを起ち上げた。
前売り券を買って地元の飲食店を支援しようという、今のご時世よく見るあれである。

プロジェクトの実施が決定してから、営業担当やデザイナーの力を借りつつ、プロジェクトの制作を通常業務の傍らそこそこのスピードで進めてきた。

目標にした公開日に間に合わせることにまずは必死で、公開されたはいいがまだ範囲のわりに参加店舗も少なく、情報の拡散や根回しもまだまだ十分にできていなかった。

公開から5日を迎えるが、結果的に、まだ目標の10%程度しか支援が集まっておらず(支援してくださった方、本当にありがとうございます!)、当然ではあるがこのままでは満足な結果は得られないだろう。

ということで、ここからもちろん色々と会社で展開していくわけだが、備忘録というか日記的な感じで、今日までの運用で感じたことを簡単にまとめておくことにした。
今までも各所でさんざん言われていて、目新しくも何ともないなのだけれど、実際にクラウドファンディングを起ち上げて、改めて肌で感じていることだ。

①助ける相手の顔が見えないと支援はされない

プロジェクトの性質上、当然ながら「地域の飲食店を応援する」「地域を盛り上げる」というフレーズは登場する。
表に出していくコピーにも、この手のワードが踊ることになる。
けれど、「地域を助ける」と言われてピンとくる人はほとんどいない。
どんなに「地元のためになる」ということを懇々と説明されても、自分ごととして捉えられる人はそうそういないのだ。

逆に、参加店舗の店長が、常連さんに「うちもこの時期、お客さん来なくて厳しいんだ。このプロジェクトに参加したから、ここで前売り券を買って、コロナ後にまた飲みに来てよ」と直接言えば、常連さんは抵抗なく「じゃあ5,000円」と支援してくれるだろう。

あるいは、僕が普段から仲良くしてもらっているクライアントさんにプロジェクト起ち上げの経緯や思いを話せば、同じように気軽に支援してくれるかも知れない。

仮に直接でなくても、たとえばたまたまプロジェクトページを見た人が、よく通っていた店が参加しているのを見つけて、「ああ、あの店長、今たいへんなんだろうなぁ。コロナで潰れたら嫌だなぁ」と想像してくれれば、少しでも協力してくれる可能性は高そうである。

「誰が助けを求めているか」を明確にして、相手に助けを求めている人の顔を見てもらう、あるいは思い浮かべてもらうことが、助けてもらうためには必須条件と言えるのだ。

例外として、もともと地域を盛り上げる仕事や活動をしていたり、地域の飲食店のコミュニティに関わりがあったりする人なんかはプロジェクトを見た瞬間に支援を決めてくれることがあるかもしれない。
ただ、結局はその人も具体的に「守りたい誰か」の顔を思い浮かべているのだ。

メディアに取り上げられれば間接的に支援者は増えるだろうけれど、それはプロジェクトの紹介だけで誰かの顔を思い浮かべることになる一定数の人にリーチできた結果だと言える。

②信用と魅力がそのまま数字になって現れる

いくら顔を見せて支援を呼びかけたとしても、当然ながら「この人なら助けよう」と思ってもらえなければ支援はもらえない。

信用経済の時代とはよく言ったもので、クラウドファンディングのプロジェクトが、しかも類似のものが溢れている中で特定のプロジェクトに支援するとなれば、「協力すると自分にとっていいことがある」と思えるようなものを選ぶことになる。

「自分にとってのいいこと」というのは、時には「仕事をくれる」かもしれないし「何かしらお返しの品をもらえる」かもしれないし「自分が困ったときには助けてくれる」かもしれない。

あるいは「ある人が喜んでくれること」自体が「他のある人にとってのいいこと」にもなる。
他人に感じてもらう魅力にも色々な種類があるが、このタイプの魅力は最強である。
(ここにくると「信用経済」ではなくて「キャラ経済」の領域になる)

多くの人から愛されている人が「助けて!」と言ったら無条件に支援が集まってくるわけで、クラウドファンディングにおいてはチートとも言えるべき能力である。

言うまでもなく、信用も(人から見た)魅力も、一朝一夕では得られない。
日頃からそういう言動をとって、それを積み重ねて積み重ねて少しずつ手に入れていくものである。

③「想い」を連鎖させないと届かない

これは、少し複雑な話になる。

「困っている」「絶対にこれを実現したい」という想いが強くなければ、支援は得られない。
大して強い想いが乗っていないものにお金や時間を投下する人がいないのは当たり前のことだ。

個人や小さいコミュニティで実施するプロジェクトならそんなに問題はないが、ある程度多くの人を巻き込んだプロジェクトの場合、この部分をしっかりコントロールすることがけっこう大切だ。

例えば、経営が厳しく、藁にもすがる思いで参加してくださった店舗と、参加店舗がまだ少ないからということで、経営的に苦しいわけではないけれど義理で参加してくださった店舗があったとする。
この場合、どちらの店舗が力を入れてプロジェクトを拡散してくれるかは明白である。

僕個人でいうと、このプロジェクトを起案した背景は「地域の店舗に支えられてやってきた会社なのだから、こういうときこそやれることがあるはず」というものだった。
僕自身は、部署的に飲食店さんと直接やりとりしている立場ではないので、(もちろん地元の飲食店さんを助けられればという思いはあるが)どちらかというと「会社のため」という方向にベクトルが向いている。

①で書いたとおり、僕の会社で「お店を助けたい」という強い想いを抱けるのは、直接飲食店のオーナーや店長とやりとりする営業陣であり、これまで色々なところで関係を築いてきたであろう経営者である。

ここに関しては、僕が伝えきれていない部分だとは思うのだけれど、クライアントの顔が見えている人たちが、「会社のため」あるいは「会社の業務として」このプロジェクトを捉えているうちは、支援者を増やしていくのは正直厳しいかもしれないと思っている。

僕もこれからメッセージを発信していく必要があるし、できる限りそうしていくつもりではあるのだけれど、ほぼ「ヒラ」で、ましてや他の部署に指示ができるような立場では全然なかったりするので、そのせめぎ合いには最後までそこそこ苦労することになるかもしれない。


このあたりが、(会社名義ではあるが)初めてクラウドファンディングを起ち上げてみて感じたことだ。

②に関しては今からプロジェクト終了までにどうこうできる問題ではないので、①と③を意識しつつ、僕のコミュニティの力も借りながらがんばっていくことにしよう。

まだ思うところはあるし、たぶんこれからも出てくると思うので、そのうちまた書く気になるかもしれない。

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プロジェクトリンク貼っておくので、もしよければご覧ください。
まだ随時店舗追加&読みやすく修正中です!

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プロジェクトのnoteも起ち上げてみたので、よかったら。
まだ全然大したことは書いてませんが。
勢いで起ち上げたけど、そもそもこっちまでやっていく余裕はないかもしれない!!


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