見出し画像

【読んだよ】リズム/ゴールドフィッシュ:森絵都

皆さんは夢、持っていますか。
それとも持っていましたか。

私が最近読んだこの『リズム/ゴールドフィッシュ』は大人になって忘れた、子供の頃に持っていた夢や希望を思い出させてくれる作品でした。

前半の『リズム』は以前の用には一緒に遊ばなくなった従兄や姉、従兄の両親の離婚、そして従兄の真治がバンドの夢を追うために地元をでていくなど、周囲の目まぐるしい変化に自分を保てなくなりそうになってしまう主人公・さゆきの話です。

大人になってから忘れてしまいがちですが、子供のころは自分を取り巻く環境が変化するとなんだかどうしようもない不安に駆られることがあることを思い出させてくれました。
この物語ではそんな思春期の繊細な悩みに、たとえ周りの人間たちが変わっていってしまっても、自分を見失わないための「リズム」について従兄の真ちゃんから教えてもらいます。


そして、後半の『ゴールドフィッシュ』は『リズム』の2年後の話であり、
バンドを本格的にやるために地元を飛び出した真ちゃんが夢半ばに潰えたことを知り、現実を思い知らされたさゆきが夢を思い出すまでを描いた作品です。

夢に向かってどこまでも進み続けるだろう真ちゃんのことを信じていた主人公。
そんな真ちゃんがバンド解散という現実を突きつけられボロボロになり、大人の世界を思い知ったさゆきが夢を取り戻すまでを描いた作品と言えるでしょうか。

ネタバレになってしまいますが、真ちゃんは結局夢を諦めることはなく、結局また父親の家を飛び出して音楽活動を再開します。
例え夢が叶わず道半ばで倒れたとしても、ひたすら追いかけ続けた結果なら上等だと言いのける姿はすごくカッコイイと思いました。
少なくとも無難な就職を選んだ自分には到底できないどころか考えに至らない選択です。
もちろん真ちゃんはさゆきを勇気づけるために夢を追いかける選択をしたわけではないですが、
真ちゃんの生き方にはさゆきだけでなく、私自身も勇気をもらうことができました。

この作品は児童書に分類されますが大人になった今の自分が読んでも面白い作品でした。
ただ惜しむらくは中学生ぐらいのころに読んでおきたかったですね……。あの頃の私は現代文の作品を呼んだり問題を解くのは好きでしたが、積極的に本を読んだりすることはあまりなかったので。
こうして大きくなった後に久しぶりに活字に触れたくなって、今になって本を読んだりnoteをやるようになったりしているのはあの頃の後悔が少しあるからでしょうか。


物語半ばの主人公のように、仕事ばかりで自分の趣味や楽しみを見失ってしまわないようにはいしきしたいですね。
真ちゃんのような生き方は私にはできませんが、さゆきが最後に決心した、小さな夢を見つけてそれを追っていくという生き方はできる気がしますし、むしろ自分に向いていると思います。

私には2歳の姪と0歳の甥がいます。
2人がもう少し大きくなったら、真ちゃんとまではいきませんが、仕事や現実的だけではない、かっこいい大人の生き方というやつを見せられるような大人になりたいものですね。
あと2人にこの作品を勧めてみるのも面白いかもしれません。

それでは。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?