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創作箱

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あくまでもフィクション。現代だったりファンタジーだったり。創作したものを詰めていく箱。
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2022年3月の記事一覧

幾星霜

ふとした瞬間に
あなたの言葉を思い出す
あなたの紡いだ言葉は
私の中に幾重にも降り積もり
それはさながら呪いにも似て
どこまでも
どこまでも
私の心を絡めとる

花

あざやかに咲き乱れる花
あなたのために咲いた花
恋い焦がれるがごとく空へと枝を伸ばし
今が盛りとばかりに花を咲かせている
いつの間にこんなに育っていたのだろう
いつの間にこんなにあふれていたのだろう
こんなにもきれいなのに
自分で手折らないといけないだなんて
花はまだ咲きたいという
まだ枝を伸ばしたいという
それでも
それでも
私はこの花に終わりを教えなければいけない
きれいに咲いたのに
はじめて

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「」

ごめんなさい
ごめんなさい
なんども
なんども
くりかえす
ごめんなさい
ごめんなさい
ゆるされないとわかっている
それでも
それでも
あなたのそばにいたいのだと
ねがってしまった
おもってしまった
ごめんなさい
ごめんなさい
どうかゆるさないでください
わたしのつみを

濁流

好きで
好きで
ただひたすらに
愛しさだけがあふれて
思いを言葉にしようとするほどに
原型をとどめることなく
胸の奥からあふれて
結局のところ
何も言えないままに
のみこんでしまう
あなたへの思いはどこに行くこともなく
私の中を巡るだけ
どこにも行かぬ思いが
私の中に満ちていくだけなのならば
その濁流にのまれて
いずれ溺れてしまうだろう