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ベガルタ仙台のフロントは果たしてそんなに悪いのか?

フロントの得手不得手

本拠地で口下手にも関わらす謝罪させられている菊池社長が気の毒なので書いてみました。社長がんばれ!健康診断はしっかり行けよ!だが木山、テメーはダメだ。

結論から言うと、仙台のフロントは至らぬ部分もありますが、全体として見るとそれなりに良いフロントなんじゃないかと思っているので、一部のサポーターはフロントへの攻撃やめて!ってことを言いたいのです。

ただ反発するサポーターの気持ちもわかります。

まず、フロントのいいところを見ていくと、
・強化部とうまく連携を取ってJ1最低レベルの人件費で長く残留できている
・道渕の件でもそうだったが、危機管理などは常識的なレベルで出来ている

というところですね。

特に同時期に不祥事を起こした新潟と比べるとここらへんはベガルタの方が良かったと思ってます。新潟はGM、社長共に大きな組織で働いた経験の少なさがリスクマネージメントの稚拙さにつながっている気がします。ただ、道渕の写真もあって、仙台の方が印象は悪かったですが。

次に悪いところは
・せっかく長く残留できているのにもかかわらず、経営規模の拡大が遅すぎ。
・広報活動下手。熱心なサポーターもいるのに巻き込まなすぎ。

ってところですかね。経営規模の小ささから広報活動まで人数が回らないのかも知れません。それがサポーターとの距離につながり、サポーターはクラブという片想いな女の子に振り向かれない寂しさからクラブを攻撃するのかも知れません。

この文章でなんとかその間を埋められたらなと思うので、長いですがこの下も読んでください。

フロントのこの特徴を理解するには、まずブランメル含めたベガルタの成り立ちを理解しなくてはいけません。

母体企業がないベガルタの限界

ベガルタ仙台の歴史と今後 2003年 伊藤孝夫
miyagi-sports.net/vvn/kenshu/rep…
これを読むと、

・仙台に拠点を置く大企業がない
・そのため自治体含めて多数の企業で支える形ができた、そこから100の企業で支えるという意味で東北ハンドレッドという名前になった
・仙台の財界はあまりお金を出そうとしない(というかない?)


という今に至るまでベガルタの根本的な問題が浮き出てきます。

まあ要は仙台に金がない、仙台に本社をおく全国クラスの企業が極めて少ないってことです。辛うじて母体になれそうな規模の企業が東北電力だけ。しかも東北電力は企業の理念上、仙台だけに投資はできない、という制約がありました。母体企業がない、という問題は上位を目指すにあたって極めて厳しいことは今の J1をみて明らかでしょう。

強豪のアントラーズももともとは住友金属だし、去年優勝したマリノスも日産の支援がありました。ベガルタの経営拡大は難しいのです。楽天イーグルスが東北とついているのはその問題があるからというのもあると思います。Twitterでも言及しましたが、ホームタウンを拡大しないと、これ以上は難しいかもしれません。

たくさんの企業でスクラムを組んで進んでいるベガルタの姿

この問題を解決するのにベガルタフロントが行っているのはお金と人材を色々なところから少しずつ分けてもらう、という戦略です。債務問題がクローズアップされた時に役員が沢山いることを指摘されたのは記憶に新しいと思いますが、そのほとんどはスポンサーからの出向で、無報酬だったようです。

ベガルタに使えない役員を派遣して食い物にしてるんでしょ?というのは偏見だというのは、役員が無報酬ということから考えて見当違いな批判だと思います。地域の銀行-テレビ局-クラブがガッチリスクラムを組んで少ない資本、人数でなんとか頑張っている、というのがベガルタの姿だと思います。菊池社長なんかは道渕の件を見ても個人的にはチーム内のマネージメントはしっかりできていると思います。

ベガルタフロントに入る出向の社員はそもそも本社から結構評価の高い、仕事のできる人が集められているようです。先ほどの伊藤さんの講演からも、仕事できる30ー40代を連れてくるように頼んだ話があり、組織的に優秀な少数の人材で運営されているようです。これは他のクラブも似たり寄ったりみたいですが、たくさん雇う体力がベガルタにないんでしょう。

んで、ある程度大きな組織の優秀な人材は


・マネージメントがうまい

・業務遂行能力高い

・リスクがありそうな前衛的な試みは避けがち

・はっきり自分の責任とされるのを嫌がるので、あまり表に出ない

という特徴があります。個人的感想ですが。これは仙台フロントの特徴そのままです。

これまでベガルタを支えてくれたのは間違いなくこの優秀な少数精鋭の働きによるものであると思います。10年間 J1に居続けるのは並大抵のことではありません。時代もしっかり読んでいて、経営規模の拡大はなんとか試みてました。コロナでポシャりましたが、これは責められません。他の Jクラブも大体似たような状況です。

ただ、後者の特徴のために、せっかく頑張ってきた仕事がファン、サポーターからあまり評価されていない面があります。今後改善すべきポイントですが、だからといってフロントをあまり責めると、支えてくれている企業から優秀な人材が来なくなります。ベガルタは優秀な人材にその能力に見合った報酬は出せないので、あまり攻撃されると、企業から行け、と言われても個人レベルで逃げられるようになってしまいます。


ベガルタのフロントは仕事はできるけど口足らずの遊び下手

完璧な組織はありません。フロント批判をするなら、広告活動やサポーターとのコミュニケーションなどについて建設的に行うならいいと思うんです。そこは確かにダメなところだと思うので。

ただある程度うまくできているところを非難するのは巡り巡ってベガルタのチーム力を落とすことになると思います。ベガルタでお金儲けしようとしている悪の役員はいないと思います。だってそんなに儲かってないし。

フロントの力量を把握していれば、今回の道渕の件に関しても、ベガルタのフロントがそういうリスクマネージメントをミスるとは考えにくい、という考えに行くと思うんです。なので私は話が出た時から道渕側の問題の可能性高いと捉えてました。最終的にやはりフロントの問題というより道渕側の問題が大きかったようです。

フロント批判のサポーターはちょっとフロントはベガルタを食い物にする悪という色眼鏡を外して、ちょっと頑固で口足らずで遊びが下手な真面目ちゃんと捉えて欲しいと思うのです。こういう組織は少し褒めてあげないと鬱病になってしまいます。では。


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