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スキアのスキルが活躍した日。疑問に思うことは、知識や技術を最大限に活かそう。

「1ヶ月前から、なんて言っていいかわからないけど左眼が見えにくくなってきたんです。」

問診でこう言ったAさん。検査すればすぐ原因はわかるだろう、そう思っていました。

Aさんは40代後半の女性。

網膜剥離の手術をしていて、左眼だけ眼内レンズが入っています。

3ヶ月前の検診では
Vs=0.1(1.2×S-3.0D C-0.75DAx180°)
今回は
Vs=0.1(1.2×S-2.75D C-1.0DAx180°)

視力検査の結果としては、特に見えにくそうな原因はみあたりません。

最初は後発白内障を疑っていたのですが、この視力だったら後発白内障の線は薄いか…。

だけど、私は少し嫌な予感というか、何かしら原因がある気がしてなりませんでした。

はっきりと左眼の見えづらさを訴えていたし、なによりこのレフ。


レフ通り入れても全然見えません。

別のレフで測定しても、同様の結果。

ちなみに3ヶ月前のレフはこんな感じ。(見にくくてすいません)

やっぱり後発白内障かなと思うのですが、視力はスムーズにでるし、後発白内障の反射もレフではみられないんですよ。

MIRANTEにて、OCT、眼底カメラ、高角眼底撮影までやってみたが目立った所見なし。

というか、凄く綺麗な画像が撮影できる。


私、ふと思ったのです。

このまま診察室にまわしたら、視力と眼底の結果から様子みましょうになると。

院長は我々よりレフの値を気にしないし、私もそれでいいと思っています。

ここの違和感は視能訓練士が気がつくべきと思っていますから。


さて、どうしたものか。

明らかに何かあるけど、今までの検査では見つけられてない。


そ、そうか。

まだ私にはあの検査ができる(7.5グラムの奇跡風に)

ということで、患者さんを暗室につれていって、スキアをやってみたのです。


スキアをやってみた結果は?


視力がスムーズに(1.2)でるので、光の動きはスムーズにわかりました。

レフの値は間違っていて、スキアでも-3.0~-4.0Dくらいの近視。

だ・け・ど…なんかおかしい。


私の見たままの状態を書いてみました。

(これが、中学校時代美術オール2の実力です。)

下方に三日月状の影が見えたのです。

多分見えづらさの原因に関係すると考えた私は、カルテにこう書きました。

「スキアにて、下方に三日月状の影あり。after cat?」

その後、視野検査などの予約検査に追われ、時間が空いたときにふと思い出してAさんのカルテを確認しました。

院長は私のコメントを気にしてくれたのか、左眼を散瞳して、そしてその後の診察でこんなコメントが。

「下方からやや中央にかけて、after catあり。YAG予約」
(この文字をみて、ニヤニヤしていたのは言うまでもありません。)


スキアはこんな風に役立つこともある


以前の記事でも書きましたが、オートレフの精度が上がってきてる今、スキアを積極的にしようと思う人は少ないハズです。

それは、技術の取得が難しい割に活躍の場が少ないから。

この考えは間違いではないと思います。

私自身、今はほとんどスキアをする機会はありません。

他の器械の進歩が凄いし、毎回スキアをする必要はないと思っています。

それでも、スキアをできることはこんな役に立つこともあるのですよ、て思えたのでブログに書いてみました。スキアは器械が進歩している今でも、自分の技術で確かめられる数少ない検査の1つです。

視能訓練士だけに限らないと思うのですが、ある病態や訴えに対して、さまざまな方法でアプローチできる技師って凄いと思うのですよ。

私の場合は、たまたまスキアを昔やっていただけで、他の検査は全然ですが…。


「だから皆さん、スキアをやりましょう」じゃないんです。
(もちろん本当はやってもらいたいですよ)

たくさんの検査を身につけておけば、さまざまな方法でアプローチできる。自分ができる検査やスキルを、フル活用してだした結果であれば、自分自身も納得できると思います。

それでもわからないこと、間違いだらけなんですけどねぇ。だから、一緒に学び続けましょうね。最後に、スキアを振ってみようと思ったのはこの本の影響が少なからずあるかと。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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