サイクロフォロメーターが活躍した日。回旋斜視を見逃さない意識が大切
どうも、回旋戦隊のメンバーケンです。
サイクロフォロメーターが楽しくて、上下斜視を見つけては毎日測定しています。今日はサイクロフォロメーターが活躍した日のことについてお話しします。
日々の生活に困っていた患者さん
患者さんのお名前をAさんとしましょう。
Aさん(70代男性)はうちに長くかかって下さっている患者さんで、数年前にはdiplopiaを発症したため、左眼に2△のbase downの組み込みで眼鏡を処方しました。
その後、右眼の黄斑上膜で歪視がひどくなり、他院にてERMと白内障の同時手術をなさっています。
最近Aさんの主訴としては
度数は両眼ともに、S-4.0Dくらいで普段から眼鏡は常用しています。
また、 右眼が黄斑上膜の影響で矯正視力が最高値で(0.7)、歪視があり、不等像視も発症しています。(当院ではアニサイコニアがないため、程度はわからず)
度数も合っているし、上下斜視もプリズムで矯正できているため、不等像視や歪みが影響しているのだろうなって思っていました。
が、今の私にはサイクロフォロメーターがあります。
測定すると、結果は左眼内方回旋10°。
ある程度回旋の融像幅はあるとはいえ、10°の回旋は辛いのでは?主訴に繋がっているのではと考えました。
それから、色々とAさんとお話ししながらどうするかを考えて、結論としては
「右にオクルアレンズを使用し、まず自宅で使ってみる」
になりました。
右眼にオクルアを使用することにより、見た目は自然のままで右眼を遮蔽することができて、不等像視と斜視による辛さを改善できるかもと考えてチャレンジしました。
待ち合い室で試し掛けをしてもらったとき
「全然辛くない。これなら生活しやすい」
すぐに処方するつもりはなかったのですが、Aさんの強い希望により今の眼鏡と別に1本つくるという条件で処方することになりました。
サイクロフォロメーターで回旋を測定する意義
患者さんに満足してもらうための条件の1つとして、状態を正しく把握するということは大切だと考えています。
もちろん、施設においてある機器の数や種類によって、できる検査・できない検査はまちまちです。
私は視能訓練士になって20年を超えましたが、昨年まで回旋斜視の存在は知ってはしましたが、患者さんの回旋斜視の状態を知ろうとはしていませんでした。
斜視は得意じゃないから…という言い訳で逃げていたと言われても、その通りですと答えることしかできません。
勉強会に参加させてもらい、後関先生からサギングアイについて何度も学ばせてもらったあたりから、回旋斜視について改めて考えるようになり、佐々木翔さんに出会って回旋斜視を測定するようになりました。
今回、私がAさんと応対する中で、今までにはない新たな情報として
「回旋斜視10°」
というデータを頭にいれて、検査・眼鏡を考えられるようになったのです。
回旋斜視を調べるようになって、少しだけわかったことがあります。
斜視の強い方々なら、経験や手技から導きだすことができるのかもしれませんが、私には無理です。
でも、そんな私でもサイクロフォロメーターがあります。
サイクロフォロメーターがあれば、回旋斜視をものの数十秒で測定できます。
最後にAさんから、言っていただいた言葉を添えて終わりたいと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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