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ミュージアムの中の人が、なぜかいろいろあって「スポーツ(「との比較を行う上で」というテイで美術館・博物館も対象とした「文化観光」も無理やり含めた)ツーリズム」の非常勤講師をしている話 #03


自己紹介はあらためて行いますが、いろいろな業界を見聞きした経験をもとに、現在関わっているミュージアム業界(そんな言葉ないw)についての(あまり知られていない)ことを中心にご紹介できればと思い、noteをスタートすることにしました。誠に申し訳ありませんが、このシリーズはおおむねミュージアム色は薄いです。


前回はこちら


さて実質3回目の今回は、前回ご紹介した「スポーツツーリズム」の3つの種類のうちのひとつ、「する」【Do】系スポーツツーリズムについてご紹介します。さてみなさん、「する」【Do】系スポーツツーリズムといえば、どのようなイメージをされますか?



【Do】系に関してはまあわかりやすいというか、ツーリズムとしても昭和の時代から存在していた、というか昭和の時代の大エース級、たとえば山田久志や村田兆治、東尾修といったレベルに匹敵する存在が、ゴルフやスキーといったところです。まさに彼らが大車輪のごとく活躍をした70年代後半から80年代半ばにかけての黄金コンテンツといえるでしょう。そして、ゴルフやスキーといえば、まさにバブルで絶頂と地獄を経験した業種ともいえるわけです。そしてこの辺の微妙な時代感や空気感をつかむのにピッタリな映画がこちら。



どうでしょう、シティポップ全開な音楽も含めてThis is 80‘sな空気感満載なこの映像。個人的にはバブル経済の恩恵をほぼ受けていないの(あるアルバイトで壮大な寝坊をぶちかまして9時出勤が12時出勤になったのにもかかわらず1日分の日給がきちんと支払われていた、ことがあったくらい。そら潰れるわな神戸西武…)ですが、地元が北国(非降雪地帯)だったこともあるので高校時代は高速バスに乗ってスキーに行ったりもしていましたが、なぜにわざわざ寒いところに行くのか意味不明だった印象しかないんですよね…。この映画をあらためて見返して思ったのは、職場環境の劣悪さ。喫煙OKとか、令和の健康経営の時代からしたらもう、全然ありえないっすよね。すごいな昭和。


は、話をもとに戻しましょう。


現在の【Do】系のメインストリームとなるのは、2008年から開催されている「東京マラソン」をきっかけに、大きくブレイクした市民参加型(にして観光コンテンツの要素も盛り込んだ)マラソンですね。単純にランナーの増加も、なのですが、自治体を中心とした主催者&開催数の激増も、背景としてはメインストリーム化に大きく貢献しています。



確かに、基本的には既にある道路交通網からコースを選定するだけですから、警察を含めた関係各機関との調整さえ済んでしまえば、ゴルフ場やスキー場を整備するよりコストは抑えられるはず。さらにいえば、天候を気にせず開催できる(ランナーからしたら災難ですが)、地元の売り(名所、食など)をセットでアピールできる、など自治体からしても「開催しやすい条件がそろっている」というのが大きなポイントですね。そういう意味では2008年の東京マラソンを具現化された方々なくして、いまに至るマラソンブームは成立しえなかった、のかもしれません。



【Do】系で今後、期待されそうなのが「マスターズ系イベント」。残念ながらコロナ禍で開催が延期になった「ワールドマスターズゲームズ2021関西」。開催されていたらある程度のインパクトを残していたのでは、と思わせるほど、関係者にとっては期待大(一般的関心は低いものの)だった【Do】系スポーツイベントの世界規模の大会だったわけです。なぜそれほどまでに期待値が高かったのかといえば、過去のワールドマスターズゲームズの参加者を分析すると「富裕層の参加が多い」「比較的長期間滞在」というツーリズム的にはおいしい要素が詰まっているからなんですね。あとは世界規模の大会とはいえアマチュアレベルなので施設整備に多額のコストを費やす必要はないということもメリット(もちろんトイレやシャワーブースなど最低限の整備は必要なはずですが)のひとつ。


※これ、URLどうするんだろ


なので関西経済連合会などをはじめ関西財界も推していたわけですし、関西2府5県に鳥取県、岡山県、徳島県もが参加するという、かなり広域での展開が予定されていたわけです。逆にやる気なかったのが大阪府&大阪市。り、理由はと、当時の…り、理解していない…お、大人の事情ということで。



ちなみにワールドマスターズゲームズの参加資格は30歳以上(競技によって多少異なります)で参加費を支払うこと、のみ。なので、参加する側のメリットとしては、「世界記録の更新にチャレンジできる」かもということだったり、あるいは「往年のレジェンドとの対戦」の可能性があったりとマスターズ系ならではの可能性も秘められていたりします。実際、2017年大会では100歳を超えるインドのおばあちゃんが陸上100mの世界記録を更新したと話題になりましたね。関西大会自体は2027年に延期が決定していますので、いまからウォーミングアップをしておけば世界記録更新も夢ではないかもしれません。



日本ではあまりなじみのないマスターズ系イベントですが、「マスターズ甲子園」「マスターズ花園」と、注目度の高い、高校スポーツコンテンツをベースにした大会が開催されています。「マスターズ甲子園」には元巨人の桑田真澄さん(PL学園高校OBチーム)や駒田徳広さん(奈良・桜井商業高校OBチーム)がそれぞれの母校OBチームのメンバーとして実際に出場されています。甲子園なのに巨人関係者ばっかりというのがなんともアレ(あのアレとは別のアレ)ですが、「マスターズ甲子園」をベースにした映画「アゲイン」は非常に涙腺を攻撃してくる作品ですので要注意です。ぜひご覧あれ。



ということで、今回は「【Do】系スポーツツーリズム」の中で、代表的な存在であるマラソンとこれからに注目なマスターズ系イベントをご紹介しました。次回は同じく「【Do】系スポーツツーリズム」で国が(自治体が)力を入れているアウトドアアクティビティについてご紹介しまーす。