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オリジナル・ゲームポエム『シンとクジラの骨』

※本作は2023年4月30日配信の「FT新聞」No.3749で配信された作品です。

「私たちのコククジラがここに沈んだのは、冷たく静かで暗い海底に横たわって、"安らかに眠る"ためではない。死骸はこれから数十年も盛大に続く宴会の会場になるのだ。」
(ケイトリン・ドーティ 池田真紀子訳 新潮社 世界のすごいお葬式より)

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オリジナル・ゲームポエム「シンとクジラの骨」

作:渡邊愛
監修:岡和田晃、水波流
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○はじめに(岡和田晃)

――『海底二万里』、 『ツバメ号とアマゾン号』、『隠された海図』、『七つの海のティコ』……そんな海の”お話”が好きだった、あるいは今でも大好きなあなたに、本作を捧げます。

 本作はジャンル分けが難しい、独自のセンスで作られたゲームです。
 ゲームマスターを用意するという協力型のストーリーゲームという意味ではRPGなのですが、作中の重要なイベントでは付属のイラスト付きカードを使うカードゲームになります。
 とはいえカードは競技性よりは、「語り」を楽しんでもらうことに主眼が置かれています。
 単発でプレイできるものなので、あえて「ゲームポエム」と銘打っていますが、ストーリーラインが比較的しっかり決まっているので、ニューゲームズオーダーから発売が予定されているモダン・ナラティヴRPG『モンセギュール1244』あたりにも近いかもしれません。

 著者の渡邊愛氏は、岡和田晃が2021年度に東海大学文芸創作学科で開講したゲームデザイン論の受講生。
 『ブルーフォレスト物語』の運用に卓越した手腕を発揮しましたが、その成果を受け、アウトプットとして提出された期末レポートが本作。巧まずして、海外のインディーRPGに近い仕上がりになったと言えるでしょう。
 いずれにせよ、力作であるものと思います。あなたの大事な人と遊んでみて下さい。

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 プレイヤー1~3人とゲームマスターが必要です。
 ゲームマスターのみが「シナリオ」および、「物語の進め方」を読むことができます。プレイヤーは事前にこれらを読んではいけません。
 ゲームマスターは「物語の進め方」をよく読み、物語の全容を知っておいてください。その上で「物語の進め方」に従い、ゲームを進めていってください。


【シナリオ】
《1》コーキシン冒険会
 このふざけた名前のサークルは数年前にできたばかり。その名の通り、好奇心の赴くままに冒険するサークルである。ハンバーガーショップでいつもと違うバーガーを頼んでみる、大学前町の店と店の間の細い道を進んだらどこにいくのか確かめる、電車を乗り継いで全く知らない何もない駅で降りてみる、夏休みに一週間無人島に行ってみる、県を歩いて横断する、など部員がやりたいことを話し合って活動を決めている。部員は2、3年生を合わせて男性4人、女性3人の7人。部員は少ないが、皆男女問わず仲がいい。平日に冒険の計画を練り、休日に冒険へ出かける。長期休暇には1週間ほどの冒険合宿がある。
 部室は運動サークルが使う、たくさんある道具置き部屋のうちの一室を使っている。外から見ると物置にしか見えないが扉を開け中に入ると、壁一面には世界中の地図や壮大な自然の景色の写真が、天井には星形の光るウォールステッカーが貼られている。敷きっぱなしの寝袋、冷蔵庫、ガスコンロ、やかん、皿、コップなどが置かれ、生活が出来そうなくらい家具が充実している。ホワイトボードに次の冒険の計画がびっしり書かれている。いかにも秘密基地といった部屋だ。

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https://ftbooks.xyz/ftnews/gamebook/ShinAndWhaleBone.pdf


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