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『プレイヤー罵倒』プレイリポート

 『プレイヤー罵倒』を10代後半のプレイヤー(ゲームポエム初心者)たちとテストプレイした際に頂戴したプレイリポートを参考までに公開します。
 参加者は創作を志す人たちです。このゲームのキモは、「プレイヤー」と「演じられているキャラクター」を、きちんと分けることでして、その意味で創作の訓練にはうってつけなのです。
 ただ、前提として、本作は成熟したプレイヤーの各自の責任による参加が前提にあります。また、必要に応じ、ゲームポエム(ナラティヴ・スタイルのロールプレイングゲーム)に慣れたプレイヤーがグランドマスターとして司会進行・安全確保の役目を担うことを推奨します。岡和田晃(akiraokawada@gmail.com)に依頼していただければ、グランドマスターを務めることも可能です。
 デザインに際しては――ペーター・ハントケの「観客罵倒」がそうであるように――あくまでも風刺が前提にあり、あらゆる差別や偏見を助長するものではないことを強調しておきます。家族や友人を具体的にキャラクターとして扱うことも禁止しています。これまで何度もテストプレイをしてきましたが、誤ってプレイヤー当人を罵倒してしまったケースはゼロでした。
 なお、掲載にあたっては、あらかじめ許諾を取得したものを、個人名は伏せ、適宜、必要な編集を行っていることをお断りします。(岡和田晃)

●プレイヤーA
 「プレイヤー罵倒」という斬新な名前のゲームに挑戦した。まず、俳優、支配人、戯曲家、というキャラクターに分かれ、各々で設定を付け加えていく。このゲームでは自慢しやすい点と罵倒されやすい点を設定にどれだけ含めるかが鍵となると思う。いかに人間性を低くするかを考えるのは割と楽しい。ターンは戯曲家からスタートしたが、皆、自慢することがどうも得意ではないようで、人のポイントばかり稼いでいた。自分のターンにクズになりきって自慢をしまくれば、次のターンには他プレイヤーが私の罵倒ばかりだったので、自慢にはそういう効果もあると思う。3ターン目になると、設定の厚さで差がついた。人の罵倒をうまく自キャラの設定に盛り込んでいくかも重要だ。クズになりきって自慢や罵倒を楽しめる人が勝つゲームだろう。私は自分の嫌いな人を思い浮かべてキャラクターを設定したので、罵倒されるのはかなり楽しかったし、罵倒されるように演じるのも快感だった(笑)
 プレイヤー同士は傷つくこともなく、普段言えないようなセリフやできない態度を演じ、罵倒されればされるほどポイントが貯まるというのはストレス発散にとてもいいと思う。今回は舞台をするという設定だったが、違う設定でも同じようなゲームができそうだと思う。人数を増やしても楽しいかもしれない。色々試してみたい。

●プレイヤーB
 今日のゲームは『プレイヤー罵倒』というゲームをプレイしました。
 私は戯曲家で、設定は中年オヤジでバツイチとか不倫が得意とかちょっとリアルな設定にしてみました。
 劇場支配人の人が俳優の不祥事を明らかにしたところからおもしろくなってきました。
 俳優は実年齢よりも20歳近く若くみられるという設定だったので女の子と遊びやすい見た目でいじりがいがあったと思います。
 ちなみに俳優はまた別の共演者で20歳の女の子にも手を出していた設定になってたのでクズさでは俳優がピカイチでしたが、勝ったのは劇場支配人でした。
 私の脚本はクソだと言われてました。とても面白いゲームでした。

●プレイヤーC
 私は『プレイヤー罵倒』で、俳優を担当していた。最近ネットで評判の低い男優を考えてイメージを作った。ナルシストで、演技下手くそで、整形顔で、「EQ」が低いひとだ。こんなキャラを罵倒すればするほど気持ちいい。
 劇場支配人は太っている中年おじさんで、劇場を持っているから偉そうにしている。金さえあればどうでもいい。支配人のおかげで俳優は14歳の共演女優をセクハラしながら20歳の女の子とホテルに行く駄目男になった。
 俳優と劇場支配人は劇曲家の台本が下手くそだと言っているが、劇曲家はただ俳優の風流事績に集中していた。
 自分ではないキャラを罵倒するのは気持ちがいい。しかし今回のキャラが薄いと思う。どの人でも簡単ではない、少なくとも公衆の前で「お人よし」を演じながら裏で小動作をするキャラを作ればよかったと思った。

●プレイヤーD
 『プレイヤー罵倒』、以前プレイしたゲームよりも具体的に想像しやすく面白かったです。
 私の班は、ブロードウェイでピーターパンを上演する3人の男性という設定にしました。
 「悪口といったら「俳優は女絡みの事情が多すぎだ」「戯曲家の台本は下手くそだ」「俳優の演技はダメダメだ」、自慢といったら「俺が1番演技が上手い」「俺は金を持っているから何でもできる」「自分ありきで公演が成り立っているんだ」などが出ました。
 逆に、これら以外の要素は出てきませんでした。悪口を言えと言われて言うことや、自慢をしろと言われてすることは案外難しく、自分や周りの人の中にある自慢と悪口のレパートリーの少なさに驚きました(普段はいくらでも出てくるはずなのに(?))。
 これは最初の設定でいかに自分のキャラクターの性格を悪くできるか(自慢要素を多く作れるか)が鍵であると思いました。こちらが時間いっぱいを使って自慢しまくればそれに反論して悪口を言ってもらえるため、多くの点数が稼げるのだと思いました。これを実感した上で、もう一度プレイしたいものです。

●プレイヤーE
 『プレイヤー罵倒』の結末
 シアターの経営者・トビキリノ=クズは自慢・悪名点ともに3で1位を獲得、興行に成功するもCMに起用した有名アイドルグループ5人との枕営業および5股が発覚し、後ろから刺されました。
 トビキリノは女性だった筈ですが他プレイヤーに聞こえていなかったらしく、浮気して女性に刺される女性という珍妙な事態に……。

●プレイヤーF
 今回は『プレイヤー罵倒』というゲームをやりました。
 今までやってきたゲームの中で1番プレイヤーの性格がわかるゲームだと思いました。自慢と罵倒を繰り返すうちに、慣れてきてポンポン自分のプレイするキャラの自慢ポイントを出したり、そんなことまで罵るのかということまで罵っていたりとノリノリでやる人もいれば、普段から自慢や罵倒をしないから例えキャラクターを作ったとしてもなかなかできないと言った人もいました。
 私はどちらかといえば後者でした。罵倒はなんか文句をつけてこじつけることが出来るのですが、自慢が全くと言っていいほど出ませんでした。自慢するのは自分ではなく自分が作ったキャラクターであるのに全くといっていいほど自慢ポイントが見つからず、罵倒ばかり繰り返して他人のポイント稼ぎに協力してしまいました。
 一緒にやっていた友人から「本当に自慢しないね」と言われ、普段の自分もそういえば自慢しないなと思いました。それと同時に自分の普段から抱えてる悩みにも直面しました。自分で言うのも恥ずかしい話なのですが、私は普段から自己肯定感が低く、自信をもてないことが悩みの種です。今でももう少し自信がもてたらいいのにと思いながら日々を過ごしています。今回の『プレイヤー罵倒』を通して自信がもてない自分に直面しました。
 例え自分じゃない、自分が作ったキャラクターの自慢だったとしても私は出来ませんでした。キャラ作りの段階でかなりのダメ人間ステータスにしてしまうのが悪いのですが、自慢出来るところひとつもないキャラクターをいつも作ってしまいます。
 このゲームで自信がない自分が出てしまうとは思っていなかったので、少し驚き、同時に悔しく感じました。
 ゲームは楽しむためにあるものだと今まで考えていた部分がありましたがそれだけではないということが今回わかったような気がします。
 ゲームを通して見えてくる自分の癖だったり、性格だったりをきちんと見つめることも必要だと思います。
 きちんと演じようと思えば思うほど無意識に自分の性格が出てしまうので、そこを友達に教えてもらって自分という人間をゲームを通して知っていこうと思いました。
 罵倒すること自体あまりないので、とにかく思いつく限りの罵倒を言っていきましたがなかなかスカッとして楽しかったです。思ってる不安を口に出して相手に伝えるのはとてもスッキリするし、楽しいと思いました。

●プレイヤーG
 今回、3名のプレイヤーは、プレイしたキャラクターが以下の通りであると認識していた。皆年齢はひた隠しにした。(伝え忘れ)

・ゴルドルフ・ムスターシュ 俳優・男
・トビッキリ=クズ 劇場支配人・男
・サーモン鮭坂 戯曲家・男

 上演することとなった劇は、ある男の生涯を辿る、ドキュメンタリーな劇。『俺物語』。
 俳優のゴルドルフ・ムスターシュは劇場を満員にしたのは俺の演技力だ。と堂々と自慢してのけたが、半分はサクラだったんだろ、とのちに罵倒された。その挙句、戯曲家にクソみたいな演技だとけなされ、5,6人の愛人がいることも併せて非難された。
 戯曲家のサーモン鮭坂はこの劇の収益の一部を寄付しているとし、さらには慈善事業も行なっていると述べた。だがその詳細については語ろうとしなかった。また脚本の自慢もしたが、俳優から、サクラ頼みのクソ脚本書きやがって。と罵倒された。また、のちに劇場支配人によって、慈善事業を謳った人身売買の実態が暴かれ、人格を非難された。サーモンはこれに対し、支配人に公演にかかる費用を折半して払えと言った。実は費用はすべて戯曲家がもっていたのであった。
 劇場支配人のトビッキリ=クズは『俺物語』の公演のために、人気女性アイドルグループを起用したCMを製作し、劇に貢献したとした。だがこのアイドルグループとの枕営業が発覚し非難を浴びることとなる。また、公演に関する費用を全額負担しているとしていたが、実際は戯曲家に支払わせていた。先行きが不透明になった時期に怒りに任せて、俳優のコートにコーヒーをぶちまけたことを思い出されて罵倒された。さらに、愛人が5,6人いるという事実が、世間の知るところとなった。
 最終的に、最も多くの悪名を集めた、劇場支配人トビッキリ=クズの勝利となった。
 俳優のゴルドルフ・ムスターシュは演技に自信が持てなくなり、俳優をやめて実家に帰った。
 戯曲家のサーモン鮭坂は首を括った。
 劇場支配人のトビッキリ=クズの消息は知れない。

 そして驚くべき事実

・ゴルドルフ・ムスターシュ 俳優・男
・トビッキリ=クズ 劇場支配人・女!
・サーモン鮭坂 戯曲家・男

 年齢のみならず性別までも共有し忘れていたことに気がついたのであった。

●プレイヤーH
 『プレイヤー罵倒』で僕は女性の戯曲家を演じた。同じグループのA君はジェリーというオネエの俳優、B君はカクタニという劇場支配人をそれぞれ演じた。
 結果は、僕の圧勝だった。なぜなら、タイトルとして扱った『道化の凋落』は現在公開されている映画『ジョーカー』を模した物だったため、戯曲家である僕はその作品の良さをさも自分が作り上げたかのように自慢すればいいだけだったからであるのと、他の二人があまりにも口下手で悪口と自慢の数が僕の物と比べ物にならなかったからだ。
 ゲームの内容自体は面白かったが、役を演じる事への恥ずかしさや僕が優位になってしまう状況が原因であまり面白くないゲームになってしまった。

●プレイヤーI

・ジュリーマウス 俳優
・エノンカクタ二 劇場支配人
・フェミニス 戯曲家

 全員の年齢が30代で、戯曲家が女性の男嫌い。俳優がムキムキの男(オネエ)。劇場支配人が女好きのバンドマンという性格に設定しました。作品名は現在公開されている「ジョーカー」をイメージし、「道化の凋落」としました。
 罵倒の内容自体は俳優と劇場支配人はあまり言えていないように感じましたが、戯曲家の罵倒が「俳優がムキムキすぎて役作りが出来ていない」「なんで劇場支配人は自分の曲を作品に入れこもうとするんだ」などよく罵倒できていたように思いました。

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