優秀で鬼のように厳しい副会長は実はツンデレな女の子 14

修学旅行2日目

○○:これが京都タワーか…へぇーこりゃ…
？？:…フランスパリのエッフェル塔に比べたら小さいですね、ですがこの京都の古風な街並みに相まって実に風流
○○:……登って風景眺めるのもいいな
？？:フランスパリのエッフェル塔の展望台は実に壮大でしたわ、京都タワーは低いですが山々に囲まれる京都の街並みも実に…
○○:…………おい
？？:なにか？
○○:なにかじゃねぇ！なんでいるんだよあやめ！

あやめ:あら、たまたまですわ
○○:嘘つけ、俺がホテル出てから尾行してたろ
あやめ:人聞きの悪い、着いてきただけです
○○:…意識してたの認めたじゃねぇか
あやめ:いい歳して迷子になる人には言われたくありません
○○:ったくよぉ…

昨日は車でそのまま京都のホテルへ直行
だから蓮加には会えなかった
蓮加にLINEはした、そうしたら蓮加から

『いい歳して迷子になるな、ばか』

だけ
ま、返事くれただけでも上出来だ
朝、食堂で蓮加に会った
あいにく同級生がいたから声は掛けられなかったが

『おはよ、今日も迷子になるなよ？』

とLINEが来た…お母さんかよ
まあ、こんなやり取りでも嬉しいんだがな

…が、蓮加は生徒会の連中と回るから俺はまた1人だ
そもそもつるむ同級生なんていないからな
そして、実は京都は一人で回りたかった
…のにこいつか

○○:あやめ、1人か？
あやめ:…あなたと似たようなものですから
○○:…虚しくなるからこの話題やめよ
あやめ:…ですね
○○:どうすんだお前これから
あやめ:行くあてがないんですよね、かといって喫茶店で1人も…京都まで来てすることでも…
○○:なあ、お前がよかったら回るか？俺と
あやめ:よろしいのですか？
○○:ま、あやめならおとなしくいてくれしな
あやめ:…祐希さんや和さんいたら騒々しいですからね
○○:そういうこと、ただ俺が決めたコースにまわるからな
あやめ:…何年幼なじみやってますの
○○:話が早いぜ、じゃあ行くか！

いつになく○○様はウキウキしてる
こんな姿は滅多に見れない
だけど私は理由を知っている

○○:おお！いいね！これよ！この佇まい！京都の歴史を感じるね！親鸞聖人の御真影を安置する場所
たまらん…

京都タワーにほど近いお寺、しかしまだある

○○:西本願寺！かぁ！たまらん！東本願寺とはまた違う奥ゆかしさよ！
織田信長の時代から色あってな、徳川家康の時代に本願寺は、真宗大谷派（東）と浄土真宗本願寺派（西）に分裂したんだ
だから東本願寺と西本願寺があんだよ
あやめ:はぁ…

2箇所のお寺を回ったが違いがわからない
しかも解説されてもわからない…
みなさま、○○様は寺社マニアではございません…

京都の歴史上有名な場所…建物や史跡を回り出す

○○はとにかく行きたい場所を回る
タクシーはすでに予約し早速乗り込む

○○:事前に送ったリスト通りに回ってください
運転手:かしこまりました

あやめ:…これ1日回りますの？
○○:回りきれなきゃ行きたいところだけだな
あやめ:めちゃくちゃ遠い場所もありますが
○○:行けたらな
あやめ:……

…だめですわ
……○○様はいわゆる歴史マニア、大の歴史好き
大河ドラマやN○Kの歴史番組を録画するほど
歴史書専用の家…書庫と言ってますが…あるくらい
ちなみに某将軍が着てた金の甲冑があるとかないとか…
しかし……このリスト……

二条城、京都御所、京都御苑、有智子内親王墓、山崎城跡、笠置山行在所跡、宇治川先陣の碑、本能寺址碑、五塚原古墳、晴明神社などなど……

……まだたくさんありますのよ？
正直、何のゆかりがあるかもわからないところだらけ
しかも遠いところもあって回れませんわよ…
普段、物欲ない人だから趣味には欲が爆発する

…でも今は思う存分楽しんでくださいまし
そんなあなたを見てると…あやめは幸せです
……愛しの○○様

もうすぐ15時
今日は京都で一泊し朝、大阪出発なので余裕はありますわ
タクシーの運転手さんが○○様の1番見たい場所と遠くならないよう配慮し、なんとか最上位の場所は回れた
○○様は満足し運転手さんにお礼を言っていた

そして今
タクシーから降り、最後に行きたい場所があるからと繁華街のような場所を歩く

あやめ:賑やかですわね
○○:ここは三条ってところだ、駅もあるだろ
あやめ:ありますわね、人が多いですわ
○○:まあ休日なのもあるし賑わうんだよ、あと周辺には観光名所もあるからな
あやめ:最後の場所はこんなところに？
○○:ああ、そうだ……おっと、着いたぞ

あやめ:海鮮茶屋……？…これが…？
○○:違ぇよ、この店じゃねぇ横みてみ？
あやめ:横？

言われてじっくり見てみるとあった
『池田屋騒動之址』と書かれた小さな史跡
さすがの私もわかります
かの有名な幕末に起きた事件の場所

○○:いつも最後ここを見に来るんだ…歴史感じるだろ
あやめ:はい、過去にあんな凄惨な事件があったところに今は…感慨深いですね
○○:それが歴史だ、その中に俺らは生きてる…なんかすごいだろ？
あやめ:はい…

ニコッと微笑む○○様の笑顔にキュンと胸が締め付けられる
…このままずっと…今夜はふたりで……

『あーーーー！』

聞き慣れた大声……

……このタイミングで来ます？

祐希:○○ー！見つけた〜
○○:祐希ちゃん？どうしてここに？
祐希:みんなとはぐれた〜！
○○:……だろうな
あやめ:…スマホどうされましたの？
祐希:あ、あやめちゃん？！…ホテルに忘れました…
あやめ:……飛鳥馬一族はおっちょこちょいだらけですわね
○○･祐希:あは…あは…
あやめ:○○様、生徒会のあの鉄仮面に連絡を
○○:…それ本人に言うなよ、また揉めるから

俺はてっか…もとい、蓮加へ連絡した
やっぱり生徒会一同祐希ちゃんを探してたらしい
蓮加にわかりやすい合流地点を教え電話切る

祐希:うわ〜綺麗！橋もすごい！
あやめ:美しいですね、この風景…
○○:だろ、ここも観光名所の一つだ

池田屋の史跡からほど近い三条大橋
その下には鴨川が流れている
観光名所でもあり、カップルのデートコースでもある
サラサラ…と優しく流れる水の音
鴨川周辺には店がズラリと建っているが邪魔にならずむしろ鴨川と相成っている

祐希:あ、テラスみたいなところもある！
あやめ:…京都独特な風景ですね

二人とも周辺をじっくり見てる
ここは俺も気に入ってるから嬉しいんだよな

しばらくして蓮加も合流した

蓮加:…○○ごめんね、うちの馬鹿会長が迷惑かけて
祐希:バカって言うな！祐希はおバカじゃないもん！
蓮加:勝手に一人で行動して挙句の果てに従弟と同じでスマホ忘れた人がバカじゃないと？
祐希:うっ！
○○:サラッと俺ディスらないでくれない？

蓮加:とにかくごめん○○、会長連れていく…
あやめ:あ〜ら、岩本の蓮加さん？わたくし、筒井あやめにはお詫びのひとつもないのかしら？
蓮加:……いたの？存在感なさすぎて透けてて分からなかったわ
あやめ:あらやだ、これだけ覇者のオーラが出てるのに気づかないとは…あなたもおバカさんね？
蓮加:……喧嘩売ってる？
あやめ:……高いですわよ

バチバチと火花が散ってるが俺も祐希ちゃんも止める気はない
小さい頃からこれだ、ほっとけばいい

……仲良いよな

『きゃぁぁぁ！？ちょっとやかましいっ！ほんとにっ！』

鴨川の土手……俺らの近くで絶叫が木霊する

『いやぁぁ！やだ！やだ！やーだ！』
『絶対くんで？！……いやぁぁ！？もう！やめてっ！もう！』

……俺達は騒いでるほうを見て……呆れてた
…そりゃそうでしょうよ

「…だから言うたやん…ほんま呆れる」
『……だ、だって…』

祐希:…あれ？あの人……あ！おーい！！

「ん？なに？……え？あれ？なんでおるん！？」

祐希:好花先輩！
好花:与田？！

『……待ってまだキレそう……』

好花と言われる人物の横にいるぬいぐるみを持った少女はブツブツ言いながらまだキレている

そう…今宵の京都はこの少女が大騒動を起こすなんて誰も思わなかった

……勘弁してくれよ

続く…