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もしもあの子がとんでもない性格のあの子でメンバーにいたら…という世界線のお話 第5話

宮地さんと渡辺さんから少し離れた距離から歩いている

…さすがにさっきの一言は効いてしまった

『私たち…あなたが嫌いです』

なんとなく分かっててもはっきり言われたら傷つく
でも…僕はマネージャーなんだから私情はおいておこう
…仕事しなきゃ

今はとある山を登っている
周りは木々が立ち並び雄大な景色が眺めることができる
空気も澄んでて新鮮な感じだ
ただ…空は雲が多い気がした

渡辺 …ちょっとはっきり言い過ぎじゃない?
宮地 なにが?
渡辺 あの人に嫌いって…
宮地 …仕方ないでしょ…しつこかったし
渡辺 …うん
宮地 普段はあんまり会わないんだからいいの。
それにさ…小坂さんの事あるし…
渡辺 そこだもんね、私達があの人に対する思いって
宮地 そうだよ…私達の小坂さんを…


〇〇 …なんか空気の匂い変わった?

2人の後方にいたがちょっと辺りを見回す
どんよりとした雲がさっきより黒くなっていた

〇〇 まずいかも…

急いで前に進んだ

宮地 あ、あれ?ねえ莉奈
渡辺 どうしたの?
宮地 ここ…どこかな?
渡辺 …もしかして違う道来てた?
宮地 え…誰もいないし…電話して助け呼ぼう
渡辺 …だめだよ、電波ない…
宮地 うそ…

草木が鬱蒼としてる小道で2人は呆然としてた
周りは高くそびえ立つ樹木に取り囲まれてる
空は暗くなり寒く感じる

ぽつ…ぽつ…

渡辺 え…なんか降ってきた…
宮地 まさか…

ザァァァ!!

突然の大雨…豪雨と言っていいほどの雨量
2人は樹木に避難するが木々の隙間から雨は落ちてくる

渡辺 最悪だよ…
宮地 傘とかレインコートとか…ないしね
渡辺 スタッフさんのほうにあったね
宮地 どうしよう…
渡辺 このままだとずぶ濡れになるし…でもむやみに動けないし…雨宿りできる場所あればいいけど

グループ最年少だが落ち着いており沈着冷静に今の状況を考える

一方…

宮地 ふぇ…ちめたいよぉ…周りも見えないし…もうやだぁ…

素の宮地すみれが出て混乱していた

その時

「おーい!宮地さん!渡辺さん!」

2人の名前を叫びながら近づいてくる

渡辺 …あれは
宮地 なんで…

2人が見た人物は紛れもなく〇〇だった

〇〇 良かった!無事だった!
宮地 …なんでわかったんですか
〇〇 後ろにいてさ、違うルート行ったの見えたんだよ、だから慌てて追いかけたらこの雨さ

フードあってよかった…なんとか視界は見えるから

渡辺 …別に…来なくても
〇〇 今はそんなこと言ってる場合じゃないよ、実際濡れてるし体温が下がってしまう
宮地 でも…雨宿りする場所なんて…
〇〇 僕に任せて

こんな状況に〇〇がやって来た…
複雑な気持ちだった

宮地 こんなところに…
渡辺 すごい…

〇〇に連れて来られたのは山小屋だった
3人がいた場所からそれほど遠くはなかった

〇〇 …良かった、薪がある

部屋の隅にあった薪の束をばらし、薪ストーブへ
着火剤を持ってきてたから火はすぐ着いた

〇〇 2人ともジャケット脱いで乾かそう、ちょうどハンガーもあるから。そのままだと風邪引くよ

おずおずとアウトドア用のジャケットを脱ぎハンガーへ


あの人は火を絶やさないように常に薪を入れ、その間に部屋にあった毛布を私と莉奈に渡してくれた
常に動き私達を暖めようとしてくれてる
…確かにあの人が来なかったら…

〇〇 はい、宮地さん
宮地 …え?
〇〇 コーンスープ。素持ってきてたから薪ストーブでお湯にしていれた。温まるから飲んで?
宮地 …ありがとうございます

おずおずと受け取ろうと腰を浮かし足を動かす瞬間

「いたっ!!」

足首に痛みが走る

〇〇 どうしたの?
渡辺 すみれちゃん?
宮地 あ、足が…
〇〇 ごめん、ちょっと見るよ
宮地 あ…


靴下を脱がしズボンを少し捲る
足首の辺りが腫れて赤くなってる

渡辺 …ひどい…腫れてる…
宮地 うそ…
〇〇 気づかないうちに捻ったかしたね
宮地 …どうしよう
〇〇 大丈夫、まだ軽いし応急処置すれば多少痛みは引く、ちょっと待ってて

バックパックから簡単な救急キットとタオルを出す

〇〇 転けたりなんか不自然に足を捻ったりしなかった?
宮地 …迷った時に1度段差に引っかかりました…
〇〇 その時かな?落ち着いたら痛みに気づいたかも
渡辺 なるほど…
〇〇 ちょっとごめん、応急処置するから

慣れた手つきで足首に包帯を巻く
軽い症状だと思うけど内出血してるかもしれないから包帯で軽く圧迫しておく
それからタオルにペットボトルの水をかけ、患部を冷やす

〇〇 よしあとはできるだけ動かさないよう安静にしてて?
宮地 …ありがとうございます…
渡辺 すごい手馴れてますね?ここの小屋もすぐ見つけたし
〇〇 実はさ登山とかキャンプとか好きでね
この山も登ったことあって山小屋覚えてたんだ
渡辺 なるほど…だから
〇〇 山は何が起こるか分からないからね、ある程度応急処置の仕方とか知ってたんだよ

照れながら苦笑いしてる

…やっぱりこの人がいなかったら…莉奈や私はどうなってたか分からない
何かが私の中でモヤモヤする…

〇〇 ここなら安心だから今のうち寝たりして体力温存してて?僕は雨の状況みてたりするから
渡辺 休まないんですか?
〇〇 大丈夫、ちょこちょこ休憩するしそれに…

「君達を守ることが僕の役目だから」

優しく微笑んでた

…私は…私は…

宮地 あ、あの
〇〇 ん?
宮地 ごめん…なさい…
〇〇 え?
宮地 今まで…酷い事言ったりして…
〇〇 気にしなくていいよ、個人として嫌われても僕はマネージャーだしその役目は果たすだけだから
宮地 でも…くだらない理由で…私達のエゴで…〇〇さんを傷つけたから…

僕はそっと宮地さんに近づく

〇〇 誰でも気に入らないことってあるからね
でも仕事をしっかりやれば問題ないよ

再び優しい笑みをこぼす

宮地 …〇〇さん
〇〇 今はゆっくり休んで?足も心配だから安静にしてね?
宮地 はい…
渡辺 〇〇さん…ごめんなさい
〇〇 渡辺さんも気にしないでいいから

莉奈にも優しい笑顔を見せ諭している
あの笑顔を見ちゃうと私がやってたことを悔やむ
くだらないこに意地張ってた私は…馬鹿だ

私達を守るか…
私はぼんやり考えてると睡魔がやってきてた…


渡辺 すみれ?すみれ起きて
宮地 …ん…莉奈
渡辺 雨止んだよ!
宮地 え?ほんと…?

いつの間にか寝てたらしく、莉奈に起こされる
窓からうっすらだが見えた
雨はやんでる

宮地 〇〇さんは?
渡辺 多分スタッフさん達探してるだろうから周辺見てくるから待っててって
宮地 そう…

本当に私達のために頑張ってくれてるんだ
すごいな…

心の中がさっきとちがうモヤモヤがやってきた
嫌悪感じゃない…なんだろこれ…

そんなことを考えてたら〇〇さんが戻ってきた

〇〇 スタッフさん達見つけたよ
渡辺 やった!
宮地 よかった…
〇〇 とりあえずこっちに向かってるけど合流地点まで向かおう。もう雨も大丈夫だから
渡辺 はい
〇〇 渡辺さん歩ける?ぬかるんでるから気をつけて
渡辺 はい、大丈夫です
〇〇 宮地さんは…歩けないからおんぶするよ
宮地 へっ?い、いやいいです!いいです!
〇〇 だめです、無理して悪化されちゃ大変だから
宮地 ……は、はい//

決して嫌だからじゃなかった
…なんか恥ずかしいから

〇〇さんにおぶられて山道を進む
莉奈はゆっくり慎重に歩いてる
〇〇さんは慣れた足取りで進んで行く
最初はおぶられて恥ずかしかったけど…

〇〇さんの背中は広くて暖かくて…落ち着く…


その後スタッフさんや小坂さんと高橋さんと合流した
小坂さんや高橋さんは宮地さんを心配し安堵していた
結局今回のロケは中止、宮地さんはすぐ病院へと運んだ

やはり軽い捻挫で1週間ほど安静と診断され、宮地さんはその間休みとなった

そして1週間後
今日も歩いて現場へと向かう

ん?前に2人…
よく見かける2人だ

〇〇 おはよう
渡辺 おはようございます〇〇さん

眩しい笑顔で挨拶してくる渡辺さん
あの1件から嘘のように挨拶して来てくれ、世間話もしてきてくれるようになった

一方…

〇〇 おはよう宮地さ…
宮地 おはようございますぅ…〇〇さん

は?え?
笑顔なんだけど…いつもとちがう…雰囲気とか

〇〇 あ、えっと…今日から復帰だね
宮地 はい、〇〇さんのおかげですよ?ありがとうございますぅ

…いわゆるあざとい感じというのか…なんかかわいらしくポーズつけたりしてる…

渡辺 〇〇さん…
〇〇 え?なに?
渡辺 …あれ、素のすみれです
〇〇 す、素?
渡辺 しかも…わざとあれやってます、可愛くみせるために…
〇〇 …そ、そうなんだ…
宮地 〇〇さん〜早く行きましょ♡遅れますよ〜

宮地さんは僕の腕を引っ張り歩いていく

〇〇 ちょ、ちょっと…
宮地 ほら〜行きますよ♡

なんだこの落差…全然思考が追いつかない…


ふふ…小坂さんも好きだけど〇〇さんも…
お仕事もっと楽しくなってきちゃった

これからも…守ってくださいね?♡


続く…

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