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優秀で鬼のように厳しい副会長は実はツンデレな女の子 7

麻衣さんはやることがあるからと居間から出ていった
居間に休んでいてと言って

遥香 …私のせいですね
祐希 賀喜ちゃん、まだそうと決まったわけじゃないよ?
遥香 でも…
祐希 …蓮加も自分のせいかもって考えてるよあれ
遥香 あ……

岩本さんは座ったままピクリともしない
虚空を見つめている
相当ショックを受けている

いたたまれない…幼なじみがそんなこと言ったら傷つく…

庭にいるペットであろう柴犬が座りながら岩本さんを心配そうに見てるように見えた…

日が暮れてきた
空は茜色に染る

それまで私たちは無言
岩本さんも変わらず固まっている

「ただいまー」

玄関から馴染みある声がした
その声で岩本さんはピクっと身体が動く

麻衣 おかえりなさい、○○
○○ ただいま
麻衣 ○○にお客さん来てるわよ
○○ お客さん?なんでここに…うわっ!?え?

居間に入ったら蓮加、会長、それに賀喜遥香までいる

○○ …なんでいるんだ…しかも…転校生まで…うわぁ?!

いつの間にか岩本さんは○○さんの胸ぐらを掴んで睨んでる

○○ れ、蓮加…?
蓮加 …逃げるの?本当に逃げるの?中学の時は逃げずに…相手を傷つけない優しさの逃げだったのに…
まだ引きずって思い出して怯えて逃げるんだ…
○○ 蓮加…待て…落ち着けよ
蓮加 落ち着けるわけないでしょ!私たちってそんなっぽけな仲だったの!私は…○○のこと…ずっと…ずっと…

遥香 …○○さん
○○ 賀喜遥香…
遥香 見損ないました…口論になった時、相手の気持ち考えろって私に言っておいて…岩本さんや会長さんの気持ち、何も考えてないじゃないですか…
お2人とも本当に○○さん心配してたんですよ
なのに音信不通…それで逃げ出して…はっきりいって最低です
お2人に謝ってください!
○○ お、おい…ちょっと待てよ…
遥香 待てへんわ!ボケ!!

祐希 ○○さ、とうとうやっちゃったね
○○ 会長も落ち着けって…
祐希 落ち着けるわけないよ、蓮加の気持ち踏みにじって…どれだけ心配してたと思う?賀喜ちゃんもそう、ずっと自分のせいだって気にして悩んでた…
2人の気持ち考えろ、逃げんじゃねぇよ!○○!

○○ ストップ!ストップ!マジで待て!な?

蓮加 …だから待てないって…!
○○ 違う違う!お前らさっきから何の話してんだよ?
祐希 はぁ?まだとぼけてるの?!
○○ とぼけてない!話がさっぱりわからん!
遥香 だって○○さん、もううんざりだとか…ここにいようとか言ったって麻衣さんが…

賀喜遥香の言葉で一瞬で分かった…

○○ …やってくれたな久しぶりに…謀りやがったな…

「麻衣姉さん」

遥香 麻衣…
蓮加 姉さん…?
祐希 謀ったってどういうこと?

姉さんはニヤッといたずらっ子のような笑みを浮かべる

麻衣 はて?なんのことかな?麻衣わかんないー
○○ …こんにゃろ
蓮加 一体どうなってるの?説明して
○○ 確かによ、もうんざりとかは言ったさ、でもよそれ意味合いが全く違うんだよ

…………

○○ やっぱりここいいね、姉さん
麻衣 でしょーご近所さんもみんな優しいし
○○ あの街に戻るよりここに住んでたほうがのどかに過ごせるね
麻衣 そうねーまああの街に未練はないし
○○ 姉さんにとってもううんざりだしね
麻衣 まあね、ここに来てよかったよ

…………

蓮加 え…それって…
遥香 麻衣さんに対しての言葉…?
○○ そうだよ、俺がってことじゃね…目的はわからねえが勝手に改ざんしてさも俺の意思みたいにいったんだよ…あの謀略女…
麻衣 ほーん、姉に対してそんなこと言うんだー
○○ やかましいわ!こいつら勘違いしたじゃねえか!どういうこった!
麻衣 この子達の『本音』を聞きたかったの、こんな遠いところまで来たのよ?私が焚き付けないと言わないかなって察してね
遥香 だからあんなことを…
麻衣 ごめんね、3人とも…でもちゃんと言えたね、○○に

ニッコリと微笑む麻衣さん

蓮加 …じゃあなんでここにいるの?賀喜さんのことで逃げたんじゃ…
○○ ちげーよ、確かに言い過ぎたって思ってるが違う、あの後姉さんから連絡があってさ、人手が足りないから来てくれないかって
蓮加 人手?
○○ ああ、農家なんだよ、畑や田んぼ持っててな、
んで一緒に働いてた人達が風邪引いて全然人足りなくてよ、だから若くてそれなりにやり方わかる俺を呼んだってわけだ
遥香 でもそれなら連絡したら…
○○ は?したぜ俺
遥香 え!
○○ 私用だから生徒会長用のメールにちゃんとした書式にして送ったよ、前に蓮加に言われてたからな、そういう場合は生徒会長用のアドレスに送れって
あとここに来る前日にも蓮加に電話したぜ、LINEしてもいつもスルーするから、電話もでなかったがな
祐希 んへっ?!
蓮加 ……ほんとだ着信来てる
遥香 …えっと…要するにお2人の勘違い…
○○ そういうこった、ちなみに書式にも連絡できないかもともちゃーんと書いてるぜ
祐希 …ほんとだ…○○ごめん!気が動転して…
蓮加 …ごめんなさい
遥香 すみませんでした○○さん…
○○ いいよ、悪かったなちゃんと伝えてなくて
お前らは悪くねぇ…悪いのは混乱させた…姉さんだ
麻衣 あら?責任転嫁?色々勘違いさせる要素があるからいけないんじゃないのー?
○○ やかましいわ!腹黒ババァ!
麻衣  ……ババァ?……ほーん?

姉さんの周りにはみるみるどす黒いオーラを放ち
悪魔のような顔をしている
3人は怯えている……
…久々にみたぜ…あやまろ…拗れる…

蓮加 麻衣さんは義理のお姉さん?
○○ ああ、血が繋がってないんだよ

蓮加を呼び出し周辺を散歩しながら話す

○○ 俺の母さんの前に前妻がいてな、その人の連れ子なんだよ
蓮加 知らなかった…
○○ 俺と蓮加が出会った時には家出てたし勘当されてたし姉さんの事は箝口令引かれてたからさ
蓮加 そうだったの…
○○ 歳もだいぶ離れてるけど勘当されても俺とは連絡取り合ってたし面倒みてくれててさ、本当に姉として慕ってるんだ
蓮加 いいお姉さんなんだね…
○○ あぁ…蓮加、悪かったな今回、中学の時のこと、賀喜遥香の事で勘違いさせてさ
蓮加 私こそ…電話出なかったし勘違いして…ごめんなさい…
○○ 気にするな…でも蓮加の言葉…伝わったぜ
蓮加 …恥ずかしいから
○○ 逃げねぇから俺は…この先も人を傷つけたとしても逃げねぇし…そうなっても解決する
蓮加 うん…
○○ ……蓮加からも逃げねぇから
蓮加 ……え?私?
○○ あぁ…俺にとっと蓮加は…

そう言って蓮加に近づく
顔がくっつく距離

○○ …なくしたくない大切な存在だから
蓮加 …○○…ん…

道路に映る影が1つに重なった……

続く…



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