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優秀で鬼のように厳しい副会長は実はツンデレな女の子 3

「ふぁ〜学校は退屈だねぇ〜」

特にあてもなく校内の廊下を歩いている
長髪で髪色は明るくネックレスとピアス
まさに歩く『校則違反』
毎日蓮加に注意されるがありとあらゆる策を使って逃げまくり、なにごともなくいる

不思議と教師には何も言われないのだ
そして男女ともに生徒から人気がなぜかある

…本人は全く気にしてないが


? あー!!○○くん!
○○ おや、まあ…

学校の廊下を歩いてると偶然はち合わした

小柄で小動物みたいな可愛い容姿
小走りにやってくる姿も小動物そのもの

?? 久しぶり!〇〇くん!
〇〇 いや昨日挨拶しましたよ、与田さん

目の前にいる小動物な人は与田祐希と言う

こう見えてこの学園の生徒会長
そう、副会長の蓮加を悩ませる元凶
ま、俺には関係ないけどな

○○ なにしてるんすか?
祐希 いつもの!
○○ …またっすか、たまには真面目にやらないんですか?
祐希 だってさ〜毎日毎日何百枚も書類に判子押すなんて飽きるよ〜
○○ それが仕事だからしょうがないでしょ
祐希 でも飽きるんだよ!…あ、やば!来る!
○○ …こわ〜い鬼が来ますよ〜
祐希 逃げねば…じゃね!○○くん!
○○ ご武運を祈ります

脱兎のごとく廊下を走る生徒会長
…毎日見慣れてるから何も思わん
てか、なんであの人生徒会長になってんだ?

…生徒会長が走っていた方ではない逆の方向から
氷のオーラを放ち無表情で早歩きしてる蓮加が来た

廊下を走らないのはさすが…校則を守ってやがるな

蓮加 …会長見なかった?
○○ そこ真っ直ぐ行って右、多分音楽室
蓮加 わかった

そのまま、スタスタ早歩きで立ち去る

こういう時、俺は素直に教える
あいつはあいつなりに生徒会を支えてる
だからいつもみたいにからかわない
…あの生徒会長見てたら蓮加に同情するぜ

しばらくすると…

「きゃぁぁぁ!お助けを〜!!」

生徒会長の断末魔が廊下に響く

…さて、見物にいきますかね


祐希 た、助けて〜!!
蓮加 …会長いい加減仕事してください、このたわけた時間が勿体ないです
祐希 やだ!やだやだ!判子押すのやだ!
蓮加 会長が承認しないとだめなんです。判子は会長のみにしか押せないんです…
祐希 じゃあ蓮加が会長になってよ!
蓮加 …お黙りなさい会長…とにかく仕事をしてください
祐希 うう…だって…
蓮加 さ、行きますよ

蓮加…焦りすぎじゃね?
困ってるのはわかるが少々与田さんが気の毒になってきた
しょうがねぇ…助けてやるか

そう思って近づこうとした瞬間…

?? あの…

1人の生徒が2人の前に立つ

蓮加 …なんですか?
?? 一方的に言ってはだめだと思います
蓮加 一方的になんて言ってませんが?事情も知らないのに口を挟まないで欲しいです
?? その人の言い分もちゃんと聞かないであなたの意見ばかり押し付けるのは一方的ではないんですか?
蓮加 …は?

無表情の蓮加の眉がピクッと動く

2人の視線がぶつかる
蓮加が言った後お互い睨み合いしばらく無言でいた

おいおい…あの蓮加に真っ向勝負する奴なんて初めてみたぜ…
身長が高く蓮加は身長低いからその分圧力もある

てか…あいつ…誰だ?

祐希 ま、まあまあ!やめよ!ごめん!祐希が悪かった!
蓮加 …会長
祐希 えっと…あなた、ごめんね?巻き込んじゃって
?? いえ、見るに見兼ねたので…大丈夫ですか?
祐希 うん、祐希が悪かったから…大丈夫!蓮加ごめん
蓮加 私は別に…

そう言って謎の女子生徒に向く
氷のように冷たい目で…

蓮加 あなた…名前は?

謎の女子生徒も真っ直ぐ蓮加の目を見て答える

「今日転校してきた1年の賀喜遥香です」

蓮加 …私は生徒会副会長、2年の岩本蓮加
遥香 生徒会副会長さん…
蓮加 迷惑かけてすまなかったわね、…会長行きましょう

2人は去って行った
賀喜遥香とかいう転校生は2人の姿が消えるまで見ていた
ここから表情はわからなかったが

あの後俺は屋上にいた
真っ直ぐ帰る気分にはなれなかった
なんとなく空が見たかった

…あんな蓮加見たくなかったぜ

あの転校生と口論になった時、ほんの一瞬…怯んだ目をした
今まで学園で蓮加に刃向かう奴はいなかった
初めての事だから怯んだ
あいつの絶対的な自信、まあおごりもあったんだろうな…言い返せなかった時点で蓮加の完敗だ

だから…あんな姿みたくはなかったよ

蓮加 …○○?
○○ …よう、蓮加

考えにふけってたらいつの間にか蓮加がいた
いつものように無表情

蓮加 …なにしてるの?こんなところで
○○ な〜に、ただの暇つぶし、お前こそどうした?
蓮加 見回りよ…あんたみたいに暇じゃないの
○○ へいへい、ご苦労さまですね

いつも通りおどけて見せる
蓮加に心配させたくないからな、辛いのは蓮加だ

蓮加 …早く帰りなさいよ
○○ なあ
蓮加 …なに?
○○ ちょっとだけ休憩しねぇか?空が綺麗だからよ
蓮加 ……

俺はその場に寝そべった
本当に空が綺麗だ……

無言で俺の横に寝そべる蓮加

お互い何も話さずずっと空を見てた

何か言おうと思ったがやめた
今かける言葉が見つからない…だから

蓮加の手をそっと握りしめた

一瞬ピクッとなるが蓮加も握りしめる
ぎゅっと強く…

空をしばらく眺めてる間、2人の手は恋人繋ぎに変わっていた


「はぁるぅかぁ!!おかえりー!」
「ちょっと!校門の前だから静かにして」
「なにを言うか!遥香の転校初日だぞ?喜ばずにはいられないだろっ!」
「わかったから車乗ろ、お父さん」
「うむ!遥香が言うならな!」

校門前に白いリムジンでお父さんが迎えに来た
正直恥ずかしい…

父 それであの学園はどうだった?
遥香 まあまあかな?初日だからまだわからないことだらけだし
父 そうかそうか!だが遥香、覚えておけ?今後様々なことがあるからな、悔いなくだぞ
遥香 わかってるよ
父 『後悔したら港を止まって女を探す』だ!
執事 …後悔先に立たず、でございます旦那様
父 る、類義語だ!

車内からボーと空を眺める
なぜかあの人の顔が浮かぶ

「岩本蓮加さん…生徒会副会長さんか…」

続く…

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