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優秀で鬼のように厳しい副会長は実はツンデレな女の子 17

和:…ここはどこですか?お兄ちゃん達も見失いました…
祐希:新世界ってところみたいだけど…人多いし…マップ見てもわかんにゃい…
和:私も地図見るの得意じゃないです…あやめさんは急用とか言ってどこか行ってしまいましたし
祐希:あぅ〜最悪だぁー!

祐希と和は新世界にたどり着いた
しかし、頼みの綱のあやめは忽然と消えた後からLINEで急用があるからと連絡があった
その代わり、知り合いを寄越すからそこにいて欲しいとの指示だった


あやめ:うまく巻けましたわ…すみません、祐希さん、和さん
優先順位は○○様ですから…大丈夫ですわよ、見捨てはしませんから…

○○のGPS位置を確認しながら移動中

祐希と和が色んな店を見て回ってた時に隙を突いて抜け出した

祐希や和の事も気になるが賀喜遥香の一件がやはり重要案件だ
移動してる間にも情報収集はしていた
…祐希さん達には公安のメンバーが久保さん達のほうに誘導するようにしてあるから大丈夫でしょう
とりあえず○○様に合流しないと…

蓮加:これが通天閣…
○○:ああ、東京タワーとかに比べれば低いが趣きがあるな、歴史を感じるっていうか
蓮加:うん、見上げて見ても情緒がある

新世界に着きまず見に来たのは通天閣
蓮加も俺も見たことがなかったから真っ先に見に来た
それにしても観光地、人が多い
特に外国人観光客が目立つ
あと…新世界って独特なんだな
飲食店がごちゃごちゃとあるし、怪しいガチャガチャがあったな
俺は見たかったが蓮加が顔を真っ赤にして見せてくれなかった

観光地を巡るデートではあるが俺も蓮加も満足してた
邪魔もなくふたりきりでいろいろな場所を巡る
長年の夢だったからな

○○:時間的にはもうあんまり行けねぇな
蓮加:そうね、この辺ブラブラするぐらいね
○○:それでいいか、蓮加?
蓮加:充分に大阪堪能できたし…デートができたからいいわよ
○○:……最後は晩飯食べて帰るか…まだデートはするぞ
蓮加:ふふ…うん

笑顔で応える蓮加

……その笑顔が見たかったよ蓮加


着信音が鳴った…俺からだ

○○:わりぃ…ちょっと電話きた
蓮加:いいよ、待ってるから
○○:すまん

蓮加から少し離れたところに移動する
…美波から?

○○:もしもし
美波:すみません…○○様
○○:どうした?

いつも冷静な美波が焦っている

○○:何があった?
美波:賀喜さんが…
○○:賀喜遥香がどうした?

美波:……賀喜さんがいなくなりました
○○:…マジか

美波が焦ってた理由はこれか……


○○様のGPSを追ってようやく見つけた
でも○○様は通話している最中、蓮加さんは少し離れて待っている

デート中に通話?
でも……○○様の顔が険しい…

??:あ、あの…
あやめ:ひゃぅ!?

背後から声を掛けられ思わず大声を出すとこでしたわ
驚きながら後ろを向いた

あやめ:……あなたは確か
桜:○○様の監視役の川崎桜ですぅ…
あやめ:…監視役ではなく護衛役ですわ…それより○○様は誰と話してるかわかりますか?
桜:かすかに聞こえたのは美波って名前でした…
あやめ:相手は梅澤さんですわね…○○様の表情からすると…
桜:イケメンですね〜
あやめ:話の腰を折らないでください…
桜:あ、すみません〜

…また厄介な人が現れましたわ…
それより恐らく嫌な予感しかしません
何かあったのは間違いない
しかし…蓮加さんがいるのはまずいですわ

桜:筒井さん
あやめ:今度はなんですの…
桜:○○様、電話終わりました、偶然あったふりしていかれては?
あやめ:…確かに私が直接合流すれば○○様も動きやすいはず…デートのお邪魔をしてしまいますが
桜:邪魔しましょう
あやめ:…川崎さん…あなたがわからないですわ…

川崎さんは引き続き隠密に○○様の護衛につくため姿を消した
天然というかとぼけた人ですがいつの間にか消えたのはさすがですわ

早く○○様のところに行かねば…

電話を切ったあとあやめが偶然を装いやって来た
恐らく桜になにか聞いたのだろう
だが今は助かる

蓮加:どうしたの?あやめ?
あやめ:祐希さんと和さんと一緒にいたのですがはぐれてしまいまして…私に急用があったものですから
○○:ちょうどいいとこれに来た、あやめ…それと蓮加も聞いてくれ
蓮加:何かあったの?

○○:賀喜遥香が宿泊先から消えたらしい
あやめ:ほんとですか……
蓮加:え……どういうこと?説明して
○○:ああ…1から説明するよ

修学旅行前後の賀喜遥香の行動を同室のさくらちゃんから聞いて相談されたという話をした
さらに美波から情報ではさくらちゃんが貧血を起こし美波が付き添ってる間に賀喜遥香はいなくなったらしい

当然だが美波の名前は出してない
あとネットで見つけた誹謗中傷の話もしておいた
もちろん偶然、見つけたと

○○:…そういう状況だ
蓮加:…最悪な状況じゃない…
○○:まさかこうなるとは思わなかったぜ…
あやめ:とにかく今は悔いてる場合ではございません
蓮加:そうね、先生方と生徒会に連絡するわ、生徒会でも探してみるから
○○:しかし闇雲に探してもな…ホテル周辺が限界だろ
蓮加:それでも探さないより…
あやめ:心当たりはあります
○○:ほんとか?
あやめ:賀喜さんの昔のブログを見つけました、日記風に書いてあるんですが…それによく出る地名がございました
蓮加:ほんと?
○○:……どこだ?

「難波……彼女が生まれ育った地ですわ」



……外なんて出たくはなかった

でもこのままじゃいけない気持ちが勝った

気づいたら自然とホテルから出ていた
さくも梅澤さんって人も部屋にはいなかった
その間寝てたから

そして今御堂筋線に乗っている

…懐かしいな
よく乗ってた…

ボックス席には私だけ

窓から久しぶりの大阪の街並みを見ていた
あんま、変わらへんな…


スっと私の隣に誰かが座った

私は構わず窓からの景色を見ていた

「…なんでおるん?」

え…?私…?

「…遥香…あかんって言ったやろ…」

この声は…

久しぶりに聞く…友だった子の声…
なんでおんねん…

…彼女に話しかけようとした次の瞬間…

私の身体を闇が覆い尽くした

私の目の前には黒のパーカー、制服らしき短いスカート…

フードの中からは口元だけ見える

闇がどんどん私の身体を侵食していく

そのぐらいの無言の圧力

私は目の前の…人物を知っている

……私の元親友

「……久しぶりやな」

無機質な声で言うと席に座り、フードを取る
無表情な顔が現れる

震えが収まらない…

真正面だから余計にわかる…

「ほんとに久しぶりやな…」

顔を近づけてこう囁いた

「…裏切り者」

光も何も宿らない漆黒の瞳で無機質な声だが鋭利な刃物のような鋭さがある言葉

…彼女は残忍な笑みを浮かべていた




菜緒……どうしてや……


続く……

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