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優しく…教えてあげる?

「んーー○○」
「……はい」
「今回のテストもだめだ」
「…やっぱり…はぁ」

放課後の誰もいない教室に担任の若林先生といる
机を付けて向かい合わせに椅子に座る

若林:一生懸命やってるし真面目だし課題も忘れず提出してる…だけどなぁ〜
○○:…………
若林:お前要領が悪いんだよ
○○:…要領…悪いですかね?俺…
若林:気づかなかったのかよ!あちゃ〜

大袈裟にリアクションを取ってきた
…いつものことだけど

若林:例えばさ、数式を解くとするだろ?答えまでは順調なのに答え寸前でコツを掴めなかったりするんだよお前は
○○:俺が……
若林:ここからが本題な…夏休み入る前に追試やるからお前ひとりで
○○:つ、追試ですか…
若林:そうだ、んで平均取れなきゃお前は…

『留年な』

○○:はぁ!?留年!?夏休み前に?なんで…
若林:俺だって知らねぇよ、学年主任のピンクベストが校長と決めたんだと

あいつか…春日先生
1年の時から目の敵にはされてたけど…あのピンクベスト…許さん

若林:とにかくあと2週間ある、要領の悪さを克服すりゃお前なら平均点は超える
○○:でも自分でもわからないのにどうすれば…
若林:んーとりあえず先生、話聞いてやるしわからないことも聞いてやる
○○:若林先生…
若林:個人的にあのド変態ピンクベスト嫌いだからな!

あぁ…私怨ですか…

ガラガラ…

教室の後ろの扉が開く

「あっ…」

若林:お〜小坂〜どうした
小坂:あの…忘れ物しちゃって…お話中ですか?
若林:おう、今終わったぞ、話してても小坂は入れてやる
小坂:は、はぁ…
○○:…先生…贔屓はだめですよ…
若林:約1年間は金村と小坂は贔屓していきます
○○:奥さんに怒られませんか?
若林……すごい怒ってる
○○:…でしょうね

小坂はぽかんとして忘れ物のスマホを握りしめてる

若林:あっ!○○!先生な、いい事思いついたぞ

そう言って若林先生は小坂の元にいき何か話してる
小坂、めちゃくちゃ困惑してる…

若林:おう!○○、小坂が話があるそうだ
小坂:……
○○:……

…話がある割には言いにくそうだけど

小坂:ま、○○くん…
○○:は、はい

「な、菜緒と…一緒に…お勉強しようにゃん♡//」

○○:…にゃん…へっ?

「楽しく…菜緒と…する?♡//」

若林:小坂ー変な事聞くなよー
○○:う、うん…今のは…
小坂:ち、ちがう!若林先生が言ったんです!
若林:へっへっへっへっ…

だろうね、小坂…先生に言わされたのはわかってる

若林:そういわけだから小坂と勉強しろ、な?
○○:本当だったんですか…
若林:俺がずっと教える訳にはいかないし、小坂は成績優秀だからな問題ないぞ
○○:いいの?小坂
菜緒:…大変そうだし留年かかってるんでしょ?
○○:まあ…うん…
菜緒:菜緒が教えられる範囲なら教えるから
○○:ありがとう…小坂
菜緒:…うん//
若林:(要領が悪いね〜ただの鈍感野郎だな)

翌日から放課後小坂に勉強を教えてもらうことになった
ただあまり目立ちたくないという小坂の希望で彼女の家でと提案してきた
両親が共働きで夜まで帰らないからと

俺は勉強できればどこでもいいので快諾した
留年かかってるからな
小坂は家に着く間ソワソワしていた
…どうしたんだろ

小坂の家に着きリビングに通された
私服に着替えたいからと自分の部屋に戻った

さあ…あのケチな横分けピンクベストにギャフンと言わせてやる

「お、お待たせ…」

私服でやってきた小坂

○○: じゃあお願いします!勉強!
小坂:…へっ?

あ、あれ?なんか反応が変だな小坂

明らかに菜緒の私服は部屋着とも言えない服装
お出かけ用の服装、菜緒が一生懸命コーディネートしたのだ

だが○○は全く気づかない

菜緒:(ほんまに鈍感…)

菜緒:菜緒の部屋でやろ?
○○:いいよ

菜緒に案内されてついて行く○○
でもなにも気づかない

菜緒:(菜緒…魅力ないんかな?)


菜緒:…そうこの公式はあってる…でもこの問題はだめ…途中まではいいんだけど
○○:わかってるつもりなんだけどな…
菜緒:んーなんでやろうね…
○○:途中から集中が途切れる気するんだよね、それがよくないのかな…
菜緒:集中…

…集中力…つまり答えだけを解くようにすれば…
試練を与えて集中力を高めれば…

菜緒の頭の中は試練を考えていた
やるしかない…○○くんのためだもん…

菜緒:あっ!頭使って疲れたでしょ?飴ちゃん食べて糖分とろ!

○○くんの位置なら…

菜緒は飴を取るため戸棚に腕を上げる
今日の服装は菜緒の脇が見えてしまう仕様

お、男の子は見ちゃうって金村が言ってた…
恥ずかしいけど我慢…//
じっと見てたら集中力足らへんでって言える…
それ繰り返して耐性つければ集中力があがるはず

チラッと○○を見るが…

○○:んー何がいけないんだろ

考え込んでてみてへんやん!大恥や//
そ、それなら次!

飴を渡し勉強再開
○○くんは問題を解いている
こ、ここしかない…

○○:…ねえ小坂、ここなんだ…けど…

じーと小坂が見てる…微笑みながら

見てる!○○くん!よしっ、これなら…

菜緒:○○くん?あかんで?しゅう…
○○:あのさ…ここわからないんだけど

へっ?!
男子は相手に見つめられると弱いって金村言ってたのに…効かない?なんで…?

菜緒:う、うん…ここはね…

恥ずかしい…あんなん初めてやったのに//
これは…手強い
でも○○くんの集中力高めないと…
留年はさせたくない…だって…菜緒は…

し、しかたない
最終…手段しかない…

○○:う〜ん、難しいな…なかなか解けない
菜緒:どこ?
○○:ここなんだけどさ…
菜緒:どれ…?

菜緒は○○の顔に近づけるようにし、…見えるか見えないかギリギリまて前のめりになる

…金村が言ってた…男子はチラッが好きらしい
菜緒にはよくわからへんけど…これ恥ずかしい//
○○くん…見ないで…いや見て…ちゃう!これは
集中力高めるため…でもあかんてぇ…//

○○:なるほどね…こうかな?
菜緒:う、うん…合ってる、できてるよ
○○:よかったぁ〜

全然みてへんかった…
菜緒の作戦は無駄だった…
今思うと顔から火吹きそう…
でも○○くんのためやから諦めらへん
明日も頑張らなきゃ

金村はあかんから史帆さんかあや姉さんから聞こう

それから追試までありとあらゆる手を使っても効果なし、菜緒を見もしない

…菜緒のプライドはもう…ないわ

そして追試の日

若林:いよいよだな準備はいいのか
○○:はい、大丈夫です、小坂のおかげです
菜緒:…私は別になにも…

勉強を教えただけ…菜緒の作戦は全部失敗したし
要領の悪さは…直ったかわからへんもん

春日:おぅ〜逃げずにきたね、○○君〜いいね〜
若林:じゃ、行くか小坂
菜緒:はい…
春日:若林さん、春日を無視するのかい
若林 相手する暇ないんでね
春日:春日のここ、あいて…ぶほへぇ!
若林:やかましいわ!さっさとやれ!

いつの間にか若林先生はピンクベストにドロップキックを炸裂させていた

ガラガラ…

○○くんが教室から出てきた

菜緒:どうだった…?
○○:……平均点超えた…
菜緒:ほんまに?…よかった…
○○:ピンクベスト悔しがってた
菜緒:…だよね
○○:小坂、ありがとう。小坂のおかげだから
菜緒 菜緒は…何も…
○○:あのさ…小坂…色々してたでしょ…
菜緒:えっ…?
○○:顔近づけたり…戸棚大袈裟に腕あげたり…

え…嘘…全部見られてたん?
ふぇ…//

○○:小坂が色仕掛けみたいのしてたからおかしいなって思って見ないようにしてたら、集中力高まってさ…思うように解けるようになったんだよ
菜緒:…うん、よかった//
○○:…我慢してたんだからな
菜緒:ごめんって…
○○:…1番集中力高まったのは…

『追試合格したら…菜緒と海行かへん?』
『…○○くんの好きな水着にするから』

菜緒:はぅ…//
○○:それは今も有効?

菜緒は微笑む

『水着買うの初めてやから…優しく教えてな?』


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