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福田周平はなぜ一軍昇格が遠かったのか

みなさんこんにちは、いっちです!

昨日5月11日、オリックスファンが待ちに待った福田周平内野手(28)が一軍に昇格し、この2試合で6打数2安打1四球1得点と期待通りの活躍を見せました。

しかし過去3年で福田が安定した成績を残せていたのにもかかわらず、開幕後2試合に出場し5日目の3月30日に登録抹消されその後一月半ほど二軍生活が続きました。

この二軍降格は私だけでなく多くのオリックスファンからも疑問だったようで、彼が二軍暮らしをしている間、一軍昇格を待望するツイートが頻繁に見られました。

このnoteではなぜ二軍暮らしが長くなったのか、について私なりの考察をしていきたいと思います。

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昨年までの福田周平選手

まずは「なぜ」福田周平の二軍落ちが疑問視されたのかを語る上で欠かせない過去3年で彼が残した実績について簡単に説明したいと思います。

まずは彼の成績から

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昨年は怪我の影響で出場機会を減らしましたが、毎年のように一軍で多くの試合に出場し、安定した成績を残しています。
特に出塁能力には定評があり、長打力に優れるとは言い難い福田選手が森友哉選手や吉田正尚選手と肩を並べる出塁能力を示すIsoD(出塁率-打率)を叩き出しています。その秘訣は高いゾーン管理能力で、ボール球には手を出さず空振りも最小限に留める力は球界屈指と言って良いでしょう。

また、打率や出塁率が一定の水準で安定しているのは起用する首脳陣としても計算がしやすく、彼の優れている点の一つと言えると私は考えています。

守備については、1年目と2年目は二遊間の主にセカンドを守り、リーグで平均ほどの守備指標をマークしていました。3年目の昨季からは二遊間に加えサードも守るようになり、今季からは新たに外野にも挑戦しています。

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なぜ登録抹消されたのか

ここからは本題としてなぜ福田周平の登録抹消期間が長かったのかについて、私見になりますが述べていきたいと思います。

まずは今年の開幕一軍メンバーを見ていきましょう。

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このメンバーから想定される布陣と各選手の優先度は

1B モヤ T-岡田
2B 太田椋 福田周平 大城滉二
3B 宗佑磨 福田周平
SS 紅林弘太郎 大城滉二
LF 吉田正尚 T-岡田
CF 佐野皓大 中川圭太 福田周平
RF 杉本裕太郎 佐野如一 小田裕也
DH ジョーンズ

という感じでしょう(異論は認めます)。

そして彼が出場選手登録を抹消された際、代わりに上がってきたのは内野手の安達です。安達が合流した後の布陣は

1B モヤ T-岡田
2B 太田椋 (福田周平) 大城滉二
3B 紅林弘太郎 宗佑磨 (福田周平)
SS 安達了一 紅林弘太郎 大城滉二
LF 吉田正尚 T-岡田
CF 佐野皓大 中川圭太 (福田周平) 
RF 杉本裕太郎 佐野如一 小田裕也
DH ジョーンズ

ショートの一番手に安達が入り、開幕から3試合でショートを守っていた紅林が押し出されるようにサードの一番手に移動し福田はサードの序列が下がってしまい、安達との入れ替えの対象になってしまいました。

ではなぜ福田が入れ替え対象になったのか、見方を変えるとポジションが被る他の選手はなぜ一軍に残れたのかについて考察したいと思います。

2B 太田椋 (福田周平) 大城滉二
3B 紅林弘太郎 宗佑磨 (福田周平)
CF 佐野皓大 中川圭太 (福田周平)

福田の戦場であった3ポジションの共通点は、セカンドは太田椋、サードは紅林、センターは佐野皓大というように有望株と言える選手が存在することです。
太田、紅林は言わずもがな野手のトッププロスペクトで、佐野皓大はオープン戦で打率3割、2本塁打と課題の打撃で結果を残したので、彼らに一軍で打席数を与えることが首脳陣の中で確定事項だったように思えます。

他の競争相手を見てみると、大城と宗は内野守備のスペシャリストでこれまで多くの危機を救ってきました。特にオープン戦からセカンドで起用されてきた太田はエラーが多く終盤の守備を任せるには心許ない部分があり、バックアップは不可欠でした。福田の守備も悪くはないのですが流石にこの2人には及びません。中川圭太もオープン戦で打率.360と結果を残し、センター守備も初心者の福田より上手く、またファーストもこなすことができます。ちなみに福田はオープン戦12打席ノーヒットで、開幕後は唯一スタメンだった試合でも3の0と打撃に陰りが見られました。

これらの要素を掛け合わせると、
・優先してに打席に立たせるのは2B太田、3B紅林、CF佐野
・2B太田には守備固めが必要
というイメージが浮かび上がり、つまり打撃を売りにする福田に打席数を与えることができず守備のバックアップには上位互換がいる状態になっていたのです。

加えて前述してきたように福田は安定した成績を残せることを過去2年で証明しており、これより上積みができるかというと微妙なところだったので「打席数を与えてどれだけ出来るかを試す」という観点からもまだ未知数な要素が多い他の選手を差し置いて一軍に残す必要性が低く、安達の昇格とともに二軍降格になったと私は考えています。

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なぜ二軍帯同が長かったのか

次に彼が二軍に帯同していた間の一軍の動きを見ていきたいと思います。
福田が再昇格した5月11日より前のセカンドとサード、センターでスタメンに出場した選手と成績は以下の通りです

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セカンドでは太田が一軍の壁にぶつかりサードには宗が守備力と勝負強さを武器に台頭センターは中川がリードしますがOPSは今ひとつという状況が見て取れます。
ここで打席数に注目すると、太田や紅林はプロスペクトらしく多くの打席数を与えられ、佐野は打撃の低迷により70打席ほどでフェードアウトし代走や守備固めでの出場がメインになっています。その代わり争いに残った宗と中川は多くの打席数を勝ち取り、一定の結果を残したのです。
目安的には100打席で彼らの実力を推し量れたということなのか、このタイミングで首脳陣はレギュラー争いにストップをかけ、日程の都合上で増井を登録抹消し福田を一軍に昇格させました。

すなわち、福田が二軍に帯同していた間一軍に残った彼らはふるいにかけられ、戦力として見極められていたのです。だから福田周平は1ヶ月半もの間二軍生活が続いたのだと私は結論づけています。

また福田が戦列を離れる中、チームは四球が少なさに伴い本塁打数が多い割に得点数が伸び悩み、セカンドの太田は攻守に不安定なプレーが目立つなど、皮肉にも彼の存在の大きさを痛感させる多くの出来事が起こりました。ではなぜ福田はそれでも一軍に昇格しなかったか、それはチームの中長期的な方針があったからだとも言えます。

オリックスは長い間Bクラスに沈み、その低迷を打破するべく編成を見直し自前の選手を主体とするチームに方針転換しようとしています。(詳しくはこちらのnoteを参照ください
その中で改革の最前線が二遊間の太田と紅林で、先ほどのスタメン数から見ても彼らを不動のレギュラーに育て上げ他球団と戦えるチームにするという強い意志を感じます。

つまり中嶋監督に求められている采配は、目の前の一勝を勝ち取るよりも数年後の上昇チームの礎を築くことを優先することなのです。当然セカンドに太田ではなく福田を起用すれば今年の勝率は少し変わるかもしれませんが、それでは意味がないのです。将来性を捨ててまで目の前の一勝を追い求め続けた結果が20年で18回のBクラス、この方針は失敗だったと言い切れます。
オリックスを変えるための投資、それに巻き込まれる形で福田は二軍生活を余儀なくされたと私は考えています。逆に一軍に残った前述の選手たちは酷い表現をすると「負け残り」で、ある程度計算の立つ福田選手は「勝ち抜け」で二軍に降格し、一軍に残留した彼らは「"今"ではなく"今後"どのような形でチームに貢献することができるのか」の争いを繰り広げていたのです。
「なぜこれが二軍ではなく一軍で行われたのか」という疑問を抱く方もいると思いますが、オリックスは中嶋監督自身が「二軍が二つある」と表現するように再建期のチームで目の前の勝敗には大きな意味がないことと、昨季の中川のように二軍では無双するが一軍では成績を残せず、という選手もいるので一軍で競争させる必要性が高かったからでしょう。

これらをまとめると彼の二軍生活が長かったのは
・一軍当落上の選手の見極めが必要だった
・中長期的な視野を持って進める上で「現在は」起用の優先度が低かった
という理由があったからです。

ローテ再編に伴い増井と入れ替わり福田が昇格した一方で、今後交流戦前に降格を余儀なくさせられる選手もいるのですが、偶然にもロメロが体調不良により降格との報道が出たので、実質ロメロとの交代と見て良いでしょう。

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最後に+感想

自分自身としても福田の二軍降格からしばらく再昇格が来なかったことには疑問点が多かったのですが、例えば「最近の成績が悪かったから」などの短いスパンでのファクターばかりを見るのではなく、中長期的なチーム作りという過程や彼の実績などを踏まえた上で多元的な観点から考えることの重要性をより実感しました(笑)。

また福田は個人的に特に応援している選手の一人ですし、彼の高い出塁能力が重量打線の今のオリックスにどのような化学反応をもたらすのか、期待していきたいです。

また拙い文章になりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。
ご指摘や意見等があればコメント欄やTwitterにていただけると幸いです。

次回の更新は未定ですが、気が向けば今回のように書いていきたいと思います。

では。

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