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なぜオリックスは連覇できたのか -中嶋監督の凄さを解剖する-

みなさんこんにちは、いっちです。
オリックス・バファローズのファンの皆さん、この度は優勝おめでとうございます。正直なところ開幕前の私はAクラスに入れれば御の字くらいに思っていて、まさか二連覇できるとは夢にも思っていませんでした。

この投稿をご覧になっている皆さんは、今年の優勝の要因は何だと考えていますか?
・日本のエース・山本由伸
・パリーグ最強打者・吉田正尚
・復活の天才・中川圭太
・抜群の安定感を誇ったリリーフ陣
などなど、10人いれば全員がそれぞれ違うことを答えているかもしれないくらい、今季のオリックスは様々な要因が重なって優勝できたと思います。まさに「全員で勝つ」を体現した野球です。

ちなみに私は今年だけでなく昨年の優勝の一番の要因も中嶋監督だと考えていて、この投稿で中嶋監督のどこがどう凄かったのかを熱く語っていきたいと思います。長い駄文になると思いますが、何卒お付き合いくださいm(_ _)m


今季のオリックス

昨年の覇者オリックスは開幕戦にこそ12年ぶりに勝利できたものの、順調に来ていたわけではなく春先は佐々木朗希投手の完全試合に象徴されるように、貧打で勝てない試合が続いていました。
さらに追いうちをかけるように新型コロナウイルスがチーム内で猛威を振るい、思うようなメンバーで戦えない試合が続きました。5月10日には楽天が11連勝で貯金18とする一方、オリックスは借金5でゲーム差11.5。その2日後には今季最大となる借金7となってしまいました。
しかし裏を返せばその時が今年の底で、そこからは上位争いに食い込む躍進を見せました。

 出典:プロ野球freak
https://baseball-freak.com/chart/

最終的な順位や対戦成績は上にある2枚の写真(Yahooより引用)の通りですが、2位のソフトバンクと勝敗や引き分け数が全く同じで、リーグの規定により対戦成績で優っていたので優勝できたという形になります。2チームが同率の上、対戦成績で上回って優勝が決まるのは史上初の出来事でした。
本当に微かな差が勝敗を大きく分けた。今までにないほど白熱したペナントレースだったと言えるでしょう。

さらに劇的だったのはその決着のつき方です。
9月15日に首位だったソフトバンクは優勝マジック11を点灯させ、その翌日には2位オリックスとのゲーム差を3.0に広げ、京セラドームでの首位攻防3連戦を迎えます。しかしそこでオリックスはソフトバンクに3連勝し、優勝マジック9は消えないもののゲーム差なしという熾烈な接戦を繰り広げることになります。
しかしオリックスがいくつか試合を落とす一方でソフトバンクはしっかりと勝ちを積み重ね、9月29日にはついに優勝マジックを2とします。翌日9月30日の楽天戦にもきっちり勝利しマジックを1に減らしますが、オリックスは9回裏に難攻不落だったロッテの守護神オスナ選手から福田選手のセーフティバントでなんとか勝利をもぎ取り、優勝は翌日以降に持ち越されます。
その次の日、ソフトバンクは西武から9回表に追いつくなど粘りを見せますが、シーズンで負けがなかった藤井選手が痛恨のホームランを浴び敗戦。捕手の海野選手と共に泣き崩れました。
そして運命の日、10月2日が訪れるのです。この時点でのオリックス優勝の条件は「オリックスが楽天に勝利し、尚且つソフトバンクがロッテに負けること」。かなり厳しい状況でした。
ですが結果はみなさんが知る通り、オリックスが勝利、ソフトバンクが敗戦しオリックスの連覇が決まりました。
だからこそ今年の劇的なペナントレースは一つの伝説として語り継がれていくのでしょう。


しかしながら、オリックスの戦力は飛び抜けていたかというとそうではなく、得失点差+32はリーグで2位ながらソフトバンクの+84と比べるとかなり見劣りします。そして得失点差から算出されるピタゴラス勝率は.529と、実際の数値である.539を下回っています。
つまり、今年のオリックスは圧倒的な戦力で勝てたわけではなく、上手く工夫して戦力以上の勝ち星を積み上げた、采配による部分も少なくないと私は考えています。
中嶋監督の采配がどう優れているか次の章から解説していきます。


2022/03/02撮影

完璧に近い野手運用

中嶋監督の優れているところは数えきれないほどあるのですが、一番最初に取り上げたいのは、シーズンの計をしっかり立てて、持っている戦力を最大化させている「完璧に近い運用面」だと私は考えています。

日本ハムの新庄剛志監督が今年は登録名を"BIG BOSS"にしていたようにMLBでは監督が"BOSS(上司)"と言われることも多い(?)(MLBには疎いのでよく分かりませんが)一方で、中嶋監督は日本語から英語に監督と直訳した際の"Manager"という印象が見て取れました。Managerとは他にも管理人等の意味があり、中嶋監督は管理をする人としての監督だと私は考えています。

話が少し脱線してしまいましたが、昨季支配下の野手で一軍出場していないのは高卒ルーキーだった元謙太選手と中川拓真選手を除けば廣澤伸哉選手と岡崎大輔選手の2名のみ、今季に至っては(コロナ感染で大量の離脱者が出たとはいえ)中川拓真選手以外全員の野手が一軍で出場機会を得ています。

そしてスタメンのバリエーションは投手を除いても今季143試合で実に140通り。昨年はなんと143試合全てを違うメンバーで組むなど、スタメンを完全に固定せず流動的に選手を入れ替えながらシーズンを戦いました。
その真髄は「試しながら勝つ」と言う点にあります。
昨年書いた「福田周平はなぜ一軍昇格が遠かったのか」という題名のnoteでも書いたのですが、序盤や中盤までは能力や実績が未知数な選手を起用することが多く見られます。福田選手や若月選手などある程度の実績がある選手を差し置いて、昨年ならそれまで実績がなかった紅林選手や杉本選手、宗選手らを開幕から1ヶ月はスタメンで多く起用し続けました。そこで結果やポテンシャルの大きさを示した彼らはレギュラーに定着し、逆に結果を残せなかった太田選手らの出場機会はこれまでに実績を積んでいた福田選手や若月選手らに移行し、新たに台頭した選手とこれまでのレギュラーで組んだ、福宗正杉に代表される強力な打線が組めるようになりました。
保守的な監督なら福田や若月など、ある程度の実績がある選手を優先的に起用する堅実な采配を行うと思うのですが、中嶋監督は野手の軸になるのが吉田正尚しかいなかったのを逆手に取り、積極的かつ大胆な抜擢を行う中でレギュラー格の野手を一気に増やしました。その功績として、これまでにチームで2,3人しかいなかった規定打席到達者が昨年と今年は共に5人と一気に増加しました。

そして今年はある程度レギュラーが固まっていたことを背景に控えや準レギュラーの底上げを重視していたように思えます。今年は新型コロナウイルスがチーム内で蔓延し、離脱する選手も多かったのもあり前述した通り中川拓真選手を除く全ての支配下野手を一軍で起用しました。特に思い切った抜擢だと思ったのは、開幕して1ヶ月ほどのゴールデンウィークに高卒ルーキーの池田陵真選手を一軍に昇格させスタメンで起用したことです。ラベロ選手の不調や主砲の杉本選手が離脱したのもあるのですが、ここでルーキーの池田選手を大抜擢し、初ヒットや初打点、さらにはあの佐々木朗希選手からもヒットを記録するなど、18歳とは思えない活躍を見せます。
またシーズン中盤の7月には当時そこまで不調ではなかったにも関わらず福田選手を定位置の1番から外し、多くの選手をリードオフマンで起用しました。7月7日からの1ヶ月で福田選手が1番に入った試合はわずか4試合、他の20試合では実に7名の選手を1番で起用しました。結局1番打者は福田選手に落ち着くことになるのですが、シーズン中盤であってもレギュラーを固定せず、様々な可能性を模索する大胆さは中嶋監督ならではだと思います。
重ねて福田選手の話題になるのですが、9月上旬に打撃不振に陥り、日ハム戦での走塁ミス(万波のファインプレー)もあり、福田選手は二軍降格になってしまいます。シーズン終盤の大事な時期にレギュラーを思い切って二軍に降格させるのは衝撃が走りましたが、復調を信じて状態の悪いまま起用し続けるような目先の無難な選択肢を取るのではなく、心身共にリフレッシュして10日後に状態を上げてもらうという、ハイリスクながらもハイリターンな先を見据えたチョイスができるのが中嶋監督の長所だと思います。さらにその翌日、空白になった1番打者にルーキーの渡部遼人を抜擢するなど、シーズンの終盤になっても無難な最善策で妥協するのではなく他の選択肢を探し続ける姿勢を見せました。その渡部はさらに次の日でプロ初安打、初打点を挙げる活躍で勝利に貢献しました。このような起用から今季は主に控えで昨年より多くの選手が活躍し勝利に結びついたのだと思います。福田も最短の10日間で一軍に復帰すると即日の決勝タイムリーを含む3本の決勝打を放つ活躍を見せ優勝に貢献しました。

長々と書いてしまったため中嶋監督の野手運用をまとめると、
・序盤は実績のある選手を敢えて使わず、若手や実績のない選手を試す場にする
・レギュラーが固まりつつあったシーズン中盤でも新たな可能性を模索した采配
・目先の無難な最善策よりも先を見据えたハイリスクハイリターンの選択肢
というように大胆な抜擢を繰り返し、多くの選手に出番を与えることでモチベーションを上げるとともに、チームにダイナミズムをもたらしていたのです。
前任の西村徳文監督の時代は貧打のチームでしたが、その頃に比べても野手はそれほど入れ替わっていないことを考えると、抱えている選手を最大限に活用し攻撃力を底上げした中嶋監督の凄さがより伝わるかと思います。


伏見寅威捕手 2022/03/19撮影

見事な捕手分業体制

野手の中でも捕手の運用に関しては12球団トップクラスと言えるのではないでしょうか。
西村前監督のもとでは若月選手が正捕手として起用され、高い守備力を披露する一方で打撃面は思うような結果を出せない苦しい状態が続いていました。
中嶋監督は代行時代に当時は山﨑福也選手の専属捕手だった伏見選手を見出し、山本選手や山岡選手など今までにはなかった組み合わせのバッテリーを組ませました。翌年、伏見選手は前述した山﨑福也選手だけでなく、ブレイクした宮城選手、田嶋選手など左腕の先発投手とは相性の良さからバッテリーを組む機会が増え、試合出場数を大幅に伸ばしました。
それによって若月選手の負担は減少し、打席数が減ったにもかかわらず本塁打数はキャリアハイを記録し、さらに守備面でも山本選手との最優秀バッテリー賞を受賞するなど、2人とも良いパフォーマンスを発揮することができました

ここまでは昨季の話で、今季はここに頓宮選手が本格的に加わります。
伏見選手がシーズン途中で怪我による離脱をしてしまったこともあり、頓宮選手に捕手としての出番が増加します。そこで頓宮選手は新外国人のワゲスパック選手や、ルーキーの椋木選手とバッテリーをよく組むようになりました。頓宮選手は高めの速球を使うリードが巧みで、高めのストレートで空振りを奪える両投手とは相性がかなり良いのです。また左腕の、特にカーブを用いたリードが得意な伏見選手は前述したように宮城選手や山﨑福也選手と、チームでブロッキング能力に最も優れている若月選手は主に山本選手と組むことが多く、多彩な投手陣のそれぞれの強みを引き出すことのできる3人の捕手を上手く抜擢し、揃えられたことは捕手出身である中嶋監督らしさでもあるように思えます。


田嶋大樹投手 2022/06/29撮影

変幻自在の先発ローテーション

先発ローテーションも「中嶋流」が見られました。
昨年は日程の偏りもありエースの山本選手をソフトバンクや西武に多くぶつけることができたため多く勝ち星を稼ぎ、その2チームをBクラスに沈める要因を作りました。
今季はより先発を「適材適所」で起用している様子が見て取れました。
それが最も顕著に現れたのは楽天やロッテを得意にする一方で西武や日ハムを苦手にしている田嶋選手です。田嶋選手は得意な楽天戦やロッテ戦には合計で12試合、特に楽天戦には9試合に登板しましたが、西武戦には一度も投げず、日ハム戦には4月に1試合に登板したのみと極端な起用になりました。その楽天戦とロッテ戦で7勝1敗と実に大きな結果を残しました。今年は楽天とロッテが下位に低迷してしまいましたが、これは田嶋選手が原因と言っても過言ではないでしょう。
これは山本選手と宮城選手という先発の両輪が、どのチームを相手にしても好投してくれるからこそできた作戦で、先発投手をそれぞれの得意なチームにぶつけて勝利数を最大化しようとする一方で、ずらした分のローテションの枠を竹安選手やルーキーの椋木選手、育成から昇格した東選手の登板に充当するなど無駄がなく、ここでも「試しながら勝つ」中嶋采配の真髄が見られました。

蛇足になるかもしれませんが、8,9月にはこの起用が悪い方向に働いてしまったというところにも触れようと思います。西武戦や日ハム戦を避けて楽天戦とロッテ戦に合わせようと登録と抹消を繰り返す中で、登板予定日に雨天中止の不運も重なって中21日という何とも言えない起用になってしまい、田嶋選手は規定投球回到達や二桁勝利を惜しくも逃してしまいました。さらにこれも結果論ではあるのですが、田嶋選手が登板回避した日ハム戦および西武戦で先発投手が思うような投球ができない試合が続いたため、この起用に対する批判の声も少なくなかったと記憶しています。正直これは賛否が分かれて然るべきだと思います。大原則として「チームの勝利数の最大化>個人成績の最大化」であると私は考えているのですが、選手が野球をするロボットではなく、人間である以上は一人一人が納得する起用も監督には求められますし、そこは来季以降で改善してほしいポイントかなと思います。


阿部翔太投手 2022/10/02撮影

徹底したリリーフ管理

中嶋監督といえばリリーフ投手の徹底的な管理、三連投禁止」と言う方も多いと思います。前述した野手だけでなく投手の管理・運用も完璧だったと言えるでしょう。
序盤は無理をさせず、絶対的守護神の平野選手でさえ連投直後の試合はベンチ外になることも多々ありました。しかし三連投を完全にしないと言うことを目的にしているのではなく、チームが優勝するための手段として「三連投を控えて投手をできるだけ温存している」のであって、優勝争いが苛烈になった9月中盤には山﨑颯一郎選手に三連投を解禁し勝利を収めています。三連投は結局その一回のみになりましたが、優勝争いが激化するシーズン後半に各選手のピークを持っていくために序盤は出来る限り温存し、最終盤の競り合いで負けないようにするマネジメント力は12球団でもトップクラスだと思います。
今年のオリックスのホワイトな投手運用を可能にしたのは、層が厚くなったリリーフ陣です。クローザーはシーズンを一貫して平野選手が担っていますが、セットアッパーは毎月のように変わりました。開幕当初はビドル選手と村西選手、5月に入るとトミージョン手術から復活した近藤選手と今季ブレイクの本田選手、6月には阿部選手が火消しの役割から昇格し、7月には先発要員だったワゲスパック選手がセーブを挙げると、8月には育成から支配下に上がった宇田川選手、9月には山﨑颯一郎選手がさらに加わるなど、リリーフ陣はシーズンが後半に進むにつれてかなり充実していきました。

特に優勝を決めた10月2日は後半戦を象徴する試合だったと言えるでしょう。
先発の田嶋選手が4回途中でピンチを作り降板すると、リリーフした比嘉選手がタイムリーを浴び打者1人で降板。しかしここで宇田川選手が火消しを成功させ無失点で切り抜け、跨いだ次の回も無失点。6回からは山﨑颯一郎選手が2回を、8回にはワゲスパック選手が共に無失点のピッチング。そして優勝がかかった9回には不調の平野選手ではなく阿部選手を送り出します。
野手運用もそうでしたが、「9回は平野」という形に拘らず、中嶋監督の武器である、その場その場で最善の選択肢を選べる柔軟さがこの試合で顕著に現れたと言えるでしょう。


野口智哉内野手 2022/9/22撮影

巧みな撤退戦

中嶋監督の運用、采配の上手さを象徴する試合としてピックアップしたいのが、ロッテの山口選手に3本のホームランを浴び大敗した9月22日の試合です。
ソフトバンクのマジック8がで迎えた、負けられない試合で先発の山岡選手がロッテ打線に捕まり3回途中を6失点、その時点で1-6と序盤から不利な展開になってしまいます。中嶋監督はここで2日前に一軍復帰した黒木選手に火消しを託します。黒木選手が尚も続くピンチを無失点で切り抜けると、6回からは前回の登板で打たれた村西投手を送り出し、8回からは昇格してから登板機会がなかった東選手に出番を与えます。それまでの試合で4連勝と勢いに乗る一方で勝ちパターンの投手が疲弊していたことを踏まえると、この投手運用は無駄がなく思わず感心しました。その試合を含めてもシーズンがあと5試合しか残されていない中で、ソフトバンクにマジックが点灯し負けられない試合、劣勢に立たされると普通の監督は勝ち試合と同じ投手を投入して反撃を伺うのかもしれませんが、中嶋監督は登板機会のなかった投手や、不本意な投球が続いている投手をマウンドに送り出しました。野手起用を見ても試合途中で二軍で調子を上げ合流したマッカーシー選手や、状態が良いながらも出場機会に恵まれなかった野口選手を起用し、野口選手はプロ初ホームランという形で期待に応えてみせました。私はその試合を球場で観戦していましたが、こんな大事な試合でも選手の見極めの場にすることを驚くのと同時に、残りの4試合での彼らの起用法を検討する材料にする合理的な采配に強く感心しました。
このような切迫した状況でも先を見据えたクレバーな選択ができるのも中嶋監督の強みだと言えます。
ちなみにその2試合後には3回途中でノックアウトされた宮城の後を、4,5点ビハインドながら勝ち継投の投手で繋ぐ執念の采配を見せているように、力を入れるべきところでは全力を注ぐ、メリハリのある投手起用を見せていました。
中途半端なことはせず勝ちに行く時は全力で、そうでない時には先を見据えた合理的な運用というように、投手の負担を最低限に抑えつつ勝ちを増やすマネジメントが中嶋野球の、特にリリーフにおける本質だと私は思います。


中島聡監督 2022/10/02撮影

モチベーターとしての指揮官

そして最後に、中嶋監督はこれまでに挙げた運用面や采配だけでなく、選手を精神的に支える上司、ひいては"人"としての部分でも凄いと言えるでしょう。

スポーツ紙の記者の方がTwitterなどで親しげに選手へ指導する中嶋監督の写真を多く投稿されているように、中嶋監督は選手に寄り添った指導を行うことでも知られています。そして多くの写真では選手や監督に笑顔が見られるように、楽しく和やかな雰囲気で練習に取り組めているのが印象的です。

選手によって接する態度を上手く変えているのも長所の一つです。
愛弟子とも言える神経が図太い紅林選手には笑いながら「いい加減にせえよ!(下記参照)」と話したり、中嶋監督が二軍監督時代から期待を寄せる山﨑福也選手には「もっとやれる」という旨の発言をしていたり、それぞれの選手がやる気を引き出すことのできる言葉選びが非常に巧みな印象があります。
昨季にホームラン王を獲得した"中嶋チルドレン"の代表格である杉本選手が去年不調に陥ると「今はお前に投げるのがピッチャーは嫌なんだから、もっと自信持っていけ」と背中を押す言葉をかけました。1年間フルで出場するのが初めてだった杉本選手にとってとても強い心の支えになったと思います。

また中嶋監督の人望面を語る上で個人的に外せないと思っているのが、シーズン終盤のソフトバンクとの首位攻防戦で試合前に監督を中心として円陣が組まれた時でした。普段は選手やコーチが日替わりでチームを鼓舞していましたが、大一番で中嶋監督は動きました。「勝ち負けの責任は全部、俺が取る。みんなに背負うものはない。思い切っていけ!」日刊スポーツによるとこう言い放ち、檄を飛ばしたそうです。一つでも負ければ優勝が一気に遠のく大事な一戦、そこで緊張する選手も多いと思いますがこの言葉でどれだけ救われたかは想像に難くありません。
結果としてこの大事なカードで見事3連勝を果たし、優勝への大きなターニングポイントとなりました。

また最終戦でも円陣でチームを鼓舞しました。先ほどと同じ記事からの引用になりますが「勝って終わりたいな?優勝のことを考えるなよ。この試合を勝って、喜ぼう。笑おう。全員で行くぞ!全員で勝つぞ!」と盛り上げました。
優勝を意識するとソフトバンク戦の行方が気になってしまう、でも勝たなければ優勝の可能性が潰える中で、まずはこの1試合を勝とう。と目の前の試合に集中させた円陣での言葉も、中嶋監督の人の心を掴む力が現れたエピソードの代表例だと思います。


2022/10/02撮影

最後に

とても長く、そして拙い文章になってしまいましたが、最後までお付き合いただき本当にありがとうございました。
このnoteで中嶋監督の凄いところが1人でも多い方に伝わってくれればと思います。

最後になりましたが、これだけ凄いと思える中嶋監督のもとでオリックスが二連覇を達成でき、そしてその歓喜の瞬間に立ち会うことにもできたことを、1人のオリックスファンとして心から嬉しく思います。

明日から始まるクライマックスシリーズ・ファイナルステージも勝ちましょう。
読んでいただきありがとうございました!


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