通販の話 その4、Amazon

Amazonは、田舎のオタクで本好きにとっては、まさに救世主だったと思います。
ネットの環境が整って、まず一番最初に買ったのは、本でした。

これは、都会の人にはなかなか理解してもらえない話かもしれませんが、ネットもAmazonもなかったころ、地元で自分のほしい本を手に入れるのは、至難の業でした。
フツーにベストセラーの小説とか、ドラマ化されるようなマンガとかならそうでもなかったかもしれませんが、SFとかファンタジーとかホラーとかの小説や、一部では有名だけど一般的にはそこまで知られていないマンガ、なんかは、なかなか書店には並びません。
発売日に店頭に並んだとしても、その時に手に入れることができなければ、それまでです。
注文しても、新刊であっても一ヶ月は待たされますし、場合によったら本屋の店員に文句言われたりもします。

高校生のころ、好きだったアニメのムック本の発売日に、私は熱があって早退することになったのですが、でもその状態で帰宅途中に本屋に寄りましたよ。だって、その日を逃したら、絶対に手に入らないことがわかっていましたから。
20代のころは、コンタクトの検診のために大阪に年に2度ぐらい出かけていたのですが、その際には本屋さんとアニメイトで地元にはない本やCDを大量に買ったものです。

そうした苦難の日々が、ネットとAmazonによって終わりを告げたのです。

時々、Twitterで「地元の本屋さんを潰さないために、Amazonではなく本屋さんで買い物をしましょう」というツイートが流れて来るのですが、それを見るたびに、そんなん知るか! と思います。
そりゃあ、地元の本屋さんで自分のほしい本を手に入れられる人たちは、そうすればいいだろうと思いますよ。
でも、私にとっては、地元の本屋というのは、ほとんどが「ベストセラーの本しか置かない」(実際に、今はもう潰れてなくなった近所の本屋の店員に、そう言われたことがあります)、私を消費者・客と認めない店ばかりなわけです。
そんな店たちのために、なぜ、Amazonのある今、かつての苦労を繰り返さないといけないんですか。
近所の本屋が潰れて、それが、かつてさんざん苦労させられた私のせいだとでも? ――と、思ってしまうんです。

まあ、私も今は接客業で働いているので、「売れないものは置けない」という事情はわかります。わかりますが……たとえば、市内中の本屋を巡っても自分のほしい本が手に入らない……なんて過去のことを思い出すと、腹立たしい気持ちが、ふつふつと湧いて来てしまうのです。
まあ、「取り寄せに一ヶ月かかる」のは書店のせいではなく、取次とかいうシステムのせいらしいですが。
でもそれだって、今のこのご時世に、システムの見直しすらせず、本屋が潰れるのをAmazonのせいにしている時点で、なんかなあ……と思ってしまうのでした。

――ともあれ、本に関して言えば、Amazonは私には福音でした。
そして今は、それ以外のものも頻繁に買う、とても便利な通販サイトとなっています。

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