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みらいけん読書会について

概要

・形式:紹介本型
・コンセプト:「あなたの紹介本、読みます。」
 …参加者の紹介本を主催者が全て読み、感想をフィードバックします。
・開催期間:2016年4月〜
・実施回数:52回
・参加者数:75名
・紹介作品数:338作品


立上げ

当会立上げの契機となったのは、下記のような想いでした。

(…紹介本型読書会に参加し続け早10年…)

自分の紹介本を皆さんに読んでほしいけど、プレゼンが上手くいった手応えがあっても実際は読んでくれないことが多いなぁ。
でもただ「読んで読んで!」って押し付けるだけじゃ、そりゃ誰も読んでくれないか。
……あ、そうだ!じゃあ先に自分が相手の紹介した本を読んでその感想を伝えれば、相手に「この人、自分の紹介した本読んでくれたんだ!嬉しい!」と好感を持たれて、返報性の原理できっと自分の紹介本も読んでもらえるはず!
主催者が積極的にそれをやる会は今まで聞いたこともないし、他の会との差別化にもなりそう!
そろそろ自分でも読書会やりたかったし、よし、これでやってみよう!

…いやぁ、今思うとなんとも浅はかでしたね。
そんな思いつきで始めた当会、実際にやってみたら、なかなか良いことずくめでした。


当会を通して気づいたこと

・「同じ本を読んだ」という共通の話題ができ、参加者の方と時間差で盛り上がれる
…これが奏功し、規模に比したリピーター率はめっちゃ高いです。まぁこれは当初の思いつきの延長だったので、予期していたものではありました。

・「紹介者に感想をフィードバックする」というアウトプットまでを課していたので、相手に伝えるための文章を練習する機会になった
…「読書レビューメディア化多数」の実積にも繋がっています。

ここまでの2つは、正直オマケみたいなもんでした。

・参加者側が主宰に紹介本を読まれることが事前にわかっているので、自然と紹介に熱が入る
…渾身の一冊を選書して持ってきていただけることが多いです。紹介を聞くこと自体が楽しくなり、実際にその本を読んでまた楽しめる、と二重に美味しいです。

・リピーターの方でも、その時々で紹介本のテイストが全く異なることがままある
…新たな本を読んだタイミングで「面白かったから絶対に読んでもらえるここで紹介したい!」と思って読書会に来てくださるリピーターの方も多いです。その時々の旬な紹介本を読むこともまた一興です。
また気分や体調、その時に影響されている分野や事柄を反映したような紹介本もあり、人間の多面性を強く実感しました。

・読む本を自分で決めるのではなく相手に決めてもらうことで、未知の世界や思想を自分のバイアスがかからない状態で知ることができる
…「主体性がない!」という指摘は甘んじて受けます。(笑)
「評価する前に」「とりあえず」読んでみることで、受容の精神も涵養されました。

・目を見張るような良本に出会えたときの感動はひとしお
…良本といっても、必ずしも「世間的に」ではなく「その時の自分にとって」という意味でのものです。そんな本を薦めてくれた参加者には本当に感謝し、感想のフィードバックにも熱が入ります。それがまたリピートにつながっていきます。

・意図的なセレンディピティ環境を構築できた

セレンディピティ英語: serendipity)とは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。平たく言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることである。

Wikipedia

私の理念を体現した会に賛同してもらえる参加者の皆さん(=間接的に私の意図が介入する存在)から、それぞれの想いのこもった推薦本(=セレンディピティ性)を享受できる。かくして当会は私にとって「意図的なセレンディピティ環境」となっています。

ちなみに、知の巨人として名高い故・外山滋比古に『乱読のセレンディピティ』という著書がありますが、奇しくも本会はその主張(乱読および乱談の効用)に限りなく沿うものであろうと自負しています。



継続は

よく「他薦本をたくさん読むのって、大変じゃない?」と訊かれるのですが、元来本を読むの好きだったので全く苦にならなかったです。

…なんてさらっと言えたらカッコ良いんですが、ウソです。
立上げ初期、特に最初の半年は、読みたくもない本を読むのが死ぬほどキツかったです。
でもなんとか踏ん張ってやり続けるうちに、上記のような意義を次々と実感する様になり、そのうち徐々に苦ではなくなって習慣になりました。

習慣化するまで継続することの重要性を示唆していますね。


開催時に心がけていること

・本で得た気づきと自分の思想や経験の両方を訊く/話す
紹介本を読む際、紹介者の顔を浮かべながら読むと比較的捗ることが経験的にわかりました。
なので、「その本の書影を見たら紹介者の顔が思い浮かぶ」ような話を引き出せるよう心がけています。
また翻って、自分の本の紹介も同様に構成しています。

・話の善し悪しを自分の物差しで測らない
上記のように紹介にパーソナルな部分を加えてもらう上で、一番危惧される点でしょう。自分を出すことを恐れる最大の理由は、「人にどう思われるかが不安」だと思っています。
なので、当会で話を聴く際には、自分の価値判断基準に照らし合わせて判断することをせず、まず受け入れることを心がけています。
また、この姿勢が自然と参加者全体で共有できるようなナッジもいくつか仕掛けています。

今後の展望

コロナショック以降、続けていた月例開催も途絶えてしまい、紹介本をすべて読むコンセプトも薄れてしまいました。
ということで、今後は過去開催分の未読紹介本を読みつつ、3~4ヶ月に1回の開催を目指します。

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