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ヒトの水泳の基本 その1 ー重心ー

はじめに


これから2回に分けて、
水面でストリームライン姿勢で浮き続ける
場合について説明していきます。

ストリームライン概略図


レッスンや練習でやることもあるかもしれませんが、

・姿勢の維持だけでレッスン・練習時間を使ってしまうと、動きが少ないので寒い。

・「泳ぎ」は「動き」なので、実際の泳ぎに姿勢の維持という「静止動作」はほぼ存在しない。→「できたから何?」

・体質的に気にしなくてもできる

というような観点などからあまり気にされていないし、正直、そこまでできなくても大抵なんとかなります。(笑)
なので需要は薄いと思います。

しかし、知識と実践をもとに練習していくことで、水中姿勢維持の仕組みが頭と身体を通して理解できるため、今後の上達につながりやすい点では大変実用性の高い内容です。

理解が新たなひらめきを生みだす

今すでに、ストリームライン姿勢で浮き続けることができる人も

まだ、ストリームライン姿勢で浮き続けることができない方も

今回と次回の事を頭に入れて実践していただけると、比較的多くの方がストリームライン姿勢で浮き続けることができるようになりますし、
仮に今回はできない人でも、水中姿勢維持の仕組みがわかるので、今後の上達につながりやすいです。

正直に申し上げると、
私も学生時代や知識と実践が今よりも更に不足していた時期は、ストリームライン姿勢で浮き続けるなんて全くできませんでした。
あの脚の沈没感と悔しさから体幹部が弱いと考え、腹筋・背筋等、俗に言う体幹部を中心に鍛えられるだけ鍛え続けた時代もあります。(→効果は雀の涙程度でしたが…)

体幹部のトレーニングイメージ

しかし、現在はストリームライン姿勢で浮き続けることに、メインで必要なのは体幹部の筋力ではないだろうと考えております。
(体幹部の筋力は「別のこと」に特に必要です。ですが、長くなりすぎるので、ここでは割愛させていただきます。)

まず必要なのは、重心と浮心に対する知識です。
そしてそれに伴う実践です。

以下に学生時代の私でもストリームライン姿勢で浮き続けることができるように、また水中での姿勢保持に悩みのある多くの方にも参考になるように書かせていただきます。少し長いですが、興味のある方は最後までお付き合いいただけると幸いです。

ストリームライン姿勢で起こること

まず、何も考えずにストリームライン姿勢を取ると下図のようになり、
脚が沈みます。

多くの人は胸部が浮き上がり、脚が沈む方向に力がかかる

どうやら、上図のオレンジの矢印の影響を極力減らしていくことが、
水面でストリームライン姿勢で浮き続けるためには重要そうです。

そこで、重力の作用点である重心位置と浮力の作用点である浮心位置
同じ鉛直線上のラインに近づける方法を中心に2回に分けてご紹介いたします。

重心位置(赤丸)と浮心位置(青丸)が同鉛直線上に近づいたイメージ図

そのためにも、
 ①重心
 ②浮心
への理解を深めることが必須となります。
今回はそのうちの一つ、①重心について説明していきます。

まずは用語の確認です。
重心
 物体の各質点に作用する重力の合力の作用点。理論的な重さの中心。

・重力(詳しくは専門書などを参照してください)
 ここでは物体を鉛直下方に引き付ける力と考えます。

重力と重心のイメージ図
赤:重心、 橙:重力、 青:重力の合計

では、ヒトの重心はどこにあるのでしょうか?

ヒトの身体で言うと、手や腕や脚といった身体のいたるパーツに重力がかかっており、それを「一つにまとめた合力」の作用点となります。
身体のパーツの位置はある程度動かすことができるので、身体のパーツの位置によって合力の作用点の位置が変化することに注意しながら各姿勢についてみていきましょう。

①静止立位での重心位置の目安

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