手書きの戦略論 「人を動かす」7つのコミュニケーション戦略

磯部光毅=著 (株)宣伝会議=出版

ポジショニング論--「違い」が、人を動かす

まとめ

ポジショニングとは、顧客のニーズを汲み取りながらお客さんの頭の中で競合と違った位置づけを得ること。

大切なのは、自ブランドにとって有利に働く競争軸(第三の軸)を発見すること。

ライバル商品との対立構造で立案するとクリアな戦略が作りやすい

大きく分けて2つの戦い方がある。

既存の価値軸で競合に勝る「オーバーテイク型」(同じ土俵で強くなる)と、新しい価値軸を立てる「カテゴリーメイク型」(土俵を変える)

強み

頭の中の位置づけなので多様な違いの作り方が可能

お客さんの商品購買に直結する選択肢を提示できる

商品の特徴や機能ベネフィットにきちんと立脚している

広告などで訴求しやすい

弱み

市場が成熟し類似品が増えると「違い」の設定が困難。

お客さんの関心が低いカテゴリーだと「違い」を訴求しても響かない

ブランド論--「らしさ」の記憶が、人を動かす

まとめ

記憶を、どのようにお客さんの頭の中に連想行動として残すかがポイント

ブランドはロジックとマジック、つまり論理と感情・感覚の両面から作り出される

「ミッション」や「ビジョン」に向けた動的な活動としてブランディングを行うべき

ブランド作りにおいて、「体験」「接点」「パーソナリティ」の重要性が高まっている

大切なのは「インパクト」と「腹落ち」と「反復」

強み

お客さんの商品サービスに対する「価値」、「好意」、「絆」を醸成できる

プレミアムな価格維持に貢献できる

長期的な反復購買を流すことができる

弱み

記憶や感情に関わるもので、効果を可視化し数値化しづらい

長期記憶に残すことを主眼に置いているので、必ずしも即効性が高くない

直接的な購買喚起につながるとは限らない

既にある長期記憶と認知バイアスを利用する--インパクト

 短期記憶貯蔵庫(ワーキングメモリー)の一部が長期記憶保存庫に保管されるが、それの取捨選択をこっち側で誘導してあげる。例えば、富士山麓の太古の地層でゆっくり濾過され磨かれたミネラルたっぷりの水」と言う商品。

 こうしたワードが組み合わさって頭の中でボワッと浮かび上がる像、それがブランド。新しいことを一度にいっぱい言われても頭に残りにくいが、既に記憶に定着しているいいイメージのもの(既に意味づけされているもの)と結びつけてあげれば、シナプスの結合も比較的簡単になる。

 自分自身のこれまでの知識、経験から作り出された感情、好意、映像が連想され、それらブラックボックスが、「なんか良さそう」と言う期待を作り出す。それがインパクト。

 めっちゃダークパターンぽい。

ランニングに必要な4つのポイント

①固定的な「ブランド」から動的な「ブランディング」へ

 規定された価値を守り続けるだけではダメで、解釈を深め、絶えずアップデートすること、埃を落として現代的に進化させる事が必要。求められるのはそんな動的なブランドの運用。鮮度が落ちてきたときに、どうやって新鮮に見せるのか、どうやって成長させるのか、変えて良いものは何で、変えていけないものは何か......

 ブランドの本質さえ外していなければ、「ちょっと大胆なくらい」の方がウケがいい。

②ブランドの中心は、ミッションとビジョンへ

 あくまで2016年時点の「最近」では、コアバリューよりもこっちというだけ。

③体験と接点の視点から見直す

 それぞれの顧客接点で、ブランドを体現していく仕組みを設計することが大切。

④ブランドパーソナリティーをしっかり固める

 人付き合いでも、好意を持つポイントはその人が「優秀かどうか」より「感じが良いかどうか」だったりする。ブランドパーソナリティーは、お客さんとのインターフェイス。特にSNS上でブランドや企業が「人」らしく振る舞う時代にはその人格はとても重要。

アカウントプランニング論--「深層心理」が人を動かす

つまりインサイトを見つける。

ダイレクト論--「反応」の喚起が人を動かす

まとめ

お客さんの反応を獲得しながら関係を深め、LTV (顧客生産価値)を高めることを目指す

ネットの運用型広告はダイレクト論ベース

顧客獲得(アクイジション)と顧客維持(リテンション)の2つのフェーズに分かれる

顧客獲得フェーズはネットの運用型広告が中心となっている

顧客維持フェーズではITの進化とともにCRMとして大きく発展した

顧客獲得と顧客維持がデータでつながり、広告のCRM化へと向かう

強み

顕在顧客獲得に強く、売り上げに直結する

即効性があり、投資対効果が可視化できる

PDCAを速く回せる

弱み

記憶にアプローチしないので、価値作り、ブランド作りが難しい

1部の必要に接触させる手法は、嫌悪も醸成してしまうリスクがある



IMC論--「接点」の統合が人を動かす

ターゲットに響くカスタマージャーニーの作り方

①ターゲット像の明確化

②ジャーニーステップの設定

 ターゲットがどのようなプロセスで、商品購入にたどり着くかを明確にする。同出会い、理解し、関係を深め、購入に至るかの道のり。AISAS,SIPSなど、認知→情報収集→検討→購入→シェア、などのフレームワークも参考にする。

③行動と感情の記述

 各ステップにおいてターゲットはどんな行動をし、どんな感情になるかを記述する。 

④タッチポイントの設定

 各ステップにおける、ターゲットと自社の商品サービス、それらの情報とのタッチポイントをリストアップする。

⑤課題の設定

 それぞれのステップで、ターゲットにアプローチする際の課題をあげていく。

 現状の購買プロセスを改善するのではなく、壊して新しく見出していくことを目指しても良い。むしろそっちの方が成長の余地がある。


エンゲージメント論--「関与」


クチコミ論--「情報の人づて」

まとめ

情報発信、推奨してくれる「アドボケーツ」の果たす役割に注目。メーカーとMessengerの違いみたいな

話題にしやすさ="talkability"が重要。機能的、社会的、感情的なネタがクチコミを促す。

目的は「ファン作り」と「ムーブメント作り」

「コミュニティーマネージャー」と言う役割の重要性が増している



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