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マラケシュで度肝を抜かれる

カサブランカをモロッコだと思っていたのは大きな間違いでした。


マラケシュ。
カサブランカから電車で3時間。

昔のまま時が止まった街は、すごかった。

昔のままの細い路地をバイクが、自転車が、車が、どんどん行き交う。両脇にはお店が所狭しと軒を連ねる。その間を観光客がゆっくり歩いている。
もちろん、そこに住んでいる人たちもいる。

マラケシュのメディナの中

ちょっと脇道に入ると、お金をねだられる。

混沌、ってこれだった。と、昔、アフリカを旅していた時の事を思い出しました。ずーっと長い事守られた世界に生きているので、私の食べている肉は元は動物だった事を見ないふりをしていました。そういう嘘が目の前で暴かれる街。

街のエネルギーはすごい。
特に夜は、昼間の暑さから解放されて、過ごしやすいから、老若男女、まさにおばあちゃんからよちよち歩きの赤ちゃんまで、小さな通り、大きな通りに出て遊んだり涼んだり、夜中までも外に出ている。

泊まっているリアド(マラケシュ特有の、昔の古い家を改造した民宿みたいなもの)の周りで遊んでいる男の子たちの一人はものすごくタフで、私たちが宿に帰るたびに、「へーい!」と話しかけてきてはお金をねだってくる。コミュニケーションのうまい子で、私の旦那を最初は「へーい、ジョーダン!」(エアジョーダンのスウェットを着ていたから)と呼びかけ、注意を引き、どこからきたのかなど聞いた後、「5ユーロちょうだい」と言ってきた。あまりに高い要求に、私が思わず、「それ高すぎ!」というと、「オーケーオーケー、じゃあお金ちょうだい」
「ダメ」

次の日は、「へーいトゥクトゥク!」と話しかけてきた。昨夜私たちがトゥクトゥクで帰ってきたのを覚えていたのだ。まだ昼間だったので、私が、あんたたち学校は?と聞くと、そのコミュニケーション力の高い男の子が代表して、お金がなくて学校に行けないんだよ、僕は5人も兄弟がいるんだよ、(確かにそこに5人男の子がいた)、ご飯も食べてないんだよ。

思わず、私が、ちょっとそれはないんじゃない、ここの政治はどうなってるの?大統領制それとも首相制?カナダは首相制だよ、などと話し始めると、とにかくお金をくれよーというので、また「ダメ」と言って、その日はおしまい。

次の日、気になって、朝食の時に、給仕をしてくれた人に聞くと、苦笑いしながらウェイターさんが教えてくれた。あの子たちは、学校に行っているよ、と。
………やるな、あのガキ。

そして次の日。「へーいカナダ!」それにしてもうよく色々覚えていると感心。お金ちょうだい、学校に行けないんだよ、お金がなくて。「学校行っているんでしょう、ちゃんと聞いたよ」そんな事で引き下がる悪ガキではない。「ボールが買えないんだ。サッカーのボール。ー今のはとても古いのに買えないんだ」確かに通りでその子たちはずーっとサッカーをしている。そのボールは古い。「ダメ」「お願いだよー」と何度かこの会話を繰り返した。

私たちがいなくなると、周りのリアドに泊まっている客たちに同じ事をしているのを私は見た。混沌。


ジャマエルフナ広場の夜

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