先日のこと、宿の営業において、大きな失敗をした。未明にゲストのひとりを閉め出してしまったのだ。
玄関扉の二重構造
1166バックパッカーズの玄関には「風除室」と呼ばれる、たたみ1畳くらいの小さなスペースがある。冬場、屋外からの冷気がダイレクトになかに入ってこないよう作った2枚目の玄関扉のことだ。
風除室に荷物を置いてもらう
風除室を挟む2枚の扉には、両方にキーロックをつけている。スタッフ不在時に荷物を預ったりする際、道路側の鍵番号だけゲストに伝えておき、ご自身で荷物を置いて再度施錠してもらう。その際、セキュリティの面から内側の扉は施錠してある。
内側の扉の鍵はスタッフだけで共有している。日中にスタッフが不在になり、かつ連泊のゲストが戻ってくる可能性がない場合などは施錠している。
夜間を含み営業中は、ゲストが入れるように内側の扉は解錠している。
悪い予感は的中
さて、ここからが本題。先日、スタッフが出勤で私は自宅にいた夜のこと。消灯後も外出しているゲストが多いことを報告受けた。スタッフは道路側の扉だけ施錠し帰宅した。
ちょっと悪い予感が頭をよぎった。誰かが帰宅した際に内側の鍵も施錠してしまったら…と。でもチェックインの際に「内側の扉の鍵は閉めないでね」と伝えているし、内側の鍵自体にも「こっちは鍵をかけないで!」と書いた張り紙をしている。だからきっと、大丈夫、と甘く考えてしまった。スタッフは退勤した後だったし、宿直スタッフを電話で叩き起こすのもな…、という気持ちもあり。
朝、4時半。目が覚めてSNSのDMをチェックした
悪い勘は当たるもので、消灯後、先に戻ってきたゲストが内側の扉の鍵をかけてしまったのだ。これによって、後から戻ってきたゲストがしめだされてしまった。へなへなと携帯を持つ手から血の気が引いていく。
受信時間を見ると未明の4時前。私が気づいたのが4時半ころ。一応、保険として玄関にチャイムを設置していて鳴らすと宿直室の受信機で鳴るようにしているんだけれど、気をつかってくださりチャイムを鳴らさなかったのか、我々がチャイムがあることを伝えそびれていたのか、はたまた鳴らしたけれど気づかなかったのか。もうひとつの保険として、電話をかけてもらえれば夜間でも飯室の携帯に転送していて鳴るようにしているが、かかった形跡はなかった。
旅先で、疲れた身体で、この季節できっと汗もかいているだろうに、「さぁ寝るぞー!」と戻ってきての閉め出し。メイク落としも寝巻きも歯ブラシも何もかもきっと宿のなかだったはず。取り急ぎ、やるべき対応をし、追ってゲストが荷物を取りに戻ってこられた際に謝罪し、返金という手続きをとった。
それにしても、こんな仕打ちを受けたにもかかわらず、DMの文面には優しさが溢れていて、その後のやりとりでも優しさの塊のような方だった。今思い出しても、涙がでそう。
勘を蔑ろにしない
これまでマンパワーでやっていたことを、少しずつ機械化している。その都度、無駄に心配しないで良くなり、長時間労働を少し改善でき、空いた時間は人間でないとできないことに投じる。
この玄関問題も、早急に改善しないといけない。そして、刑事の勘のように存在する「宿屋の勘」。勘、というとなんだか根拠がなさそうな感じがするが、これまでやってきた経験値がその勘を働かせているんだと思う。悪い予感がしたときには、目を瞑らずにきちんと潰しにかかること。そうでなければ、今回のようにゲストに迷惑をかけてしまう。その違和感を見なかったことにしてはいけない、そんなことを痛感した出来事だった。
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