スーパーのお弁当も美味しいよ、という隙間
「夕食、何食べるんですか? 明日何するんですか」って聞かないで
私が初めて、宿泊を伴うひとり旅をしたのは、二十歳くらいの頃だったと思う。実家のある関西を起点に広島、宮島、福岡、熊本、長崎の離島、島根を回って戻ってきた。旅先の宿で「今日はどこに行ってきたんですか? 晩ご飯は何が食べたいですか? 明日は何をしますか?」と矢継ぎ早に聞かれ、(あぁ、どこかに行かないといけないんだ。何か食べに出かけないといけないんだ。自分としてはひとりでここまできただけで充分に緊張感のある旅だったから、あとは何にもせずに宿でダラダラごろごろしたいんだけれどもな)と思いつつ、言い出せず、ただプレッシャーを感じていた。
1166バックパッカーズに来てくれる、初ひとり旅の旅人に、同じようなプレッシャーは与えたくない。
スーパーのお弁当も美味しいよ、という隙間
若いころの自分の経験から、食事について案内するときはいろんな選択肢を見せるように心がけている。とくに、若い旅人にはおすすめの飲食店も抑えつつ、「あとこの時間はスーパーのお弁当に半額シールが貼られるころですね〜。地元のスーパーうろうろして、宿でゆっくり食べるものいいですよね〜」とかスーパーの情報は必ず挟む(コンビニの弁当よりも、ローカルスーパーの弁当の方が旅との相性はいいと思う)。
relaxing day?
宿の人が滞在中の予定を聞きたがるのは、地図や時刻表、おすすめのスポットなど、何かお手伝いできることがあるのでは、と思うから。でもゲストによってはあまり前のめりに「どこ行く? どこ行く?」と尋ねられてもしんどいかもしれない。だから、声のかけかたとしては「今日はこの辺うろうろするの?」とか「長旅だと、旅を休みたくならない?」なんて聞いてみたりもする。旅人にとっては、宿のこのラウンジだって非日常。ここでゆっくりリラックスデイを過ごしてもらうのも、家族になったようで宿の人はけっこう嬉しい。
ノープランでどうぞ
ということで、旅中に無理に何かをする必要はない。緊張する必要もない。我々の言葉でプレッシャーを与えたくない。旅に出るという行為がすでにひとつのことを成しているのだから、それだけで充分。それぞれの旅人が、その時々で思う理想の過ごし方を邪魔しないように居たい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?