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鏡よかがみ —うつろう自分を受け入れて、ゆるす—

お風呂あがりに化粧水で肌を整えていたときのことです。鏡に映った自分のある部分に目が止まり、思わず前に身を乗り出しました。

あれ、こんなところにシワがあったっけ…。首の横から耳の下に向かって、スーッと斜め上に伸びた2本のシワがありました。

いつも正面からぼんやりとしか見ない自分の顔。いつからシワができていたか思い出そうとしても、思い出せません。

しかも、よく見るとデコルテ部分もこころなしかザラザラしている気がします。

「お肌の曲がり角」という言葉があるけれど、なんどもなんども角を曲がって現在43歳、なにかと難しいお年ごろです。

首のシワの原因はいくつかあるようで、そのひとつは加齢です。もともと首の皮ふは上下左右に動きやすくするため、のびやすくてハリがあるそうです。しかしのびやすい一方で、ハリや弾力を保つコラーゲンの変性などでたるみやすく、また首の動きや加齢によってきめが横方向に流れてシワとなり目立つようになるんですって。

ふたつ目は姿勢。パソコンやスマホで長時間うつむき姿勢を続けると、首の正常なカーブが失われて真っ直ぐになってしまう「ストレートネック」という症状が起こり、肩や首のコリや頭痛のほか、血行不良から首のたるみやシワにつながるそうです。

あとはやっぱりお手入れ不足。顔のスキンケアは念入りでも、首やデコルテは無防備になりがち。ああ、わたしも完全に無防備でした…。

お肌ぴちぴちの20代は紫外線対策もそこそこに、毎日屋外で子どもたちと遊びまわっていたし、自転車レースに夢中だった30代は休日のたびにあちこち走りにいき、アスファルトの照り返しを受けまくっていました。

わーん、どーしよう。いまさら慌てても後悔しても仕方がないけれど、このままじゃいけない。なんとかしなくては。


そんなとき、あるドキュメンタリー番組を観ました。それはスタイリストの日々を追ったもの。

印象に残った言葉がいくつかありました。

年齢を重ねると清潔感が手のひらからぼろぽろとこぼれて落ちてくるの。
それと初々しさも。

清潔感。ぐさっと胸に刺さりました。そうそう、それなの。髪のつやだったり、肌のハリ、うるおい。20代の頃に比べるとどれも薄れてきてパサパサのカッサカサ、ときどき自分がみすぼらしくて、残念に感じる時があって。

それでも、

過去の姿にとらわれず、うつろう自分を受け入れれば、またおしゃれを楽しめる。戦わず、比べず。

あたたかいメッセージがありました。さらに

(中略)自分を許し、包み込み、いつくしむ。

真珠のようにやさしく輝く言葉が散りばめられていました。お洒落についてのテーマではありましたが、生き方についても通じるところがあって、観終わってなぜかほっとしている自分がいました。

ただ、許すと甘やかすはちがうよなぁ、と思います。

年齢を重ねるともに清潔感が手のひらからぽろぽろとこぼれ落ち、変わり始めた肌質や体型にうすうす気づいていました。それなのに、わたしはまったくもって緊張感がなく、無防備で、何かをするわけでもなく。

しかたないよねー、とどこかあきらめてしまっていて。ああ、わたしは自分に対してあまやかしすぎでした。

今できることをし努力しているからこそ、自分を許してあげられる。そんな年齢なのだと思います。

よし決めた。わたしにもできることから始めよう。だって今の自分が一番若くてぴちぴちなんだもの。いまさらなんてことはないでしょう。

まずはこれまでずっと無防備だったお肌のお手入れをしよう。首すじも顔と同じようにたっぷりの泡でやさしく洗って、洗ったあとはたっぷりの化粧水でうるおいを。そして仕上げに美容液やクリームを手のひらでのばし、肌をやさしく包み込んで。

そして日中は紫外線対策もして、お風呂あがりには肩甲骨と肩のストレッチもしよう。

うんうん、まだまだできることはあります。

それと、姿勢を良くしよう。背筋をぴんと伸ばしてあごを引いて。パソコンやスマホを操作するときも、下を向きすぎないようにね。

布団の中で体を丸めてタブレットを眺めるのをやめよう。首だけじゃなくて目にも良くないし、毎日睡眠不足になってるし。もうこの際だから、寝る前にタブレットを開くのをやめちゃおうか。

あれ? もしかして日々の生活が大事なのかも…。

これまでなんとなく見てみぬふりしてきたもの。お風呂あがり、鏡に映る自分の姿を出来るだけ見ないようにしていました。

でも、うつろう自分を受け入れて、少しずつ向き合って。

鏡の前で上を向いて、首筋を伸ばしながら、化粧水を手のひらにのせ、手前から耳のうしろへとそっと撫でて包み込んでゆきます。


鏡よかがみ。できることならいつまでも心も体も若々しく清らかでいたい。わたし、これからだよね。


引用/「泣いて、笑って、おしゃれして〜スタイリスト・大草直子〜」プロフェッショナル 仕事の流儀

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めざせっ、デコルテ美人!

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