花筏によせて

来年はきっと花筏を見れるよ。と、君は言った。

花筏。

初めて耳にしたことばだった。なあに?と聞くのは恥ずかしくて、こっそり調べたのを思い出す。


今年もまた遠慮なく春はやってきて、少しずつ桜が散り始めた。

春風にのってひらりと舞う花びらを、周りの人たちは見上げる。

けれど、わたしは花びらの落ちたその先を見つめる。アスファルトの上で、淡い桃色のそれはくるくると渦をまく。

花筏。

小さなこの街で見つけるのは思ったよりもずっと難しい。やっぱり手の届かないものなのかもしれない。

なんだか君みたいだ。







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