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タスク管理の基本2。作業の優先度を時間と重要性で判断しよう!

イベントづくり先生のオーガナイザーM(@organizermanual)です。

このnoteは、インターネットや趣味の繋がりを活かして自分のイベントを立ち上げたばかりの初心者オーガナイザーさんに向けて、個人主催イベントから起業して10年以上プロイベンターとして活動した私の経験を元に「転ばぬ先の杖」となる知識や情報をご提供しています。

前回は第4部「プロジェクト管理」編の基本となるタスクリストの作り方についてご説明しました。

今回は、タスクリストづくりの後編として、タスク優先度の考え方をレクチャーします。

限りあるリソースをやりくりして、迫りくるイベント開催日までに、理想の企画を実現するには、盲目的にすべてのタスクに向き合うのではなく(時にはそういう根性も大切ですが…)、プロジェクト管理の中で、それぞれのタスクの役割や重要性を把握し、より大切な作業から優先的に取り組むことが求められます。

前々回の記事で例に挙げた大阪・関西万博のようなプロジェクト管理の破綻を招かないためにも、ぜひタスク優先度の考え方を理解し、身につけましょう!

プロジェクト管理におけるタスク優先度の重要性

タスク優先度の重要性は、引き続き、プロジェクト管理に何らかの支障を来していると思われる大阪・関西万博のニュースを一歩引いた目線で眺めると理解しやすくなります。

以前に挙げた、万博を取り巻く諸問題はこんなものでした。

大阪関西万博の課題
・工事計画の遅延
・経費の膨張
・海外パビリオンの縮小や撤退
・チケット売上の低迷
・上がらない認知度

これらが同時多発的に起こるということは、行おうとする事業に対して必要なリソースが足りていないということです。

経費の膨張は、当初立てた予算ではカネが足りなかったこと、工事計画の遅延は近年の物価高や紛争等の影響で必要なモノが手配できないこと、海外パビリオンの縮小や撤退は調整に当たるヒトの数やスキルが足りていなかったことが要因と思われます。

カネに関しては、通常の感覚からすれば無限にも見える国家予算によって「膨張」で済んでいますが、お財布に限りがあるあなたのイベントで同様のことが起きれば、イベントそのものが実現できなくなってしまいます。

このように全てのタスクに全力で取り組むという一見すると美しい態度によって、全体として様々な不都合が生み出されることはよくあります(合成の誤謬などと呼ばれたりもします)。

そうならないためには取り組みに優先順位を付ける必要があります。つまり、全てできるに越したことはないけれど、無理なものは優先度を下げ、最悪の場合、優先度の低い取り組みは行わない判断を下す局面も想定することが、全体最適化に繋がるということです。

万博を主導する行政や官僚組織はこれがすこぶる苦手です。

組織の"メンツ"や断れない外部からの"要望"によって自縄自縛になり、全てのタスクを平等に扱う必要に迫られる事務局には同情を禁じえません。(翻って、平素の自身の業務を眺めると、他人事ではないのですが…)

しかし、あなたがリーダーを務めるあなたのイベントならば、その限りではありません。

きちんとした知識とノウハウを身につけ、正しくタスク優先度を設定し、リソース配分を行えば、より良い状態でイベントを開催することができます。

タスク優先度を見極めるマトリクス

それでは、タスク優先度はどのように見定めれば良いのでしょうか?

結論をいうと、タスク優先度は「重要性」と「緊急性」の2軸から判断することができます。

タスクの「重要性」

「重要性」では、その作業がイベントに不可欠な要素にどう関わっているか、つまりイベントの成否を分けるタスクか否かを判断します。

「重要性」の高いタスクにはきちんと対応しないと、イベントが終わってから振り返ったときに「なんか思ってたのと違ったな…」という感想を抱くことになったり、長い目で見た時の参加者の満足度や収益性の低下といったイベントの根幹に影響が出る可能性があります。

何を重要とするかは、イベントや主催者によって異なるため、リーダーやプロジェクトマネージャーの判断に託される部分が多くなります。

タスクの「緊急性」

「緊急性」は、それが今すぐに対応すべきタスクなのかどうかという視点で判断します。

例えば、締め切りが近いタスクは「緊急性」が高く、優先度を上げて対応する必要があります。逆にそこまで「緊急性」が高くないことならば、ある程度は後回しにすることができます。

また、単独で存在するタスクと、そのタスクの完了を前提に別の作業に繋がっていくものでは、後者の優先度が上がります。例えば、イベント会場の選定は、様々なタスクの前提となっていることが多く、イベントづくりの最初期に優先しえ取り組む必要がある等の判断ができます。

「重要性」×「緊急性」のマトリクス

タスク優先度の判断は最終的には個別に判定していくことになりますが、ざっくりと把握するだけならば、マトリクスを使うと便利です。

縦軸に「重要性」横軸に「緊急性」を取るとこのようになります。

タスク優先度のマトリクス

第1象限と第4象限は比較的優先度の決定が容易です。

では、第2象限と第3象限の優先度はどちらが高いでしょうか?

答えは、第2象限の「重要性は低いが、緊急性は高い」タスクです。

締め切りが近い作業は他の作業に影響を及ぼす場合が多いため、なるべく優先的に処理したいタスクです。逆に、第3象限の「重要性は高いが、緊急性は低い」タスクは焦らず、時間がある時にじっくりと向き合うべきです。

まとめ

タスクが1つの時には優先度は存在しません。タスクが2つ以上になったときに初めて「どちらの作業を優先するか」という判断が行われます。

このように、タスク優先度は作業同士の関係性によって決まるものであって、絶対的な指標はありません。また、その判断基準は状況やイベント、担当者の考え方によっても変わってきます。また、同じタスク同士でも、その場やその時の状況で優先度が入れ替わることさえあります。

イベント主催者であるあなたの仕事は、刻々と変わる状況の中で、今すべきこと(或いは、今はすべきでないこと)を判断し続けることです。

これを上手くこなすには、一定の経験やトレーニングも必要です。だから、最初から上手にやろうと思わなくても大丈夫です。ただ、1つの判断基準として今回の記事が役立てば幸いです。

次回は「タスク」と表裏一体の関係にあるプロジェクト管理のもう1つの主役、「リソース」について説明します。

ぜひ、最後までお付き合いください。

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