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小規模イベントのオーガナイザーが機能する為の3つの目標と4つの仕事

こんにちは。

イベントづくり先生のオーガナイザーM(@organizermanual)です。

前回は、第四部「チームづくり」の導入として、オーガナイザーが担うリーダーの条件について解説しました。

今回は、ではオーガナイザーは具体的に何をする必要があるのかという実務面の話をして、次回に予定しているサブオーガナイザーへのブリッジとしたいと思います。

なお、今回の内容は過去にUPしたプロジェクトマネージャーの役割を踏まえておくとより理解しやすいので、⇣の記事を未読の方はぜひこの機会に目を通してみてください。

それでは始めましょう!

イベントオーガナイザーのリーダーとしての実務

前回の記事では、リーダーの役割は「チームにリーダーシップを提供する」ことであり、その為の素養としてピーター・ドラッカーを引用して4つの「リーダーの条件」をご紹介しました。

・人のいうことを聞く(そのためには時に自らの口を閉ざす)姿勢
・自らの考えを理解して貰うコミュニケーション意欲と忍耐をもつこと
・言い訳をしないこと
・自らを仕事の下に置く態度

では、このような条件を備えた理想のリーダーが実際に行うべき「実務」とはいったいどのようなものでしょうか。

リーダーの実務を一言でまとめると「チームに成果を上げさせる」ことです。これを実現するためには、いくつかリーダーとして達成しなければならないチェックポイントが3つあります。

1.ゴールを設定する

「成果」とは「何かの目標に対する達成度」のことです。

故に、目標=ゴールのない行動には成果も存在しません。リーダーとは、自らの裁量で、自らに目標を課すモチベーションを持ち、率先して歩みだす人のことです。

2.仲間を集める

ちょっとレトリックっぽいですが、チームに成果を上げさせるには主体となるチームの存在が不可欠です。

何度も、何度も言うように、イベントはどれだけ小さな規模でも一人で実施するのが困難であることがほとんどです。だから、ドラクエの勇者が冒険の前に酒場に向かうのと同じように、リーダーもまた同じゴールを目指す仲間を集める必要があります。

3.成果を評価する

シュレディンガーの猫を引用するまでもなく、評価してみるまで成果の有無はわかりません

しかし、実務を行っている中だと、成果に対する評価は意識して行わないと疎かにしてしまいがちです。仲良し友だちでチームを作っていて、自分たちに都合の悪い結果が出ていると分かっている時は特に。

厳しい状況でも現実に目を向けよと自ら評価を下す人物こそ、ドラッカーが言う謙虚で忍耐強いリーダー像にぴったりです。

オーガナイザーがイベントを実現するために行う具体的な4つの仕事

以上の3つを達成するために、オーガナイザーは大まかに次の4つの仕事をすることになります。

実は、いずれもすでにこのnoteでレクチャーしてきたことです。

1.企画立案

まずは、本noteの第1章で扱った企画立案です。

きちんとしたゴールを設定し、そこまでの成功の道筋を描くには入念な企画立案が欠かせません。企画の初期は、オーガナイザー自身の「やりたいこと」も生煮え状態なので、せっかく仲間を集めても、十分な説明ができない場合がほとんどです。

イベント開催の基礎となる企画は、あなた自身が確固たる信念を持って仲間に説明できる程度には、しっかりと描くようにしましょう。

その過程で、第2部で触れた収支管理の大切さにも気づくはずです。

2.情報発信(説得的コミュニケーション)

第一部「企画立案」の中で企画書と提案書の違いについて紙幅を多めにとってご説明しました。

・そのイベントがどんなものかを見える化する「企画書」
・受け手に特定の行動を期待する「提案書」

イベント初心者が初めての企画書づくりで守るべき3つの鉄則

「提案書」こそが説得的コミュニケーションの最たるツールです。

オーガナイザーは、仲間を集め、参加者を集め、関係者に願いを聞いてもらうために、内にも外にもあらゆるツールやチャネルを用いて情報発信に努める必要があります。

IT革命やSNS革命、DXとツールが更新される度に「情報発信が重要である」と繰り返し叫ばれます。ここで言う「情報発信」の多くは説得的コミュニケーションを意味しています。

まさに「自分の想いを理解してもらうための努力」です。

3.役割の配分

次に、第三部で取り上げた「プロジェクト管理」です。

「チームに成果を上げさせる」ためには、チームを構成するメンバーがモチベーションを上げて、自ら課題を見つけて取り組むことが大切です。

しかし、それ頼みではうまくいきません。より正確には、それで上手くいくこともあるけれど、やる気があっても無秩序な組織は、最終的にバラバラになってしまう確率が極めて高いということを忘れてはなりません。

第三部では、タスク・リソース・スケジュールの3つの観点から、1つの事業を形にするプロセスについて解説しました。この過程で、個々のスタッフに全体最適な役割を任命できるのは、全体を統括するリーダーだけです。

故に、各役割ごとの評価を下すこともリーダーの責任です。

4.最後に責任をとる

最後に、プロジェクトが上手くいかなかった時の責任を取るのがリーダーの仕事です。平たく言えば「何かあった時に頭を下げる」役目です。

屋外でイベントを開催していると、周辺にお住まいの方からクレームを受けたり、その一報によって警察の方が対応に来られることは割とよくあります。こうした時に、誰かに押し付けるのではなく、堂々と、しかし謙虚に詫びて対応に当たるのはリーダーの仕事です。

私の身の上話ですが、期待していた協賛金が入ってこなくて数百万円単位の支払いが滞り、経費の支払いに長期に渡って支障が出たことがありました。できることと言えば、支払いを少しでも早めてもらう一方で、迷惑をかけている方にいつまでに払うを確約して回ることを愚直に繰り返すしかありません。下げるのは、会計担当や営業担当ではなく、リーダーの頭です。

責任を取ってくれるリーダーの下で、チームのメンバーは安心して成果をあげることに集中することができます

以前の記事で触れたリーダーとプロジェクトマネージャーの違いをもう一度引用しておきます。

リーダーは、事業が失敗した時の最終的な責任をとります。プロジェクトマネージャーは、事業が失敗しない為に全力を尽くす責任を負います。

小規模事業でプロジェクトマネージメントを身に着ける方法

まあ、小規模イベントでは、多くの場合でオーガナイザーはリーダーもプロジェクトマネージャーも兼ねることになるのですが…。

まとめ

本稿はこれまでこのnoteで取り上げてきた内容の総括となりました。

つまり、ここまでの内容は概ねオーガナイザーとしてのお仕事をサポートすることを目的としたものでした。

今後、次回のサブオーガナイザー、その後のコアスタッフやサポートスタッフ等の他の役割にフォーカスを当てていくことになります。

いずれも、つまるところ「オーガナイザーとしてチームづくりをするため」の項目なので、結果的にはやはりオーガナイザーのお仕事のお手伝いではあるのですが、少し目線を外に向けていくことになります。

オーガナイザーとしてすべきことの対局にある(なるべくなら)しなくてよいことを理解する上でも重要な内容となります。

ぜひ最後までお付き合いください。

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