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トレッドミルと屋外のランニングを比較してみた

両方を目的に沿って行うことで
体力向上、パフォーマンスアップに繋げることが可能です。

何が違うのか?


トレッドミルでのランニングにおいて重要なことは「外でのランニングにどれだけ近づけるか」ということです。
屋外のランニングでは、自分の体を移動させる必要があり、それは路面の変化や風の抵抗が生まれるということです。
しかしトレッドミルの場合、ベルトが自動で動くため自分の体を移動させる必要がなく、風の抵抗もないため、トレッドミルで走る方が楽なはずです。

この違いを明確にするには、バイオメカニクスと生理学という2つの分野が必要になります。
トレッドミルと屋外でのランニングの違いを比較してみましょう。

消費するエネルギー量はほとんど同じ


トレッドミルと屋外のそれぞれでアスリートを走らせて行った研究では、同じ速度で同じ距離を走った場合のVO2(酸素量)消費量は全く同じでした。
ただし、トレッドミルと屋外でのランニングの違いを考慮し、トレッドミルには1%の傾斜を設定し、どちらにおいても時速10kmで走るという条件が必要です。
そうすれば、トレッドミルと屋外でのランニングは同じ効果があるとされています。

バイオメカニクス的な研究から、私たちが走る時は、足の回内動作が重要であることがわかっています。

回内とは、私たちが歩いたり走ったりする時に足が内側に倒れることで、これは接地時に下肢へかかる衝撃を和らげるために自然と起こります。
この研究では、路面の違いによって下肢へかかる衝撃が違うため、その対処という点で双方に違いが生じるのではないかと予想されていました。

しかし、回内運動も含めてどちらのランニング方法でもバイオメカニクス的な違いはほとんどありませんでした。
つまり、バイオメカニクスの観点からは、どこでランニングをしても同じということです。

身体は環境に適応すると

身体は環境に適応するようになっています。
今回のケースも例外ではなく、屋外でも屋内でも、それぞれの環境に体が適応している事がわかります。

屋外では、スピードを出すために腕を強く振り、脚を高く上げます。また体を前傾させ、足で地面を押しだす角度を鋭角にします。
それを踏まえて実験結果を比較したところ、下肢の運動角度やランニングで発生する地面からの力もほとんど同じという結果が出ました。

では、カロリー消費量とランニング中の動作がほとんど変わらないとしたら、この2つは一体何が違うのでしょうか?

そのポイントは「歩幅」です。
屋外でのランニングにおいて、加速するためには力を地面に伝える必要があります。
そのため、地面と接触していない時間が増えると、その間は力を伝えられないため、上手く加速できないどころか、減速する可能性があります。
つまり、歩幅をあまりに広げすぎて跳ぶような動きにならないようにしなければなりません。

しかし、トレッドミルでのランニングではそのような心配はありません。なぜなら、床の回転に追い付くために、むしろ歩幅を広げてできるだけ長く空中にいた方が良いからです。
極端な言い方ですが、トレッドミル上では「ランニング」をするのではなく、どれだけ「ジャンプ」していられるかが早く走るためのポイントなのです。

これが、屋外と屋内の最大の違いです。
それぞれの特徴を考慮すると、トレッドミルではランニングフォームの調整や天候に左右されず走れる良さがあり、屋外ではランニングのテクニックを磨いたり、実際のレースにおける戦略やパフォーマンスを向上したりできる良さがあります。

マラソンに出場するようなランニング愛好家からすると、トレッドミルは毛嫌いされることも多いですが、それぞれの違いを理解することで、無理なくランニングのパフォーマンスを向上させられるでしょう。

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