アンチ単語帳

この時期になると、あわてて単語帳を勉強し始める高2を毎年見ている。

彼らのパターンとしては、高2の「センター同日模試(今は「共通テスト同日模試)」というやつ、つまりセンター試験(今は共通テスト)の問題を高2でやってみるというやつで、あまりにできなくて「こんなんで受験間に合うんだろうか」とショックを受けることから始まる。

で、単語知らな過ぎて文章が読めない→とりあえず単語だ!

となるわけ。

でもオレはアンチ単語帳。自分の学習経験からも、教員として長年生徒を見てきた経験上も。

理由は簡単で

①単語の意味が全部わかっても長文が読めるわけではない。

②単語帳で単語を覚えるのは効率が悪い。

の2つ。

①についてだが、長文読解力というのは単語力だけではなくて文法力、さらには直接英語とは関係のない「論理力」「一般常識」も必要。単語だけ覚えても読めるようになるわけではないし、さらに問題に正解する力などつかんわ。信じられないなら、入試基礎レベル(共通テストか英検2級)の長文問題を1題、手持ちの単語集で単語調べながらやってみ。

②最終的に受験の英語は読解力がすべて。だったら、読解の練習をすればよい。もちろん知らない単語は辞書で調べるか、あるいは単語リストつきの問題集(例えば速読英単語など)を使えばよい。こうすれば読解力と同時に単語力もつく。一石二鳥。というか、単語帳で単語だけ覚えるやり方がそもそも邪道なんよ。

それでも「だって単語調べながら読むのかったるいじゃん」と思うなら、どうぞ単語帳やってくれ。でも、そもそも単語調べながら読むのがかったるい人が単語帳にらめっこして必要な単語全部覚える根気があるとは思えんけどね。

ということで、単語帳に走るよりも、高1~高2の教科書をもう一度じっくり読み、それから入試基礎レベルの長文から始めたほうがいい。単語調べるのがいやなら、「速読英単語」や「ターゲットR」でもいい。

やり方としては、単語の意味+和訳を確認しながら、頭の中で英語からしっかり意味をとっていく。いちいち単語の意味を確認しなくても「英語から意味が取れる」まで何度も読む。仕上げに音声を聞きながら読み、そのスピードで理解できるようにする。

ここまでやればその文章に出てくる単語はとりあえずマスターしたことになる。もちろんすぐ忘れるだろう。だけど、単語帳で覚えるより記憶には定着する。さらに、文章でよく出てくる単語(つまり入試でよく出る単語)は違う文章の中にも何度も出てくる。だから「出る順」に覚えることになる。

さらに、最初に言ったようにこれは単語の勉強ではなくあくまで「読解」をしているわけなので、当然読解力はつく。さらに文法的に正しい文だけを見ているので(←あたりまえだけど)、文法力もつく。

ここまで言えば、単語帳暗記が「非効率的」なことはわかるんじゃない?


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