日本の大学改革案

ウクライナ侵攻による原材料高騰やアメリカのコロナ特需対策の利上げなどをきっかけに「悪い円安」という言葉を見かけるようになったがそれに限らずここ数年、日本の将来、特に経済について諦観的な見方をよく見かけるようになったと私は感じているのだが教育についてもそのような風潮があるように思える。記憶に新しい教育に関することで言えばギガスクール構想による一人一台端末や大学共通テストなどがある。こういった具体的に教育現場に大きな変更を与えようとする政府の改革が目立つようになってきたが、ギガスクール構想についてはまだきちんと論評される段階にないと思うがすくなくともいい印象はあまり見かけないのが現実だ。大学共通テストに関しても、英語の外部試験利用がさんざん現場の教師を困惑させたのにもかかわらず実装年度の4月に突然の中止を発表したり、翌年の数1Aの大幅な平均点下落など個人的に失敗ばかりしていると思っている。しかしこの文章では政府の改革に対する批判ではなく、実際にどのように変化させていけばいいのかを論じたいと思っている。そのうえで今回は大学に絞って考えていきたい。

まず現在の日本の大学の変化や推移についてもう一度まとめる。
1つは学生の大学進学率の増加である。2003年には大学進学率(4年制大学、短期大学を指す)は50%にそこから緩やかに増加し続け令和元年には58,1%まで上昇している。しかし日本の現役世代の給料が上がったから進学率が上がったかというとそうでもない。つまり奨学金やアルバイトを学費のあてに進学している学生が増えているということである。
2つ目は大学の国際的競争力の低下である。
イギリスの高等教育情報誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」の世界大学ランキング2021によるとTOP100中日本の大学は二校とGDPの割に全く評価されていないのが現状である。
もちろんこの教育情報誌のランキングはそもそもイギリスの情報誌であったりと参考程度に考えるべき内容だといえるが、アメリカやイギリス、ほかにも中国などの大学で動いている金額を考えると、日本は圧倒的に少なく、おのずと競争力もないといえるだろう。
以上の二点が現在の日本の大学が抱える大きな問題だといえるだろう。

ではまず一つ目の困窮した環境下で大学に在籍している、いわゆる苦学生についての対策としては学生を労働力として社会が使ってしまうことを止めるべきだと思う。これは日本における他の問題にも共通して言えることだろうが、少子高齢化が進む日本においては労働力がこれからも少なくなるのは防ぎようがないので、学生の労働力を使って現状を維持するのではなくAIや機械を使った効率化、さらにはそもそも町づくりという観点において非効率的なことを減らしていくべきだと思う。(コンビニの乱立や24時間営業、限界集落に対する公共サービスの廃止など)詰まるとこ日本の労働力不足問題解決が大学生の学力向上につながると思う。(困窮している学生に対する支援は個人的に現在の奨学金制度で十分対策できていると思っている

次に2つ目の大学の国際競争力の低下については、ベストな方法は海外から優秀な研究者をお金で引っ張ってくることだったり、今より教授の研究以外の負担を補助できるように大学にお金を渡すことだが、どちらもいまの日本ではほぼ実現不可能だと思う。そこで私が提案するのは、PHDを前提に入学してもらう入試枠を作ることです。現在の大学、特に文系はほとんど就職対策学校のようなものになってしまっている中、ペーパーテストでは優秀な学生を選別できても、その能力をそもそも学問に使うつもりがないので、大学の学術的な面で貢献してくれることは非常に少ないので、ほかの枠よりも簡単だけど就職というインセンティブを消してしまうことによって、将来的に学校に貢献してくれる人材を確保できると思う。しかし、根本的には大学が使える資金が他国の大学に比べて少ないのが原因なので根本的な解決はほぼ無理であると思う。なのでそもそも国際的な競争を意識せずもっとニッチな分野について深く研究していった方が大学としての価値が保てると思う。例えば半導体産業において日本は半導体の小型化が主流になってからシェアを失ってしまったが、その実、半導体の材料や生産設備などの分野では非常に高いシェアを誇っている。このようなcash cowの分野でグローバル社会の一員を担っていくのが今の日本の大学や企業、政府にも求められている要素だと思う。



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