東国原英夫氏の統一教会に関する問題の発言と渡瀬裕哉氏との関りについて
※東国原英夫氏(芸名:そのまんま東、以下『東国原氏』といいます)は、宮崎県知事を務めたほか、衆議院議員も務め、現在もテレビでコメンテーターとして活躍されています。
テレビでは政治問題についてコメントすることが多く、このような実績等から再び政界進出するおそれがあること、及び、社会的影響力の大きさから本記事を書きました。
1.発言時の状況
東国原氏の発言についてまとめる前に、当時の状況について簡単に書いておきます。
2022年7月8日、安倍晋三元首相が演説中に銃殺されるという痛ましい事件が起こりました。
事件当初は、参院議員選挙が間近に迫っていたことから、政治犯ではないかとの憶測が生じたのでしょう。「民主主義への挑戦だ」という言説が吹き荒れ、安倍晋三元首相を批判する言論が原因だ、政治家を批判をするなというすごい主張までされていました。
しかしながら、犯人は、政治的主張によって襲撃したのではない、統一教会への恨みがあったからだと犯行の動機を語り、参院選の終わりとともに様相は一変しました(当初は、大手メディアは『特定の宗教団体』と報じるのみでしたが、その後、週刊誌に統一教会のことであるとすっぱぬかれてテレビでも、統一教会の名称が報道されました)。
東国原氏が問題の発言をした7月11日には、すでに、犯人が恨みを持っていた宗教団体は統一教会であること、母親が信者で多額の献金をしていて家庭崩壊させられたことに対する恨みが犯行動機であることは報道されていました(同日に統一教会が記者会見も行いました)。
※統一教会 安倍元首相の銃撃事件で11日に会見「山上容疑者の母親が信者なのは間違いない」という記事が前日の10日にはでていました。ここで、統一教会は、山上容疑者の母親が信者さんなのは間違いありません」と認めた上で「11日に会見を行いますので、詳しくはそちらでお願いします」と説明しています。
2.東国原氏の問題の発言
このような状況下、東国原氏は11日、TBS系「ゴゴスマ~GOGO!Smile!~」に出演し、以下のような発言をしました(なお、ツイート内でで発言時のテレビ映像が引用されています)。
個人的に重要な点の1つ目
繰り返しにはなりますが、「特定の宗教団体」とぼかされていたわけではなく、右上に書いてあるとおり、宗教団体というのは『家庭連合』(=統一教会)であることが明らかになっていました。
個人的に重要な点の2つ目
犯人は、母親の統一教会への献金によって家庭崩壊をさせられたことへの恨みが犯行理由だとしていました。
そのため、統一教会の過度な献金要求が世間で再び脚光を浴びている状況下で、東国原氏は「献金に関してはやっぱりあのー、日本には信教の自由がありますから、ですからその範囲内での、ま、自己責任、自主的な信仰だと僕は思います」と語りました。
3.東国原氏の発言のどこが問題か(統一教会への献金の正当化)
統一教会への献金を信教の自由の範囲内であり、自己責任であるとしてしまった点は問題と言わざるを得ません。
・まず、宗教的行為といえども一定の場合には不法行為(違法)になり得ます。裁判所は宗教に対する抑圧や過度の干渉となることはできるだけ慎んでいますが、かといって完全に野放しにはせず、簡単に言うと害悪が大きい場合には宗教的行為と言えども違法だと判断しています。多くの裁判例は、献金等の勧誘行為の目的、方法及び結果を要素として社会通念上相当性を欠く場合には私法上違法となるとの判断枠組みを採用しています(判例タイムズ1261号215頁参照)。
→つまりは、献金勧誘行為が違法になりうるといったことを説明せずに、信教の自由の範囲内と公共の電波を使って軽々に語った東国原氏の発言は問題と言わざるを得ません。
・とくに、今回は統一教会の献金問題に関するものです。
統一教会の霊感商法は1980年代から1990年代にかけて社会問題化し、テレビなどのマスメディアでも広く報じられました。東国原氏は、そのまんま東の芸名で1980年代から1990年代にかけてテレビで活躍した人物であり、こういった問題を知らなかったとは到底考え難いです。
なお、統一教会の献金勧誘行為については裁判所で違法認定されたものも多く、2000年代に入っても、献金や宗教的意義のある物品の購入を勧誘する際、宗教的教義を実践しないことによる害悪を告知するなどして不安や恐怖心を発生・助長させ、被勧誘者の自由意思を不当に阻害し、被勧誘者の資産状況や生活状況等に照らして過大な出捐をさせたなどと裁判所でも堂々と違法認定されています(東京地判平成19年5月29日・上記判タの事例。正確には、このような規範の下、社会的相当性を逸脱し違法と認定)。
このように説明すると、いやいや、そのまんま東ちゃんは芸人っしょ、そんな難しいことわからんでしょと思われるかもしません。
しかしながら、わからないのであれば、よくわからないですと言うべきです。
昔からそうですが、テレビ局は専門家を出演させずに、テレビ受けの良いテレビタレントに専門的なことを語らせて、誤った情報を公共の電波に乗せることを好みます。
よくわからないのに、専門家のように語って大衆に影響を与えるのは百害あって一利なしです。
4.東国原氏と渡瀬裕哉氏との関係について
渡瀬裕哉氏は、東国原氏のブレーンの人物です。
渡瀬裕哉ってどんな人?
渡瀬裕哉氏は、ワシントンタイムズ・ジャパンのエグゼクティブディレクターです。
ワシントンタイムズは、統一教会の教祖である文鮮明氏が設立したアメリカの日刊紙です。
そして、ワシンタイムズ・ジャパンは、統一教会の機関紙を発行する世界日報社が開設したものです。
私は当初、渡瀬裕哉氏は多額の報酬を提示され、金の魅力に負けてやってるだけなのかなと勝手に思っていましたが、渡瀬裕哉氏はお金を1円ももらわずに仕事をしていると鮮明に書かれています。
私は統一教会の霊感商法等に対して批判的な立場ですので、間接的といえども、その活動を支えるような関わり(関連団体の活動支援)を持つのはいやあご立派とはとくに思わないのですが、いったいなぜ無償で仕事をされているのでしょうか。
お金は要らないのでぜひやらせてほしいと思えるような、なにか強く共感するものや、動機でもあったのでしょうか。
このように、渡瀬裕哉氏は統一教会系の団体と繋がりがある人物、もしくは、統一教会系の団体でボランティアをする人物と評価されてもやむを得ないでしょう(念のため、渡瀬裕哉氏が統一教会の信者であるというような情報はさすがに見当たらなかったので、せいぜいこの程度の評価でしょう)。
5.東国原氏の弁明とそれに対する私見
さて、以上のような問題発言や渡瀬裕哉氏との関りから、東国原氏はネット上で炎上しましたが、たけし軍団特攻隊長でもある(フライデー襲撃事件参照)、男・東国原英夫、黙ってはおりませんでした。
これに対して、次のように反論していますので、私見も交えて紹介します。
(1)統一教会の擁護をしたとされている?点について
【私見】
そもそもそこはあんまり問題になってないと思います。
ただ、当時の東国原氏の発言は的外れではあると思います。
統一教会とかかわりを持ってしまっている国会議員は、統一教会の理念に賛同したからではなくて、単に、票をもらえるから、あるいは、お金がもらえるからというただの実利目的ではないでしょうか。
いずれにせよ、そこは主問題ではありません。
(2)統一教会への献金について、信教の自由の範囲内とした点について
【私見】
問題の発言です。
あくまでも一般論であると弁明していますが、犯人の母親が統一教会に多額の献金をしていたことについて話をしている中で、いきなりなんの脈絡もなく、『統一教会のことはいったん離れまして』という前置きもなく、宗教一般のことを語っても、誰もわかりません。
某掲示板の管理人の人や、維新のある人のように、テレビ局は、話・論点のすり替えをする人を好んでいるようですが、めっ!東ちゃんはそんな人たちのまねなんてしちゃいけませんよ!
また、総論であると言っていますが、総論としても誤りです。
上記のとおり、宗教的行為といえども違法になる場合がある。
具体的には、献金等の勧誘行為の目的、方法及び結果を要素として社会通念上相当性を欠く場合には私法上違法となるというのが日本の判例法理です。
このようなことを言わずに、統一教会への多額の献金が問題となっている中で、献金は信教の自由の範囲内ということだけ述べれば、それは統一教会擁護をしていると批判されてもやむを得ないです。
現に、ジャーナリストの江川紹子さんも、以下のように、『屋上へ行こうぜ・・・久しぶりに・・・キレちまったよ・・・』という珍入社員金太郎レベルのキレかたをしていますので、さすがに謝罪・訂正をしたほうが良いと思います。
(3)渡瀬裕哉氏との関係について
【私見】
いや、ブレーンのことは?
渡瀬裕哉氏が統一教会の信者かどうかは知りませんが、そもそも統一教会は自分たちの正体を隠して、自分たちの野望を実現するために議員に近づいてくるものであると、紀藤弁護士が指摘しています。
一番まずいのは、自身が統一教会の思想に染まっているということを知らないままに、テレビで統一教会を援護射撃するような発言をしたり、(政治家であれば)統一教会を利するような政治をすることです。
東国原氏は、渡瀬裕哉氏がブレーンであると紹介していますが、ブレーンというのは、こういった公での発言・政策立案にかかわる重要なポジションなのではないでしょうか。
もちろん、渡瀬裕哉氏は統一教会の信者であるというわけではありませんが、少なくとも統一教会の関連団体であるワシントンタイムズジャパンのエグゼクティブ・ディレクターという立場を務める方です。
統一教会の問題が大きくとりあげられている昨今、渡瀬裕哉氏とのお付き合いの程度は広く国民の関心のあるところでしょうから、
(1)ブレーンというのはいったいどのようなことをしていたのか
(2)2016年に渡瀬裕哉氏はブレーンであると発言しているが、いったいいつからの付き合いで、現在もまだ付き合いがあるのか
(3)渡瀬裕哉氏からの提言で政策実現をしたり、テレビで発言をしたことはあるのか、あるのであればその内容
といった点が気になる方は多いでしょう。
以上のような点をきっちり説明いただければ、ああなんだ、渡瀬裕哉氏とのお付き合いは健全なもので、統一教会が政治やテレビに影響を及ぼしたことはないのね、と国民も安心できるのではないでしょうか。
6.東国原氏は、統一教会信者なのか
このような大炎上で、東国原氏を統一教会信者ではないかとする向きもあるようです。私も、その後の発言を聞くまでは、うわっ、あやしいわーと思ってました。
ただ、さすがに統一教会信者ではないと思われます。
というのも、以下の記事のように、統一教会を批判する側に立場をクルリンと変えているためです(信者は統一教会との関係を否定はできても、統一教会への批判まではできないでしょう)。
私見とすると、当初の発言は、単に世論を読み違えたのが原因ではないかと思われます。
7.東国原氏への提言
ブレーンの渡瀬裕哉氏もなんだか山田太郎議員を相手にするので大変な状況で、なかなか助言もできるような状況ではないでしょうから、あたくしがかわりにどうすればいいかご説明いたしましょう。
(1)統一教会への献金について、信教の自由の範囲内と発言したことは素直に謝ろうや
最近は、某管理人や、某維新の人のように、謝ったら死ぬ病気にかかっている(のではないと思われる)大人がテレビ等で人気を博しています。
でもね、これめちゃくちゃカッコ悪いよ。
北斗の拳のアミバですら「ん!?間違ったかな・・・」とちゃんと誤りを認めるよ。
素直に、「献金について、信教の自由の範囲内とした発言は言葉が足りず、申し訳なかった。たしかに統一教会を擁護しているとみられても、おかしくはない発言だった。日本には信教の自由があるので、献金が即違法というわけではないことのみを言ってしまった。信教の自由があるからという理由で全ての献金勧誘行為が許されるものではない。不安や恐怖心を発生・助長させ、被勧誘者の自由意思を不当に阻害し、被勧誘者の資産状況や生活状況等に照らして過大な出捐をさせるような献金勧誘行為は断じて許されるものではない。統一教会が違法な献金勧誘行為を行ったことは裁判所も認定していることから明らかであり、社会的相当性を逸脱する献金勧誘行為は、信教の自由の名の下に許される行為ではない」みたいなことでもいおうや。
(2)渡瀬裕哉氏との関係についてちゃんと説明しようや
大丈夫、みんな、東ちゃんがええ子やってことはわかってる。
悪い子と付き合っているってわけじゃないもんな。というわけで、
(1)ブレーンというのはいったいどのようなことをしていたのか
(2)2016年に渡瀬裕哉氏はブレーンであると発言しているが、いったいいつからの付き合いで、現在もまだ付き合いがあるのか
(3)渡瀬裕哉氏からの提言で政策実現をしたり、テレビで発言をしたことはあるのか、あるのであればその内容
の説明をいってみよう!
8.まとめ
・東国原氏の、統一教会への献金を信教の自由の範囲内であり、自己責任であるとしてしまった発言は問題
・宗教的行為といえども違法になる場合がある。具体的には、献金等の勧誘行為の目的、方法及び結果を要素として社会通念上相当性を欠く場合には違法となるというのが日本の判例法理であり、統一教会への献金勧誘行為は違法とされた裁判例も多くある(つまり信教の自由というだけでは許されない)。
・東国原氏のブレーンの渡瀬裕哉氏は、統一教会の機関紙を発行する世界日報社が開設した、ワシントンタイムズジャパンのエグゼクティブ・ディレクター(ワシントンタイムズも統一教会の教祖・文鮮明が設立)
・東国原氏は、①統一教会への献金を信教の自由の範囲内であり、自己責任と言ってしまったことは謝罪・訂正し、②渡瀬裕哉氏との関係については明らかにして、私、統一教会と関係あらしまへんってことをちゃんと説明したほうがおじさんいいと思うよ
9.おまけ。なんか世界日報を統一教会の機関誌と評すると法的措置とるどと脅されるらしいので、霊験あらたかな御札はっときます
統一教会の機関誌という表現がだめなら、統一教会の広報誌と表現する準備ができているので、世界日報さん、ご希望であればこちらにコメントください(DMの場合は公開するので注意してね)!
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