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卒業したい!薄宮自伝総集編

アタシは今年2▇なのだけれど、ワケあって、まだ、学校にいる。
19に何故か不登校になって、そのあとの2年くらいは動けなかったり、失敗しに行ったり、絵を描いてみたり、住み込みで働いたりして、そんで、なんとなくまたもう一度、同じ学校に2年通い直した。で、今年2▇歳!伏せても、ムダだ。

2000年生まれだから、全部の時系列、辻褄がすぐに合う    2019年なら19歳なんて、丸洗いされたように簡単だ。
そろばんはやったことがないけど、そろばんができる人は、こういう数の揃え方が出来ているんじゃないかと思う。頭の中で難しい数字の差をキリよく設定して整理することであんなに計算が早くなっていたら。違うのかもしれないけど、とにかく算数苦手だから、2000年生まれで良かったと、よく思う。

なんでかって、

数学の授業中、先生に問題を当てられたとき、
えっと…と  友達を頼ろうとしたら、先生が空気をガラッとドラゴン桜にした



「お前ら、絶対 答え、教えるなよ!コイツが成長するには、自分で考えて、乗り越えることが必要やねん!乗り越えたら、
絶対に…


良くなる!!!!!!!!!」



シーーーーーーン・・・・・・・・・


「ええっと、イコール…」

「おう、イコール!」

「ええっと、イコール…」

イコールが成している役目しか分からなくて、
イコール・・・・と、言い続けた

笑いながら、俺は 知らん間に、泣いていた。

先生には授業終わり、肩を叩いて、「ごめんな」と謝られた。


先生、ドラゴン桜に出来なくて、ごめんなさい…
でもアタシ、頑張りました。暗記は得意で、定期テストは中間は特に頑張った。だけど、どれだけやっても、理解しないと分からない実力テストがすこぶる悪かった。覚えた方式をどの問題に当てはめて使えばいいのか、初めて読んだ文章が意図していることがなんなのか、わからなかった。

でもそんなの、ぜんぜん、大昔の話!ぜーんぶ終わって、とにかくアタシは近くにある絵が描ける学校に行って、やめて、また、戻った。それだけのこと。

それだけのことなのに、2度目の桜を見た時、そんなのってアリなの!?と思った。

やる気も友達もなかったけど 単位がヤバいから寝間着で必死に通ううち、同い年なのが早生まれのせいでわかんなかったアイドル好きの友達や、時系列通り、3つ違いの友達が出来たり、同じように休学してたギャルと友達になった。
1回生、冬。どうしても課題のホームページが数学に見えて理解できなくて 作れなくて、黙ってギャルにHTMLを、ひたすら丸写ししてもらって、ずっと頭を下げた。帰りの電車でも、頭を下げた。
そんでようやく、はじめての二回生。三回目の春が来た。オシャレして高い厚底ブーツ履いてたときより、寝間着みたいになっていけばいくほど、友達が大切になっていった。

ゲーム作りも、退学になりそうだった。歌い手とジャニーズのNEWSが好きな友達の家で、ツイッターでHTMLがわかるすごく優しい方に手伝ってもらいながら無事提出が出来た。

卒業制作は特に、毎日がんばった。


初めて学校で作ったものをクラスの子に褒めて貰えて、泣いてもらえたりもして、嬉しかった。

ようやく、卒業できるなあなんて、友達のギャルと話したり、地元に帰る友達を、2人きり、見送ったりした


みんな、卒業、おめでとう…

だが、

「教養科目を1つ落としており、卒業出来ません。。。」というメールが先生からきていた。


卒業

できない……?



気持ち良いほど、頭が真っ白になった。
沼パチンコで、一旦地下行きが確定したカイジの「夢だろ、これ・・・・」と、全く同じ顔と心だった。目はそれを知り、頭は知りたがらなかった。



なんの教科を落としたのかと調べたら、未来デザインという科目だった

未来デザインという科目にこんなに5年かけた未来を取られることって、あるんや……とか、こんな状況でも、思っていたが、5年が重すぎて、自分のことも嫌すぎて、言う元気はなかった。




久しぶりに、「自殺したい」なんて言葉を使った。ワンワン、えんえん泣いた。
オカンも ただ、黙って、目を真っ赤にしていた。

ここ2年で1番辛い、辛すぎて夢みたいに心地良いほどの、朝4時だった。
寝るまでタイムラインを荒らしてしまった。
いつの間にか寝て、1時になっていたけど、やっぱり単位は1個足りないままだった。

取れなかったのは、なんにせよ、自分が悪い。

友達のギャルが、懸命にLINEで励ましてくれたので、なんとか切り替えて、色んな先生に電話した。そしたら、卒業できそうになってきた。


実はアタシ、思い出してた。


18のとき、3人組にハブられて、1人で校門前に突っ立ってツイッターで友達いないのかなって 初めて作った絵垢で呟いたら、「いるよ」っていきなり話しかけてきてくれた友だちのことを。
その友だちと初めて出会って遊んだ時、私が身分証明を持ってきてなくて、カラオケ店に入れなくて、一店舗目で諦めて謝った私を気にも留めずカラオケを数店舗探したら、なんと、入れる店舗があったのだ。



「なんで諦めへんのー?!」

「んー……?数打ちゃ当たるんよ」


前を向いて 嬉しそうにエレベーターのボタンを押す友だちを、アタシは本当に、キラキラした目で 見つめていた。


泣き寝入りした私を、懸命に 「やるだけやったら絶対何とかなるって!」と励まし、バイト時間も遅らせてくれたギャルの姿に、アタシは2021年のその日の友だちを どこか、見ているような気がした。


お陰で、追加課題をもらえた。

追加課題は、「2040年の地元の未来」
だった。こんな時にも、えー!じゃあ、40歳か
計算簡単だなー。なんて、思い浮かんで、
馬鹿だなーと思った。

イラストは、一日で完成させた。


駐輪場が車椅子置き場になっていて、おじいちゃんを見守る、見守り犬ロボットがいて、団地が建物緑化していて、虫型ドローンが 子供を見守ってライトを照らしているんです!!!防犯対策なんです!!

より良い、未来なんですー!!!!!✨️


必死に、訴えた。

もし上手く卒業できたとしたらいいけど、もしできたとしても、卒業式はみんなとは出られないらしい。それでもいいから卒業がしたい。でも、袴レンタルしたのに、1人で着るのかって、まだ決まってないのに 明るい未来を想像して、最後まで照れくさい。

卒業式が1人だけになると教務課に伝えられたとき、定時制に行ってた友達から聞いた卒業式の風景を思い出した。
友だちは、校長室で 教員数名に、全然、無愛想な感じで拍手されたあと 1人で、ミュージカルのRentを聴きながら、自転車で爆走しながら帰宅したというハナシ。

桜吹雪が舞っていて、それが、とても、爽快で、綺麗だったという。

それは、loveしか分かんなくても アタシだって、人生なんか、真剣にやったら涙が出る。

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