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無数の管が蠢く製粉プラント

福岡で78年続く製粉メーカー・大陽製粉。その工場には、世界トップクラスのシェアを誇るスイスの製粉機器メーカー・ビューラーの技術者と共につくりあげた製粉プラントが存在する。

配管のなかにはそれぞれ異なる種類の麦、異なる粒度のストック(小麦から最終的な粉になるまでの途中段階)が高速で流れており、次のローラーやふるいなど、粉が辿るルートはすべてオペレーション室のPCで管理されている。

近しい粒径を集めて同じ配管に流すにはどうするか、異なる麦の混入を確実に防ぐベストな方法は、無数に交わる配管=粉の通り道を最大限に活かす生産性の高い稼働システムとはーーなど様々に考慮を重ねた結果、配管の数は日本の平均的な製粉会社の倍ほどになったという。

また、粉を吸い上げる管の中のエアー量も、麦の比重によって変えなければならない。よく見ると配管の太さが一本一本異なるのはそのためだ。
ひとつのプラントにこれだけのルートを設けるメーカーは世界的にも見ても珍しい。工場のオペーレーターたちは、製粉に対する厚い知識と併せて、工場全体の生産状況を細かに把握し進行を調整する管理能力も要求される。

同社を率いる鹿野晋社長は言う。「機械と人の力がかけ合わさって、品質面、安全面共に満足できる良い形が実現できたと思います。規模としては大きくありませんが、製粉の歴史が詰まったプラントになったんじゃないかな」