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チョコレートの世界に生まれた新しい“体験”

2021年7月1日、日本では世界に先駆けてまったく新しいチョコレート体験を楽しめるようになった。ベルギーに本社を置き、製菓・製パン材料をグローバルに供給しているピュラトスが25年前から構想を温めてきたチョコレート「60DAYS」がリリースされたのだ。これは収穫した原料のカカオを、産地であるベトナム国内で60日以内にチョコレートにしたもの。製菓業者向けの材料だ。従来のチョコレートでは長いものだと約2年かかっていた製造期間を大幅に短縮した結果、マンゴーやパッションフルーツのような香りと、まるで採れたてのフルーツを食べているような風味が生まれた。フレッシュな状態で食べるとカカオの果肉は甘酸っぱい。その味がそのままチョコレートになっている…という評価もある。「60DAYS」は世界に先駆けて国内の先行モニターとなったパティシエにデリバリーされ、それぞれがオリジナルのケーキなどとして商品化している。2022年からは世界中で「60DAYS」が供給される予定だ。

もうひとつは「カカオ・トレース」と呼ばれるチョコレートのサステナビリティ・プログラムだ。カカオの産地で生産者の栽培技術を支援し、独自のカカオ発酵技術により価値を高め、生産者の収入・生活水準の向上をサポートするという仕組み。2014年にベトナムで、2017年にコートジボワールでそれぞれローンチされ、2021年現在、フィリピン、パプアニューギニア、メキシコ、ウガンダでも実施されている。これまでに小学校や浄水施設などを産地に新設したほか、生産者にもボーナスを還元している。

美しすぎる「B to B to C」モデル

ピュラトスにとっての直接的な顧客である製菓・製パン業者も、エンドユーザーである生活者もともに“良きこと”に参加できるプラットフォームとして機能する「カカオ・トレース」。これは、シンプルかつ美しく社会課題を解決できるSDGsの見本のような取り組みだ。長年のあいだ「味」「価格」だけで選ばれてきたチョコレートだが、「トレーサビリティ」や「サスティナビリティ」も購買に直結する顧客価値になる。

そして圧倒的な鮮度によって今までにないチョコレートの風味を実現した「60DAYS」は、材料自体に話題性があるだけでなく、まったく新しい味覚を生み出したという“事件性”まで帯びている。そのため、パティスリーにとっては「60DAYS」を使うだけでプロモーションコストが下がることも想像に難くない。

つくっているのはチョコレートではなく顧客価値

いずれも、製菓・製パン業者にとっては自らの商品を売りやすい状況を生み出し、生活者にとっては新しい(もしくは社会的に意義のある)“体験”となり、お金を支払ってでも得たい価値となる。生活者(消費者)を相手にした製菓・製パン業者の商売を支援する…という「B to B to C」モデルで商売する材料メーカーとして、その本分を全うし続けるピュラトス。いったいどのようなプロセスを経て「カカオ・トレース」や「60DAYS」は生まれるのだろうか?

ピュラトスジャパン
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