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シェフとメーカー、鮮度保持の二人三脚

大分県津久見市の鮮度保持剤メーカー・鳥繁産業が、シェフたちに向けた相談窓口「お菓子屋さんの相談室」を開設したのはおよそ20年前。自社の鮮度保持剤に関するアドバイスだけでなく、衛生管理の観点から食の現場を支え続ける彼らが抱くのは、「鮮度保持剤は、正しい知識と環境があってこそ生かされる」との思いだ。

「お菓子の鮮度保持を極めるために欠かせない重要なポイント。そのひとつが、水分のコントロールです」

教えてくれたのは、鮮度保持剤メーカー・鳥繁産業の品質管理課を統括する工藤豊さん。

食品に含まれる水にはたんぱく質や炭水化物と強く結びつき離れない「結合水」と、蒸発や移動が起こりやすく微生物の繁殖に使える「自由水」の2種類がある。カビはこの「自由水」を利用して増えていくため、自由水の割合が高ければ高いほど、腐敗は進みやすい。

食品に占める自由水の割合を示した指標は「水分活性(Aw)」という単位で示される。鳥繁産業が設立したシェフ向けの相談窓口「お菓子の健康診断」ではこの水分活性値を測定し、カビの原因や繁殖の可能性を調査しているという。

「取り組みを始めて20年ほど経ちますが、はじめのうち水分活性値はほとんど重視していなかったんです。お菓子の健康診断自体『脱酸素剤が使える商品かどうか』というご相談から始まったので、当時は酸素濃度さえわかればそれでよかった。ですが、ただ脱酸素剤を入れるだけではなくそもそもなぜ菌が繁殖するのかを知っていただかないとまた同じことが起きてしまうということが徐々にわかってきて、それを伝えるのも私たちの役目だと考えるようになりました」

もちろん、脱酸素剤でカビやおおよその菌はおさえられる。ただし酸素がなくとも繁殖する嫌気性の菌までは防ぎきれないのが実情なのだという。

「その点に関しては、レシピでお菓子そのものの水分をコントロールしていただいて、嫌気性の菌に都合の良い環境を与えないといった対策もやはり必要になってきます。それを知っていただくためにも、数値でお伝えできればよりわかりやすくなるんじゃないかということで、途中から水分活性値にも重きを置くようになりました。

ただこういった対策を通じてシェフたちが理想とする味が損なわれてしまうのは本末転倒ですし、そこのバランスは正直難しいなとも思っています。とはいえ現場でも既にある程度は配慮していただいていると思いますので、そこへ私たちが鮮度保持剤と衛生管理の両面からサポートしていくことで、良い塩梅を見つけていただけたら。これからもシェフたちと一緒に、最善を模索していきたいですね」


鳥繁産業
〒879-2461 大分県津久見市上青江4180番地
https://www.torishige.co.jp/
https://www.torishige.co.jp/consultation/(お菓子屋さんの相談室)