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米粉の尽きぬ面白さ

白玉粉や餅粉など耳馴染みのあるものから、上用粉、上新粉、上南粉、みじん粉、道明寺粉、寒梅粉、落雁粉、乳児粉…などなど、「米粉」と呼ばれるもののなかには実に多くの種類が存在する。

元々は菓子職人が自らつくりたい菓子にあわせて米粉を配合し製造していたというが、江戸時代以降、和菓子需要が高まるにつれその役目は徐々に職人の手を離れ、製粉メーカーの元へと移っていった。

鹿児島県薩摩川内市で米穀粉類の製造・販売を行う小城製粉。和菓子屋にはじまり、当初は自分の店で使う粉だけを製粉していたが、近隣の職人たちからも依頼を受けいつしか事業へと発展した。

「米を挽き、つくりたい粉ができなければ製粉機を増やし、そこからできた粉と粉を掛け合わせながら、職人たちが求める粉をつくり続けてきました。ある意味で私たちは『非効率な粉屋』と言えるのかもしれません。ですが、だからこそ今の粉ができたんだと思います」

そう話すのは、小城製粉の取締役兼製菓部主任を務める小城吉輝さん。

「米粉って、人の人生と同じだなと思うんですよ。仮にまったく同じ米を使っても、製法と粒度の掛け算でまったく違うものができる。さらにその掛け合わせ方を変えることで、可能性はどこまでも広がっていきます。ですがその一方で、どこまでいっても米の味だけは絶対に残る。いろんな挽き方をしたり、配合をして違った特徴になっても、味は必ず元の米のものが一つひとつストレートに生きてくるんです。

どんな場所に生まれて、どんな学校に行って誰に出会って、どんな働き方をするか。生まれてから死ぬまで人の可能性は無限大なんだけど、でもどこまで行っても根っこの部分は変わらない。それと一緒です。米粉って、本当に面白いんですよ」