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カイル・マクラクランの魅力

セックス・アンド・ザ・シティがまたアメリカで注目されている。という記事を読みました。

ツイン・ピークスにドハマりし朝までレンタル・ビデオを見続けた年代の私は、もちろんSATCもデス妻も全部見ました。

ちなみに、アメリカのネットフリックスで今年からSATCの配信が始まったらしいですが、日本では映画しか見ることが出来ませんね。でもU-NEXTだったら、SATCのドラマ版もツインピークスも見れますよ。

さて、そんなカイル・マクラクラン大好きの私ですので、彼がワシントンでワインを造り、自分たちの会社がその輸入をするとなった時にはもう大興奮でした。でもまさか会えるなんて、、、いやいやそんな緊張するから無理無理無理っ!!と自分で全否定していたのですが・・・・

会えちゃいました。それどころか通訳同行として一緒にワインショップやレストラン訪問して、彼のワインパースードバイベアの営業をしました。一緒に電車乗って、東京中歩きました。息子さんのお土産買いに秋葉原も行きました。2019年の事なのであれから5年近くたっているのですが、カイルは私の出会ったアメリカ人の中でも3位以内にはいる良い人です。サービス精神旺盛だし、とにかく気が利く。まったく偉そうな感じは無いです。ゼロ!でした。

カイルは自分のワインもそうだけど、自分の故郷であるワシントン州ワイン全体のアンバサダーになりたいと考えている人です。よく耳にする、有名人が作った(お金を出した)ワイナリーとは全く違うのです。

そんなカイル・マクラクランと彼のワインの紹介記事がワイン・スペクテーター誌に載っていたので。ご紹介します。

2024年ワインスペクテーター

8月の午後、ワラワラ・ヴァレーの上には靄が立ちこめ、ダッシュボードの温度計が42度に近づこうとしています。カイル・マクラクランは田舎道を走り、ブドウ畑や休耕小麦畑を通り過ぎながら、ただコーヒーのことばかり考えていました。これはマクラクランにとって皮肉なことではありません。コーヒーは、彼を象徴するドラマ 『ツイン・ピークス』のキャラクターであるデイル・クーパー捜査官の愛飲品であり、一日中ワインの試飲をしていたマクラクランにとって、コーヒーが一杯欲しくなっていました。ちなみに、彼もクーパーと同じくブラックが好きです。もちろん、彼のもうひとつの愛飲品はワインです。
 
『デスパレートな妻たち』、『ポートランディア』、『セックス・アンド・ザ・シティ』、『ブルー・ベルベット』、そして『デューン』など、テレビと映画の両方で活躍する有名な俳優にとって、ワインはかつては趣味でしかありませんでしたが、今や独自のワシントン・ブランド「Pursued By Bear(パースード・バイ・ベア)」にまで発展しています。マクラクランは、俳優業と同じくらい真剣にワインビジネスに打ち込んでいます。
「これらのセレブリティワインが現れては消えていくのを見てきたが、カイルは本物だ」とは友人のナパ・ヴァレーのワインメーカー、ダグ・シェイファーの言葉です。「彼は自分の名前を貸しているだけでも、ワインに自らの名前を載せているわけでもない。彼はワインにのめり込んでいる。彼はワインを知り、ワインを愛しているんだ。」そして、マクラクランが造るワインはこの言葉を証明しています。

パースードバイベア

カイル・マクラクランのワイン・ブランド「パースード・バイ・ベア」は、ワイン・スペクテーターの100点満点で常に90点以上の優れた評価を受けており、その中でも2005年ヴィンテージでデビューしたワイナリーのフラッグシップであるコロンビア・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンがその筆頭です。また、「ベア・カブ」はコストパフォーマンスに優れたカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロのブレンドで、一方で「ブラッシング・ベア」はワラワラ産のグルナッシュとムールヴェードルを使用した辛口のロゼワインです。限定生産ワインとしては、「ツイン・ベア・ワラワラ・ヴァレー・カベルネ・ソーヴィニヨン」と「ツイン・ベア・コロンビア・ヴァレー・シャルドネ」があります。
有名俳優が手がけたワインでありながら、消費者は裏ラベルにマクラクランのサインがあることで初めて、カイルが「パースード・バイ・ベア」に携わっていることを知ることができます。「ワインがそれ自体で成り立たなければ、ワインを造る意味がない」と彼は語っています。このコメントから、マクラクランがワインと人生に真摯に向き合っている様子がよく伝わってきます。
 
ナパの醸造家で、1998年から彼を知るアン・コルギンは、「カイルのワインは、彼の演劇的なバックグラウンドと、本当に良いものを造りたいという彼の欲望の真の反映だ」と述べています。有名人が手がける「セレブ・ワイン」としては、マクラクランはかなり実務に関与しています。ブドウ畑やオーク樽の選定、好みのワインスタイルの設定に携わるだけでなく、ワインメーカーのダニエル・ワンプラーとエイミー・アルヴァレス・ワンプラーとのパートナーシップのもと、定期的にテイスティングを行い、ブレンドの微調整を行っています。
 

カイル(左)とワインメーカー・ワンプラー(右)

ワンプラーは、マクラクランの献身ぶりを物語る最近のエピソードを語りました。ラベルのデザインを変更した後、2人はポートランドの印刷所に出向いてプレスチェックを監修しました。「カイルは拡大鏡を覗きながら、色をチェックし、すべてが完璧であることを確認していたんだ」とワンプラーは言います。印刷会社は、有名人のプロジェクトはたくさん手がけてきたと言っていましたが、実際に本人が現れたのは彼が初めてだったそうです。マクラクランは笑いながら、「ポートランドの市長として、私がそこにいることが重要だったのさ!」と語りました。(TVシリーズ『ポートランディア』で彼が演じたおちゃめな市長のことです。)
 
マクラクランは、自分が几帳面であるよりも潔癖症であることを認めています。「すべてを完璧にしたいと思うんだよね」と彼は言います。「個人的なものを作り、それを人々と共有し、彼らが良い体験をしてほしい。そのためにはグラスやラベルなど、細部までこだわりたいと思っている。テイスティングルームも、居心地が良く、私の個性が少し感じられ、そして楽し
い場所であってほしいと考えているんだよ。」
パースード・バイ・ベアのテイスティングルームは、2023年にワラワラのメインストリートのすぐ側、12軒以上の様々なワイナリーのテイスティングルームが立ち並ぶ場所にオープンしました。ワインは数マイル離れた、ワンプラー夫妻がワインメーカーを務めるアベハ・ワイナリーで造られています。
マクラクランのテイスティングルームは皮肉っぽいユーモアにあふれています。高さ1.8メートルのクマのブロンズ像が、霧深い松の木の壁画を背にして立っているのです。これは『ツイン・ピークス』へのオマージュで、意図的でありながら、さりげない主張です。「自分が成し遂げた最も象徴的なものは認めるべきだと思ったんだよ。」とマクラクランは言います。
このクマにまつわる話はもう少し複雑です。「ワインを造り始めたときから、私は『私の‘名前’が入ったワインを造るつもりはない』と断言していたんだ。」
 
2008年のワイン・スペクテーター誌のインタビューで、マクラクランは「Pursued By Bear(パースード・バイ・ベア)」の名前の由来をこう語っています。「スティーブ・マーティン(アメリカの有名なコメディアン・俳優)を含む友人たちと食事をしていたとき、スティーブがこのワインの名前を演技にちなんだものにしようと提案したんだ。」
 
「その時に、僕の頭に何かが浮かんだ。シェイクスピアの『冬の物語』に出てくる素晴らしい舞台のト書き“クマに追われて退場= Pursued By Bear”という言葉。スティーブも大賛成してくれたよ。ただ問題は、私がいつもこの名前の背景を語らなければならないことなんだ。」

カイル・マクラクラン(中央)と 弟のクレイグ、ケント・ジュニア(1960年代)

カイル・メリット・マクラクランは1959年、ワシントン州ヤキマ生まれ。父のケントは弁護士から証券取引業者に転身し、母のキャサリンは地元の学校で働いていました。そして、カイルにはクレイグとケント・ジュニアという2人の弟がいます。「父は2、3年間弁護士をしていましたが、嫌気がさし、午後にはゴルフができる証券取引業者に転身しました。それが彼のライフスタイルに合っていたんでしょう。」と、自身もゴルフ好きになったマクラクランは語ります。マクラクラン家の3兄弟は夏になると、父の元で裏庭のリンゴの木、野菜、花の手入れを手伝っていました。「タダで働かされていたわけだ」と彼は冗談めかして言います。「いや、本当は僕たちは皆、その作業が大好きだった。だから、農業はもともと僕の中にあったんだ。」
 
1970年代後半、ワシントン州のワイン産業はまだ初期段階でした。マクラクランの両親はポール・マッソン(アメリカのブランデーやワインのカジュアルブランド)やバドワイザーを飲んでいました。高校時代の友人たちがビールを一気飲みしていた頃、マクラクランはガールフレンドの家族を通じてワインに出会いました。「彼らはちゃんとしたテーブルマナーで夕食をとり、私たちはワインを1杯だけ飲むことが許されていたんだ。」「私にとってワインは食事と共に楽しむことから始まったんだ。カリフォルニアのシャルドネだった。とても大人になった気がしたのを覚えているよ。」彼はガールフレンドとのデートでもその習慣を続け、当時流行っていた安価で少し甘めの白ワイン、『ブルー・ナン』のボトルを年上の誰かに代わりに買ってきてもらっていました。「それしか買えなかったからね。」「ピクニックをしてね。かなりロマンチックだったよ、墓地でね。」と、彼はニヤリと笑いました。「とても美しい墓地だったし、もっと重要なことに、木々に囲まれた裏手に人目を引かない小さなエリアがあった。あとは、想像できるだろう。」

マクラクランは俳優になるため、ワシントン大学で演技を学び、1982年に卒業しました。在学中はオレゴン・シェイクスピア・フェスティバルや他の地方劇団で活動していました。シアトルでモリエールの「タルチュフ: あるいはペテン師」に出演していた際、キャスティングディレクターから、デヴィッド・リンチ監督の1984年映画『デューン』の主人公ポール・アトレイデスの役をオファーされました。
 
この映画は興行的には期待外れでしたが、マクラクランの役者としてのキャリアをスタートさせ、映画、テレビ、そしてワインを含むリンチ監督とのコラボレーションが始まりました。1983年、マクラクランが『デューン』のスクリーンテストを受けた後、リンチ(Lynch)は彼のホテルの部屋にランシュ(Lynch)・バージュのボトルを送ってきました。「1980年か1979年だったに違いない。今のカイルなら思い出すだろうが、当時のカイルは無知だったからね。」

リンチとマクラクランは今でも時折、「ランシュ・バージュ」のボトルを贈り合っているだけでなく、このワインが俳優マクラクランのワイン好きへの道を切り開きました。1990年代を通じて、彼は世界中のワインを探求し、特にカベルネ・ソーヴィニヨンに情熱を傾けました。ロサンゼルスに住んでいた彼は、1990年代後半にナパ・ヴァレーに魅せられ、そこで当時カスタム・クラッシュでワインを造っていたコルギンと、彼女のワインメーカーだったマーク・オーベルトに出会いました。「これが、いつか自分でワインを造る可能性を最初に感じたきっかけだった」とマクラクランは話します。「ワイナリーは必要ない。フォークリフトもいらないし、土地を所有する必要もない。それが浸透しつつあったんだ。」とはいえ、ナパでワインを造るコストは当時でさえ法外でした。そして彼を故郷のワシントン州に導いたのはマクラクランの妻でプロデューサーのデズレー・グルーバでした。「ナパが舞台じゃない」と彼女は言いました。「舞台はワシントンよ。」
 
ワイン醸造家エリック・ダンハムとの偶然の出会いが、その歯車を動かしました。ふたりはエリックの畑のブドウとワイナリーを使い、2005年カベルネ300ケースでパースード・バイ・ベアを立ち上げました。
自分の映画やテレビ番組に関するレビューを読むことには慣れているマクラクランですが、当時ワイン・スペクテーター誌でワシントンを取材していたハーヴェイ・スタイマンがこのワインに91点をつけた最初のレビューを読んだときの興奮を今でも思い出すと言います。「『ワォ!現実になったんだ。ついにゲームに参加できたんだ』って思ったよ。もう後戻りできないとも、実感した。」
 
ブランド立ち上げ当初は、マクラクランはビジネスの細かい部分をダンハムに任せていましたが、2014年にダンハムが予期せぬ死を迎えたことで状況は変わりました。当時ダンハムのワインメーカーだったワンプラーは、変わらぬワイン造りを保証してくれましたが、マクラクランは自分がステップアップしなければならないことを悟っていました。「それ以来、私はどんどん自分の意志で己の運命を左右するようになったんだ。ブドウ畑に注目し、新しいブドウ供給元を自分で探すようになった。自分で船を操縦する時期がやって来たんだ。」

マクラクランはロサンゼルスとニューヨークを行き来しながら、数日に一度ワインメーカーと連絡を取り合い、ワラワラを頻繁に訪れています。最近の俳優組合ストライキの間はワイナリーに集中し、プロデューサーである妻デズレーと10代のサーフィン好きな息子カラムと過ごす時間が増えたそうです。彼はワイン造りにおいて常に新しい挑戦を求めています。自社畑の可能性も検討しており、目標はワラワラで人気が高まっているミル・クリーク地区への植樹です。
 
「パースード・バイ・ベア・シャルドネ」は2022年ヴィンテージからスタートしました。また、新しい畑との取引開始により、まもなくヤキマ・ヴァレーも瓶詰、そしてメルロも近々発売される予定です。「こんなにたくさんのワインを持つことになるとは思ってもいなかったよ。」と彼は言います。
 
ヤキマ育ちのマクラクランは、ワラワラに居心地の良さを感じており、ワシントンのワイン・コミュニティはそんな彼を歓迎しています。レオネッティのワインメーカー、クリス・フィギンズは言います。「カイルについていつも感心することのひとつは、彼の謙虚さだね。彼は根っからのワシントン州東部の人であり、ワラワラ・ワイン・コミュニティの貴重なメンバーなんだ。」ワンプラーが言うように、「彼がハリウッドでどんな仕事をしていたかを元々知らなければ、きっと気が付かないだろうね。」
マクラクランは、試飲会でワインを注いだり、仕事の傍らソムリエを訪ねたり、今年8月のワシントン・ワイン・オークションなどのイベントに参加したりと、ワイン生産者としての生活を楽しんでいます。
「僕もみんなと一緒にワイン造りで頑張ってる一員なんだ。他のワインメーカーとも交流を通して、ワシントン州のワイン全体の底上げができたら最高だね。」
 

左からワインメーカーのダニエル・ワンプラー、エイミー・アルヴァレス・ワンプラー、カイル・マクラクラン


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久しぶりのnote更新だなーと、前回の更新を確認したらなんと7か月前!!でした。そして、2つ前にもカイル様のワインの投稿をしていました。しかも似たような事書いてる(恥)・・・・好きが過ぎる・・・( ´艸`)


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