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生きるのが遅い――静かな部屋にて

一人暮らしを始めて1年が経とうとしている。
思い返せば、1年前の年明けはずっと血眼になって物件サイトを見まくっていて、内見を何度かして、結構疲れていた。雪の次の日に内見に行ったのも覚えている。ちょうど1年前のこの時期にはもう物件は決まっていて、家具家電は何を買うかとかそういうことをずっと調べていた。

1年経ってやっと慣れた気がする。実家が近いこともあり、かなり実家にいる時間も長かった。正直、「なんで私は一人暮らしなんか始めてしまったんだ」と思う時もあった。でも、自分の家で静かな時間を過ごすことに慣れ、そちらの方が心が休まると気付いた。

部屋は全然きれいじゃない。人を呼ぶとなったら、最低限の掃除はする(恋人に部屋を掃除してもらったこともありましたが)。生活感もある。洗濯物が部屋干しされている光景は、なんだか生活している感じがあって、逆に好き。なぜインスタグラマー達はあんなに生活感を嫌うのだろう。ティッシュの箱さえ嫌がる。ちなみに私はこの狭い6畳ほどの部屋でティッシュの箱を2つ出している。生活感がない空間は、他所で感じる方がメリハリがつくと思うのだけどな。

私はあまり新しい環境に適応するのが早いタイプではないと思う。1年経ってやっと、この近くを開拓しようとか、部屋の中で便利に暮らせる方法を模索するようになってきた。
「ご飯は炊きたてを食べたいな」とかほざいて入居前に買った1.5合炊きのおもちゃみたいな炊飯器はおもちゃみたいな使い勝手で、ムラができて美味しくないので、ご飯を炊きたいと思わなくなった。そもそも生活してみたら毎回0.5合だけ炊くかってわけで、1.5合炊いて残りは冷凍しているんだけど、それって3合炊きとかで良かったじゃんって思う。コンパクトなのは助かるんだけど。というわけで炊飯器が欲しい。

1年経ってやっとこの状態である。それでも、私に漠然とのしかかる「しなくちゃ」の重石が少しずつ軽くなっている。一人暮らしはやってみたいことでもあり、「しなくちゃ」と思っていたことのひとつだった。あとの「しなくちゃ」が本当にすべきなのかどうかを見極めながら、私は私のやりたいことを、他の人でなく私に必要だと思うことを1個ずつやっていくしかない。みんなより遅くても。ほら、私、持久走はいつも最後から2番目とかだったから。みんなより生きるのが遅いだけ。生きるのが遅いって変だけど。
あと、実を言うと占いの類を信じ切っているわけではないが、私はほとんどの占いで「大器晩成」と出る。そうなると長生きしなくっちゃね、と思うし、生きるのが遅くても許してやろうと思える、かも。

いつか今までの経験が何かに関係して、というか今この瞬間も経験が活きているといいな、と思う。現在・未来は、過去とは別物で、変えていけるというポジティブな面もわかるけど、でもいろんな経験したからこそいろんなことが分かる人になれたらいいなとはずっと思っている。

1年前と比べて、一人で暮らせるようになった。新しい仕事も慣れていろいろできるようになった。
2年前と比べて、
3年前と比べて、
4年前と比べて、
5年前と比べて、
……書いていないけど、心の中では思い浮かべました。周りに比べたら生きるのが遅くても、毎日の積み重ねで、結構成長しているものですね。


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