大学合格への道のり(5)推薦入試不合格

・推薦入試

 名古屋大学文学部を一般入試で受ける前に、実は、担任にすすめられて愛知県立大学の日本文化学部の推薦入試を受験していました。11月だったと思います。正直、まったく記憶に残っていないくらい、モチベーションが低くて、公立だから学費安いし、推薦で今合格すれば、冬のアンサンブルコンテストに出れるとか、たぶんそれくらいの理由で受験をすることにしました。日本文化に興味があったかと言えば微妙なところでした。知識がなさすぎたので、伝統文化を見とくかと思い、友達と3人で大阪まで文楽(人形浄瑠璃)を観に行きました。なんで文楽をチョイスしたかは不明です。そして実際に見ても、そんなにはまりはしませんでした。感想は、「なにゆうとるかわからん。現代語でやってくれ。」でした。そして、日本文化にあまり興味が持てない中で、入試への準備をはじめました。

・志望理由書

 私にとって推薦入試で一番辛かった、というか、自分がなにしてるのかわからなかったのが、「志望理由書」です。たしか、800字くらいだったと思います。文章書くのはそれほど得意ではなかったし、ちゃんと添削指導してくれる人がいなかった。推薦入試をすすめた担任は国語の先生だったけど、「てにをは」やちょっと変なところを直してくれただけで、文章の構成とかは添削してもらえなかった。なんか人のせいにしているようですが、この志望理由書、高校生にとって自分ひとりで完成させるのは至難の業だと思うのです。だって、自分自身のこと、全然わかっていない思春期に、急にそれを言語化しろと言われても、無理なのです。なので、世間の推薦入試がメインの高校では、6月や7月に「志望理由書講座」という補習が開かれ、全5回とかでまとまりのある志望理由書が書けるように指導されるのが普通です。進学校では推薦入試を受ける人がマイノリティなのでこのよう補習があまりありません。ということで、まず私は完成度の高い志望理由書を提出することができませんでした。自分でもなんとなく不満のまま提出しました。

・小論文

 県大の推薦入試は一次が書類審査と小論文、二次が面接だったと思います。この小論文ってやつがやっかいで、これも添削してくれる人がいないと、なかなか自分ひとりで上手になるものではないと思います。もちろん自分で対策本を読んだりすることは大切ですが。そして、私には添削指導してくれる人がいなかった。(おい、すすめた担任、指導しろ。)小論文に関しても、推薦入試がメインの学校は2年生のうちから対策講座をやったりします。それくらい、推薦入試の中でウェイトを占めるものなのです。私は、たぶん、小論文対策の本を読んだりはしましたが、実践的な練習がほとんどできないまま入試を迎えました。書けた気はまったくしませんでした。でも、評定がオール5だったので、心の中で「ワンチャン受からんかな」(当時その言葉はない)と思っていました。落ちました。

・安易に推薦入試を受けるのはよくない

 自分の経験から言えることは、そんなに行きたくない大学なのに、「楽をしたい」とか目先の利益だけを考えて推薦で受けることは、やってることのクオリティが下がるし、結果もついてこないし、あまりおすすめしません。指定校でもそうです。落ちることがほぼないとはいえ、「どこでもいいから」というような気持ちで受けたら、きっと志望理由書もきちんと書けないし、高校に迷惑がかかります。みなさんに知ってほしいのは、推薦は実は楽ではない、ということです。調査書だけ出して終わりではありません。よくあるのは、志望理由書1000字、小論文、基礎学力試験、そして面接です。面接対策はとても時間がかかります。先輩たちも遅くまでたくさん練習していました。志望理由書や小論文は前述したとおり、一人で力をつけていくのがなかなか難しいものです。志望理由書を何度も何度も書き直していてるとあっという間に時間がすぎます。3週間くらいかかることもあります。合格可能性が非常に高い入試ならばどれだけ時間をかけてもよいでしょう。でも、「ワンチャン」受かるかもしれんから受ける、みたいな場合、当然落ちたら一般入試が待っています。その「ワンチャン」にかけるために、貴重な3週間を志望理由書や小論文対策に使っても大丈夫なのか。これは、推薦入試や総合型選抜を受ける前によく考えたほうがいいです。

・どんな人が推薦入試や総合型選抜を受けるとよいか

 大前提として、そこが第一志望であることです。選択に未練が残るようならやめたほうがいいです。自分がずっと行きたいと思っている大学の指定校がある、自分は評定もある、って場合は、指定校受けたらいいと思います。その場合は、逆に周りのことは気にしなくていい。第一志望なのだから。または、指定校でなくても、第一志望の学校に学校推薦型入試があり、一般選抜より倍率が低い、自分は評定も高い、合格見込みが十分ある、という場合は学校推薦型に挑戦するのはよいと思います。(ただ、前述した準備に時間がかかることは考慮しましょう)中には、英検などの資格を持っていると有利になる、有資格者入試というものもあります。情報学部とかでPCの資格を使えることもあります。自分がその資格を持っていて、その大学に行きたい、と思えるなら、チャンスを増やすという意味で推薦入試をうけるのはよいと思います。推薦入試で早く決まったら大学生活に向けての準備を早く始められるというメリットがあります。TOEICやPCスキル、レポートや論文の書き方、など、準備しておくとよいことはたくさんあります。私が指導した卒業生も、推薦で決まってから、Microsoft Officeの資格を取ったり、TOEICで高得点目指したり、割と有意義に時間を使っている人がいました。推薦入試で早く決まったら○○しよう(遊ぼう以外のこと)と前向きにいろいろ考えられるひとは、推薦入試を一つの選択肢に入れてもよいかもしれません。

・いろいろなメリットもある中で先生たちがそこまですすめない理由

 私は個人的には推薦入試で受けることはありだと思います。ですが、うーん、一般でがんばったほうがいいんじゃない?っておっしゃる先生が多いような気がします。これには理由があります。単純です。本人はできないと思っていても、本気を出せばかなり能力を発揮できるようになる、と先生たちは経験上知っているからです。また、倍率の高い一般入試で受かれば、それは一生ものの自信につながるからです。さらに、受験勉強は単に知識を身につけるだけでなく、目標を達成するまでの道筋を立てて実行する力や、効率がよく確実な勉強法を身につけることができます。これは確実に社会に出たときに役に立つ能力です。私も、資格試験で困ったことはありません。一般入試までがんばる力があれば、社会で生きていける、そのように思っている先生が多いと思うし、100%ではないけど、事実でもあります。

・マッチングという意味では推薦入試も悪くない

 推薦入試をすすめているのか、やめとけといっているのか、よくわからなくなってきましたが、私のスタンスは「本当にその大学に行きたいなら推薦もいいんじゃない?」です。推薦入試のいいところとして、ミスマッチが起こりにくいというのがあります。偏差値だけで大学を選んでいるような人は、大学に入ってから、「こんなはずじゃなかったのに」という思いをすることが多いようです。私も、とりあえず名古屋大学、の人だったので、文学部の雰囲気の地味さには入学してから引きました。あと、英語の授業が非実践的で死ぬほどつまらない(今は知らないけど私が受けた講義はひどかった)。大学2年の時本気でやめようと思っていた時期があったくらい大学が好きではありませんでした。推薦入試の話に戻りますが、推薦入試を受けるとなると、志望理由書の提出があったり、面接で志望理由を聞かれたりします。それに答えるには、大学のことを隅から隅まで調べないといけません。そういうわけで、推薦入試を受ける人は、受ける過程でその大学についてとても詳しくなれるので、ミスマッチが起こりにくいと思います。「こんなはずじゃなかった」という経験はなるべく避けたいですね。推薦入試を受けないにしても、なるべく大学のことは詳しく調べたほうがいいですね。

・まとめ

 以上、推薦入試について述べました。推薦入試にはメリットだけでなくデメリットもたくさんあるので、よく考えて決断しましょう。

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