音楽活動者のための音楽著作権入門

はじめまして、曲作ったりギター弾いたりしてるhisaと申します!

昨年、以下のTwitterに関する音楽著作権や必要な手続きについて
まとめた記事を投稿しました。

最近、この記事を読み返して思ったのが
「いや、長えな!!」
「なるべく簡単に書いたつもりだけど、それでもカロリー高いなぁ...」
ということです。

ですので、今回は著作権団体様との契約部分を省略して、
「カバー動画(歌ってみた・演奏)に関する音楽著作権問題」
についてフォーカスしたいと思います。

「なるべく初心者にも分かりやすく」を心掛けて説明する一方で、
「噛み砕きすぎて間違った知識を教えてしまっている可能性」があるので、
表現上正しくない点にお気付きでしたら、ご連絡ください!!
「分かりやすい」と「正確」って双対問題ですよね・・・

本記事がキッカケとなり、音楽著作権の知識を習得して頂けると幸いです。
早速、本題に入りましょう!!


カバー動画に生じる著作権問題について

カバー動画、つまりは「歌ってみた動画」「演奏動画」を投稿する際に
生じる権利的な問題は大きく分けると
・音楽著作権
・原盤権
・著作者人格権(同一性保持権など...)
の3つを意識するのが最低限必要です。

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本記事では、これら3つの権利について解説していきます。


音楽著作権について

ライブで演奏したり、テレビ番組で使ったり、歌ってみた動画で使うなど
様々な権利の集合的な財産権です。

JASRAC様の公式サイトにある以下のページ下部の図が分かりやすいです。
https://www.jasrac.or.jp/copyright/outline/index.html
著作者(財産権) から繋がっている全ての権利が音楽著作権に含まれます。

本来、著作権法38条に基づき、文化祭のライブや路上ライブとかの
非営利目的であれば著作権者の許諾なしで演奏は可能ですが、
インターネット上の活動においては適用がされません。

つまり、インターネット上での活動(カバー動画投稿・生配信で歌う等)は
音楽著作権の管理者に許諾を得るのが必須です!

さて、ここでJASRACやNexToneが無かった場合のお話をします。

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とあるバンドが音楽著作権を全部管理していたとします。
ライブで使ったり、カフェで流したり、路上ライブ(投げ銭有り)をしたり、DJで流したり
様々な用途で音楽を使いたい人が直接バンドに問い合わせをして
音楽著作権の許可を取る必要が必要となります。

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一人ひとりのユーザに対して許可を出したり、却下したり、
使用料を請求したりバンドが逐一対応する必要が生じてしまいます。
極端な例として作成したため、無いとは思いますが、
使用料とか人によって扱いが違うアンフェアな事もありえます。

そして、音楽活動で多忙なバンドがそのような事務処理をするのは、
正直大変ですし、ユーザの使用状況を一人ひとり管理するのは難しいのは
用意に想像できると思います。

そこで、中間管理職的な組織として、JASRACやNexToneが存在します。

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バンドがJASRACやNexToneに対して
「音楽著作権を貸す代わりに、事務処理を任せるやでー」
って感じで任せます。

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使用料に関しても、個人や法人などの差はありますが、
原則的には平等で使えるというメリットも存在します。

そして、包括契約というシステムも存在します。
簡単に言えば、

YouTubeやInstagram等は運営会社が
JASRAC/NexToneと契約してくれています!
ユーザーは契約手続き不要!!

ただし、SHOWROOM等みたいに、
利用楽曲を事前申請をするシステムは存在するため、
各種プラットフォームの規約を一読ください。

JASRACと包括契約を行いっているサービス一覧
https://www.jasrac.or.jp/news/20/ugc.html

配信者やVtuberさん等が活動しているプラットフォームは
ほとんどがJASRACと契約していますが、

ですが、

みんな大好きTwitterは2021年5月現在、包括契約していません!

つまり、
Twitterでのカバー動画投稿は個別契約をしない限り、
基本的にはグレーな行為です。

TwitterアカウントをJASRACと契約する手順は、
私の以前の記事を参照ください。


原盤権について

次の権利です。

原盤権はレコーディングした音源そのものに発生する権利です。

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基本的には、この権利はレコーディング業者、レーベルなどが保持します。

この権利は、歌方面のカバー動画ではあまり意識する必要が低いです。
理由としては、オケ音源を自作されている方が多いからです。

オケ音源を自作された場合は、オケ音源制作者に原盤権が帰属します。

原盤権を意識するのは、ギターやベース等を原曲にあわせて弾く動画です。

原曲を使用する場合は、原盤権保持者に問い合わせをする必要があります。
やったことがないので分かりませんが、めっちゃくちゃハードル高いです。

そういうタイプの演奏動画は、グレーな世界で生きていきましょう。
(著作権法を説明する記事で書くのはどうかと思う内容ですね)


著作者人格権について

この権利は簡単に言えば、
「著作物を作った本人に発生する権利、譲渡は出来ない」
と言ったものです。

著作者人格権の中にも様々な権利があります。
それぞれを解説していきます

公表権
これは原曲者が「この曲を公開するのは○月△日」と決める権利です。
カバー動画主が、フラゲで音源入手してそれより前にカバー動画投稿する
などが公表権に反する例として考えられます。

氏名表示権
ちゃんと原曲者のクレジットを正しく表示しないといけない権利
例えば、原曲者がペンネームで活動されているのに、
ペンネームではなく、本名名義でクレジット表記するのはダメゼッタイ。

名誉声望保持権
曲を使ってネガティブ・下品な動画とかを作ったり、
原曲者のイメージとは違う利用法をするといけない権利。
要するに、モラルを守りましょう!

同一性保持権
一番むずかしい内容。
つまりは、編曲を許可無くしちゃいけないということです。
そして、JASRACさんに直接問い合わせして聞いてみたのですが、
例えば「弾き語りで歌う」「わざとメロディ外して歌う」も
同一性保持権侵害の可能性があるらしいです。
これに関しては、本当に原曲者様のさじ加減になってしまいます。

私自身、インストアレンジをするに辺り、
同一性保持権の問い合わせをしていますが返答は基本的に来ないです。
これもまた、原盤権同様グレーな世界なのですかね・・・。

その他
著作者人格権に該当するかは分かりませんが、
原曲者サイドがガイドラインを出しているケースがあります。

例えば、以前「歌ってみた動画はニコニコ動画限定」と
している作曲者さんの歌ってみた動画をYouTubeに出して
トラブルになってるケースがあったと聞きました。
ガイドラインとして本人が書かれていたので、
それを守るのは重要だなって思った事例です。


まとめ

本記事ではカバー動画に纏わる、3種類の権利について説明を行いました。
振り返ってみましょう

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音楽著作権はJASRAC/NexToneに委託している場合が多いです。
原盤権は基本的にレコーディング業者が保持しています。
著作者人格権は譲渡出来ない権利なので、アーティスト本人のものです。

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そして、それぞれの権利の解決策です。

音楽著作権はJASRAC/NexTone管轄プラットフォームを利用する。
または、直接個人契約を行います。

原盤権は歌ってみた動画の場合は自作オケを利用すれば無問題。
作れない場合はDTMやってる人に依頼しましょう!

著作者人格権はモラルを持ってカバー動画を作ること!

という感じです。


おわりに

ここまでお読みいただきありがとうございました。

「結局、権利問題無視しても痛い目見ないでしょ?」
って意見もあると思います。

最近、有名な活動者さんが音楽著作権が原因
Twitterの凍結BANを喰らっているのを見たので、
守る必要性は少なからずともあると思います。

そして、完全個人で活動されている方ならまだしも、
関係者がいる場合は、周りに迷惑をかけないためにも
自衛のためにも権利問題を守るに越したことはないです。

今回の記事は以上となります。
より詳細な内容はGoogle先生に聞けば色々と正しく教えてくれるので、
この記事で得た基礎知識を元により詳しくなっていきましょう!

なにか表現上間違っている項目がありましたら、
ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします!

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