「坦々麺」
娘たちが目黒に住んでいた頃、ときどき九州から会いに出かけた。
目黒駅近くでも、午前の遅い時間に開店していない店が多かった。
やっと見つけたところは、汁なし坦々麺しかできないけど、と言われた。
狭い店だったが、とても気持ちよく対応していただいた。
東京のお店は新しさと伝統が混在し、安くて美味しい店が多い印象がある。
僕は屋台のような、生活臭があって誰とでも話せるような空間が好きだ。
店内を見回すと、有名人の色紙がたくさん飾られ、期待を抱かせた。
運ばれてきたどんぶりには、コシのある麺、たくさんの野菜と肉味噌があった。
ひとくち食べて、お互いに顔を見合わせ、目が点になり笑顔がこぼれた。
そのとき以来、「陳民」には何度か足を運んだが、あいにくのお休みだった。
今朝はスープたっぷりの坦々麺を作った。
陳民と同様に、ロメインレタスを入れてみた。
暁の頃、赤橙色が橙色に変わり、曙色、柿色へと変化していく。
大好きなオレンジ色に向かって走っていく。
孫なんていらないとイキがっていたが、今は孫の笑顔がほしくなる。
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