ポケカにおける火力の考察

以前にスピードについての考察を行いましたが、今回はポケモンカードにおけるもう1種類の要素である「火力」について考察してみたいと思います。

火力を考える

ポケモンカードゲームは基本的に相手のポケモンを攻撃して倒し、自分のサイドを取っていくことで勝利することができます。この際に火力が高ければ高いほど効率よく相手のポケモンを倒すことができるので、火力が高い方がゲームを有利に進めることができます。
そして、その火力の9割5分くらいはポケモンのカードのスペックに依存しています。基本的にポケモンのカードに書かれている以上の火力は出せません。
残りの5分は、げんきのハチマキやエレキパワーといった一部のグッズやポケモンの特性で火力を引き上げられる分になりますが、基本的にはポケモンのカードのスペックがそのまま「火力」であると考えて差し支えないでしょう。

火力とスピードの関係

こうして考えていくと、火力はスピードに比べると比較的単純な要素のように思えます。
しかし、そうもばかり言ってはいられません。この火力のある部分がスピードのある部分とは密接に関わっているからです。
そのある部分とは、ワザを使うためのエネルギーの重さの部分です。ポケモンのカードが使うワザは火力が高いほどそのワザを使うために必要なエネルギーの量が増えたり、必要な色の種類が増えたりします。
300打点のリザードンVMAXのキョダイゴクエンの要求エネルギーは炎炎炎無無の5つと非常に重き設定してありますし、伝説の鼓動で初めて収録されたアメイジングレアのポケモン達の持つワザは、非常に強力な効果と引き換えに複数の色のエネルギーを要求するように設定してあります。
ポケモンカードはワザの威力や効果が良くなる分、その発動に時間がかかるように設計されている、火力とスピードがトレードオフの関係になっているのです。

現在の環境と火力

火力とスピードの関係を考察したところで、現在のポケモンカードの環境における火力についても考察したいと思います。
デッキを作る際にどれくらいの火力が必要かを考える際に考慮すべきは、環境トップのデッキに勝つためにはどれくらいの火力が必要かという点になるでしょう。
例えば、環境トップの一角である3神ザシアンを例に考えてみます。三神ザシアンデッキの強みは、追加効果付きオルタージェネシスを2ターン目までに発動させ、3ターン目にボスの指令で裏のデデンネGXやVポケモンを呼び出しアルティメットレイでサイドを3枚取り、返しに三神が気絶させられても、4ターン目にアルティメットレイで加速したザシアンVで同様の方法でデデンネGXやVポケモンを倒してサイドを6枚取り切るスピードにあります。
この強力なムーブを止めるには、三神にアルティメットレイを撃たれて3枚のサイドを取りながら後続のザシアンVを育てられることを阻止しなくてはなりません。ここからそのために必要な火力を計算します。
三神にアルティメットレイを撃たれてはいけないので、相手の3ターン目、つまり自分の2ターン目にHP280を削り切る必要があります。
仮に後攻と仮定して、1ターン目からダメージを与えられること、VMAXしたポケモンが1ターン目の攻撃と合わせてHP280を削れる技を持っていることが大前提になります。VMAX前のポケモンが技を使えなくとも、VMAXしたポケモンがHP280を削れれば問題ありませんが、そのようなポケモンはVMAXポケモンでも限られており、なによりも先ほど述べたように要求されるエネルギーが重く2ターン目から攻撃することが難しい場合が多いです。そして、こうした条件をクリアしたデッキこそが、しばしばジムバトルの優勝報告で目にするデッキ達になります。
また、ムゲンダイナVMAXのようなVMAXポケモンですが、現状のカードプールではVMAXポケモンを一撃で倒すことはVMAXポケモンのHPにもよりますが難しいように設定されています。基本的には2-3ターンをかけて倒すことを前提として、この場合は160-170という火力を持った上で、より重要なのはいかに早く相手よりワザを撃てるかというスピードになります。
反対にVMAXポケモンを確定2回で倒すことのできない火力しかないポケモンのカードは、グッズや特性で火力を引き上げる工夫が要求されることになります。

現在のカードプールでは、VMAXやTAG TEAMといったポケモンを中心に火力が不足しているというポケモンは少ないように思います。非V・GXポケモンの中にも160〜180のダメージを出せるポケモンも多くなってきました。火力の点での問題は、Vポケモンの火力の低さではないかと思います。VMAXポケモンは200ダメージを与えられても、進化前のVポケモンが80ダメージを与えられないから三神が倒せないというポケモンが多いように思います。

まとめ

ポケモンの火力はポケモンのカードのスペックにそのほとんどが依存しているため、そのカードが設計された段階で環境へ適応できるかが決まる非常に柔軟性の低い要素になります。「ポケカにおけるスピードの考察」で書いたように、現在のポケモンカードは爆炎ウォーカー以後のカードが高速化三神ザシアンに対抗できるよう設計されており、それより以前のカードは高速化した三神ザシアンが誕生する前なので、現在の環境で戦えるスペックを持っていないカードがほとんどです。
せっかくのVMAXポケモン達が活躍できないのは歯痒いですが、今はただこれらのポケモン達が環境に適応できるような新カードが収録されることを待つしかなさそうです。

最後に

最後まで読んでくださりありがとうございます。
今回はスピードに引き続いて火力について考察してみました。スピードもそうでしたが、やや抽象的な事柄を対象にしているため、デッキ構築記事のようなバラエティさはありませんが、ポケモンカードゲームというゲームそのものを読み解くには大事な事なのかなと考えています。機会があればポケモンカードという「ゲーム」についての考察記事を書いていければと思います。

改めて、最後まで読んでくださりありがとうございました。


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