
節分2021。
鬼「またきたか…この季節が…」
鬼「鬼は外、福は内。それを無垢な子どもに親が教え、鬼には豆を投げていいという刷り込み…」
鬼「人間よ!そなたの心に巣食っておるのが鬼ではないか!?」
----------とある保育園----------
園児「おにはーそと!ふくはーうち!」
先生「こうべをたれて…いてっ!つくばえ…!」
園児「あっ!むざんだ!たおせ!おりゃっ!みずのこきゅう!!」
先生「(あーだるっ。今日合コンだったのに、緊急事態宣言の延長でなくなっちゃった。なんで保育園はあけなきゃいけないの?保育現場はずっと前から緊急事態宣言だよ??)」
園児「かみなりのこきゅう!!」
先生「ちょっとまって!みんな豆を…」
園児「えいっ!」
先生「痛っ…(ちょっと本当に痛い!)」
-------ところかわって鬼たちの会議。
「近頃は鬼滅の刃がブームらしい」
「人間食うって言っても大正時代の話だろ?俺たち人間よりもウーバーイーツでCoCo壱頼んだ方がいいしな」
「鬼ってだけでいじめられてるのよくないと思う」
「そりゃ人間界のいじめもなくなんないわな」
「最近では恵方巻きというのを食べるらしいぞ」
「なんそれしらん」
「なんでも運が向いている方角をむかって食べるそうな」
「えっ、じゃあ同じ方角を向いて、その恵方巻きをみんなで食べるってこと?」
「めっちゃシュールじゃんそれ」
「人間は変なことを考えるなぁ」
「そんなに福が欲しいのか?それだったら毎日神に祈ったらいいのに」
「初詣だけ言ってあとは行かないそうだ」
「でも福は欲しい」
「そして俺たちは外に」
「決まりだな」
「あぁ、人間たちは俺たちにこんな仕打ちをした」
「腹も減った。酒が飲みたい」
「よーし」
---------保育園---------
母親「どうもすみませんうちの子が」
先生「いえいえ、いいんですよ!それにしても鬼滅の刃好きなんですね!」
母親「いいえ!ちょっと衝撃的なシーンが多いのでうちは見せてないんです」
園児「ほのおのこきゅう!!」
母親「言葉だけは周りの子達の影響で覚えていくんですよね」
先生「そうですよね!ホントどこで覚えるんだろう…」
母親「それでは先生、明日もよろしくお願いします!」
先生「えぇこちらこそ!(はぁー。やっと帰れる)」
-------帰り道-------
「すいません、ちょっと道を尋ねたいんですが」
先生「はい、なんでしょう?」
「この近くにキャンプ場があるって聞いたんですが」
先生「あ、それでしたらこの先にあります。キャンプいいですよね。私もやってみたいです!」
「あ、そうなんですね!ありがとうございます!もしよかったら遊びに来ますか?」
先生「えっ!いいんですか?予定がなくなったのでちょうど暇してたんです!(イケメンみっけ!!)」
-----鬼たちの会議-----
「さすが!あいつ女の子誘ったぞ!」
「やるな!」
「人間たちよ!これが令和の節分だ!」
「鬼が外なら、俺たちはキャンプをする!」
「外に出て、福を得る!」
「豆は投げるのではなく、食べるものだ」
「鬼は大人しく外で焚き火だ」
「人間の女の子もいるし、よろこんでキャンプをする!」
「鬼レモンをもって乾杯だ!」
こうして、2021年の節分に鬼が現れた家はいなかったという。
ステイホームをすることで、そもそも福が逃げなかったし、鬼も自粛していたのである。
真の鬼は心に巣食う。
ウイルス憎んで人を憎まず。
鬼になんかなるな。