『すべて忘れてしまうから』を忘れない
断片的回顧録。
燃え殻氏によるこのエッセイは、そんなふうに名づけられている。
それならば言いたい。
なんて純度の高い、まばゆい断片たちなのだろう、と。
早朝のコンビニで出会う異国のアルバイト「ド」さんのこと。
「和製マイク・タイソン」たる不良の彼が、作者にかけてくれた恩情のこと。
テレクラで「あんたさ、つんく♂に似てる?」と言われ、「はい、似てます」と答えてみたら切られたこと。
最初の授業で「お前らの九割にロクな人生は待っていません。だからせめて健康でいような!」と半笑いで