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教育とは教えることではなく見守ること

プログラミング教室をやっていると、自分も生徒も、未開の地を一緒に歩いてるなって感じがする。たとえば教室で起こってることは、俺が小学校とか中学校とかで教わってきたこととは違う。だから俺が持ってる答えを生徒に教えちゃうと、「過去から今」まではいけるんだけど「今より先の未来」ってところへは超えられない。

今"IT×子供"っていう世界にあるのって、あくまで「暫定解×いくつかのヒント」でしかなくて。むしろ今目の前でワクワクしながら走ってる子供のほうに答えがある。そうなってくると、俺たちが実践していくべき教育って、走ってる子供が重大な怪我をせずのびのび新しいものを追いかけられるように見守ってあげることだと思う。

たとえば「インターネットで知り合った友達」っていう関係。これって“いわゆる”教育現場だとNO!ってことになっちゃう。だって知らない、顔すら見たことない人にホイホイ会っちゃうんだからね。だけど中学生くらいの生徒になると、そういう新しい関係なんて当然のように転がってるわけで。俺らはそこに大人のルールで線を引いちゃダメなんじゃないかって思う。
少なくとも、俺はそれを断定できない。「もしかして、この子たちにとっての新しい常識なんじゃないの」ってことを必ず問いかけて、ITeens Labの他の大人たちと議論する。ギリギリどこまで「コケさせるか」ってところと、どのラインで「手を伸ばして止めるか」っていうところ。

じっさいそうやって慎重に見守ってると、生徒たちはツールの新しい使い方を日々発明してるんだよね。
大人が準備したツールで、大人が準備した答えをただ教えてるだけだったら、インスタグラマーとかyoutuberとかeスポーツプレーヤーとかは生まれなかったと思う。

そういえば内田樹さんがどこかで「本当に新しいものは、これまでの系譜とは予想もつかないところから“ポン”と生まれる」みたいなことを言ってた。俺やITeens Labの大人たちは、子供たちから日々湧き出てる“ポン”に賭けてるんだろうな。最終的に、今ここにいる子どもたちに俺らは養ってもらうわけだから。(笑)

オレンジの人/近藤 悟
ロックバンドXanaduを解散後、大学の先輩でもあるメンバーの1人古林と共に起業。
子どもプログラミング教室ITeens Lab(アイティーンズラボ)を立ち上げ2020年現在14教室を運営中。
2017年にはITキッズフェスティバルEXA KIDSを立ち上げ、2018年2019年と開催。述べ約5000人が参加。
2018年にはハッカー映画『電気海月のインシデント』のプロデューサーに就任し、2019年5月に横浜・福岡のイオンシネマにて上映。福岡ではロングラン上映になるなど好評となった。
通称「オレンジの人」

(聞き手・編集:Keiko Ota)


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