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「清水 新スタジアム問題 その4」

今回は、エネオス遊休地での次世代エネルギー施設関係の計画とそれに対する関連する市及び県の動き、そして、エネオスさんの狙いと市の思惑などを探っていきたいと思います。

(1)次世代エネルギー関連の動き

「その2」で書きましたが、次世代エネルギー関連の動きをおさらいしましょう。

2020年7月16日 
エネオス遊休地について、次世代型エネルギーの供給拠点ならびにネットワークの構築と、魅力的かつ持続可能な地域づくりに係る基本合意書が県とエネオスとの間で締結

2021 年7 月14 日
静岡市とエネオスの間でもエネオス遊休地における次世代型エネルギーの推進と地域づくりに係る基本合意が締結される

2022年6月2日
エネオス遊休地の袖師地区や日の出地区を含む「脱炭素先行地域」として環境省からモデル地域の選定をされたことを静岡市が公表

2022年8月4日
エネオス遊休地における次世代型エネルギー供給プラットフォーム の構築計画を発表(太陽光発電・水素製造設備の設置と周辺公共施設への電気・水素供給)

(2)エネオスと県・市との基本合意の狙い

 ア) 県との基本合意の狙い

次世代エネルギー施設の構築をエネオスさんが進めることとしたのは、何故か?

これは、過去に火力発電所計画を知事、市長、市民に猛反対を喰らって断念断念したことに端を発しています。
火力発電所は、脱炭素を目指している世の方向性に沿わないことだったので、断念したことは結果オーライだったと言えます。そこで、クリーンエネルギーに目をつけたのは、方向性としては適当だということです。

しかし、前回で触れましたが、その次世代エネルギー施設が港湾法の分区の建築規制に触れないでしょうか? これは、本来であれば規制の対象となります。では、この計画が何故通るのか?
それは、前例があったからです。中部電力が三保地区にメガソーラー開発を行っていました。

この案件の港湾審議会の議事録を見ると、メガソーラーは分区の建築規制に触れるものの、「特例」として取り扱っています。

「その3」に書きましたが、その特例は県条例にありましたね。「知事が公益上その他特別の事情にやむを得ないと認める場合はこの限りでない。」
この特例による突破口をエネオスさんも狙ったということです。

次世代型エネルギーは世の流れですし、「先進的取組み」です。この先進的取組みというのが、自治体の首長には誠に良き響きなのです。
自治体が先進的取組みをするというのは、首長の実績、アピールにも繋がります。ですから、県には好感的に受け止められたということでしょう。

エネオスさんが「20ha」にも及ぶ広大な遊休地の活用をのため、港湾法の規制突破の布石として、次世代型エネルギーを持って来たということです。
そして、港湾計画にこの次世代エネルギー計画を盛り込んでもらうことになり、確固たる位置づけを得たわけです。
市よりも先に県との間で基本合意がされたというのは、「港湾法」の規制突破のために、知事からお墨付きをもらうためだと思います。

 イ) 市との基本合意の狙い

さて、市との基本合意は、何故に必要だったか?ここには、幾つかの狙いがあったと思われます。

・火力発電所問題で反対だった市と市民に、次世代型エネルギー施設計画を受け入れてもらう
・次世代エネルギーの消費先として公共施設になってもらうことで、市の先進的取組みに寄与し、市民へのアピールに繋がる。

エネオスリリース文書から引用

ということがまず考えられます。
このクリーンエネルギーを公共施設で地産地消するという「先進的取組み」は市長にも美味しかったと思います。
更に、市はこのエネオスさんの計画を含め、環境省から「脱炭素先行地域」として環境省の選定を「県内で唯一」受けることに繋がっています。これも市長には美味しかったといえるでしょう。

また、この選定を受けて、選定地区内の市が実施する関連事業に国庫補助等をもらうことに繋がります。
更に、この地区選定を受けて、エネオスさん側も施設整備について国庫補助を受けるための大きな位置づけを得ることに繋がっています。

 ゥ) 基本合意の真の狙い

さて、エネオスさんは、次世代エネルギー施設を作りたかかったからだけで、この基本合意をして来たのでしょうか?
以下の図をご覧ください。

次世代エネルギー施設は、上図の黄色で示された部分の4haです。エネオス遊休地は全体で約20haです。残りの約16haは?

上図にあるように、残りの16haは「再エネの利用を促進するエリア」となっています。エネルギーを製造するためではなく、「利用」する施設を設けるエリアなのです。

エネオスさんも一企業。20haもの広大な土地を有効活用して大きな利益に繋げたいのは当然です。次世代型エネルギー施設を設けることは、本計画の狙いのほんの一部でしかないということです。
むしろ、残りの16haの土地をいかに利益を生むものにしていくかが重要なのです。そのための位置づけ、布石として次世代型エネルギーを「一つのテーマ」として持って来て、市や県に認めてもらったということです。

ここまでの話では、新スタジアムへの道筋が見えて来ていません。
次回は、基本合意のもう一つのテーマとスタジアム構想との関係性など、核心に迫って行きたいと思います。











と、長い話になりましたが、この港湾法の関係はとても重要なポイントになります。

次回は、エネオスさんの次世代型エネルギーの開発計画の関係を少し彫り下げていきたいと思います。


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