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僕と胡蝶さん25(やらずに後悔していることを今日から始める)

『夢をかなえるゾウ』の課題を実践していく私小説

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「胡蝶さん、ここからは『最後の課題』っていうフェーズにはいりました」
「そうじゃの。ここからの課題は、一日で終わるわけではなく、自分の習慣になるまでしっかりと続けようということじゃの」
「いきなりヘビーな課題ですけどね」
「最後の課題、ってことなんじゃから簡単ではないじゃろ。『やらずに後悔していることを今日から始める』か。何が心に浮かんでおるのじゃ?」
 これはずっと考えていたことだ。
「まずは小説を書きたいですね。高校生の頃の日記にも書きたいって書いてましたから。」
「小説か。書いてみたらいいんではないか。他には何かあるか?」
 そう言われて、しばらく考えてみた。もっと英語を学びたいとかは思うけど、どうしてもということでは無い。他にはなんだろう。就職の時のことを考えるが、今の会社を選んだことへの後悔はそこまで無い。
 と、考えているうちに思い当たった。僕の後悔。
 大学生の時のことだ。2年生で専攻を選ぶときに「就職に有利なのは・・・」という基準で選ぶという周りの流れに乗ってしまったことだ。
 その流れで心理学を選んで、面白くはあったけど、後悔がある。僕は哲学を学んでみたかったのだ。いろいろと正解の無い答えの中に身を投じたかったのだ。それこそが学生として学ぶ意義だと思っていたし、できることならばずっと学問をしてみたいという夢があったのだ。
「胡蝶さん、そんなことを思い出しました」
「とすると、お主の後悔は小説を書いていないことと、哲学を勉強しなかったことか。となれば、今日からやるのじゃな」
「そうですね。小説は少しずつ書いていけると思います。哲学の勉強とかはどうしたらいいのか分かりませんが」
「分かりやすいところでは、本を読むということじゃろ。それから今は便利な世の中じゃから、オンラインでいろいろな講座もやっておるんじゃろ」
「詳しいですね」
「お主の息子がいろいろな動画を見ておるのを横で観察していたからの。さすがにお主の息子が哲学講座を見ていたことは無いが、探せば出てくるのではないか」
 その通りだ。勉強しようと思えば無料のものですら世の中にあふれている。やらない理由なんて、無い。
「また少しずつですが、今後の方針が見えてきた気がします」
「そうじゃの。やらない理由を考えても仕方ないからの。今日から、今から始めることじゃ」
 本当に少しずつだけど、やりたいことが整理されてきた。少しずつでもいい。僕のやらずに後悔していることをしっかりとやっていこう。それが自分にできることである。

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